コストへの過剰な意識が本質を見失う
失われた30年によるデフレが継続したためか、人々の潜在意識の中に、サービスはタダや安くて当然だと感じている方が多いように感じます。(かく言う私自身もそうではありますが)
相続対策のご相談を受けていても、時折そのようなケースにぶつかります。
例えば子供たちや甥姪たちが不仲であったり、音信不通でご自身の財産を巡って揉める要素が高いと、相談者が意識されていても、いざ実践に移す場合の必要な実費、手数料をお話しすると二の足を踏まれるのです。
公正証書遺言作成の費用の実費となる戸籍謄本の取得費用や公証人への手数料、信託銀行や弁護士への相談や手数料費用をお話しすると、お金に対する価値観の違いからか、時折「高いね」と一刀両断されて、進捗しないケースもままあります。(作成だけであれば、上記のケースで概ね50万円~100万円くらいでしょうか)
作成しなければ、相続揉めは必至と予想できても、費用に躊躇してしまうのです。そしてそういった方々の場合、大半は金融資産が数千万円をお持ちと予想できる方なのです。決して払えないということは無いと感じます。
長いこと、日本には水と安全はタダという意識があり、お金をかけて対策を考えることに抵抗がある気持ちはわかります。PCやスマホで検索すれば無料で手に入れる情報は溢れています。致し方ありません。また老後2千万円問題の余波もあり、ある程度お金を手元において、散財したくない気持ちはよくわかります。
そのため、お金を節約したいのであれば、自筆証書遺言を書いて、法務局の保管制度を使えば4千円程度で済みますので、その方法を取られたらいかがですかと進言しても、「よく分からない、難しい」と行動を起こすことをためらってしまうのです。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
ご自身での行動がおぼつかないのであれば、専門家のアドバイスをもらい実行に移すことが肝要です。せっかく築き上げた財産がご自身の相続発生後、塩漬けになってしまうのは痛恨の極みです。
厳しい言い方となりますが、第三者の手が入るということは、他人の手を借りるので当然、人件費等のコストが発生するのは自明であります。
そして資産形成へのマネーリテラシーの不足とともに、今後は相続リテラシーの向上も必要になってくると思います。争族の悲劇はこの瞬間にも発生しています。
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