道徳の時間の「考える」とは NO2
本シリーズでは、道徳科の授業で子どもが「考える」とはどう言うことなのかについて迫ってみたいと思います。
前号では、子どもが教材と自分自身のことを語り始める中間的モードを引き出すための3つ方略のうちの「エピソード化」について述べました。
本号では、二つ目の方略「多元的機能化」について述べてまいります。
*前号と合わせてお読みいただけると幸いです↓
1 多元的機能化とは
前号では、ものごとの背景となる具体的なエピソードを引き出すための「エピソード化」について述べました。
本号では、方略2の「多元的機能化」について迫ってみたいと思います。
まず始めに、東京大学名誉教授である佐伯氏は多元的機能化を以下のように述べています。
つまり、子どもは一面的な見方に固定化することが多々あるため、新たな視点や観点から考えることで、「このような意味もあるんだ」「○○の状況と同じなんだ」などと、多様な機能に気づくことが重要であり、そうすることで子どもの思考が働き始めると述べています。
2 多元的機能化を引き出す
ではどうすれば、子どもの一面的な見方を、多様な機能に気づかせならが多面的・多角的な見方へと発展させることができるのでしょうか。
そのためのポイントは・・・
「やはり、問い返し」です。
子どもの「固定化」された一面的な見方に対して、「○○の立場から考えたらどうだろう」や「○○することは、今後のこと考えても正しいと言えるのか」など、多様な視点や観点から問い返して、新たな見方を与えてあげることが大切だと思うのです。
例えば・・・
このように、最初は主人公の立場(感情)からしか考えていなかった子どもに対して、「定員さんが手紙を送りたくなった理由」や「校長先生が全校児童の前で手紙を読みたくなった理由」などを問い返していきます。
そうすると、子どもの一面的な見方が多様な見方へと発展し始め、一見無駄と思われた親切の機能が、視点を変えて考えると有効な親切だったんだと気づくことができるのではないでしょうか。
このように、物事を多様な視点から考えるように問い返すことで、子どもが本気で考え始めます。そして、多様な機能に気づかせることで、深い学びの実現が可能になるのです。
次号では「モデル化」について迫っていきたいと思います。
*私のnoteでは、2週間に一度、「道徳科の授業づくり」について書いております。興味のある方はフォローして頂けると幸いです。
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