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[読書]ソフトウェア・ファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略

この本は1900円(税抜)の本だ。こんなにコストパフォーマンスの良い本は見たことがない。

この本はデジタル・トランスフォーメーション(DX)など、これからのITを中心とした社会に対応した企業・組織を作るための道しるべのような本です。
「すべてがサービス化する」世の中において、ソフトウェアの特徴を理解し、プロダクトや事業開発のすべてを変えてゆくことが必要になります。ITやソフトウェアはよく分からないからSIerのようなIT企業に丸投げするような企業や組織は、これからの時代に遅れてゆくでしょう。
ソフトウェアを企業・組織の力にするにはITを手の内化=内製する必要がある。そのための人材や組織をどのようにしていくか?が書かれています。例えばGoogleやAmazonがソフトウェア開発を外部へ丸投げするようなことがあるでしょうか?日本企業にしてもメルカリが外部SIerに開発を丸投げすることがあるでしょうか?どの企業も武器であるIT(ソフトウェア)を手の内化してビジネスを発展させています。

この本はあらゆる面で凄いので、読む人によってささる部分が違うと思います。僕は以下の3つに感銘を受けました。

特徴対象読者の幅広さ


経営陣からマネージャー、人事部署、そして、これからのエンジニアまでカバーしています。こんな本は見たことがありません。
しかも「日本はだからダメだ」のような非建設的な主張もありません。多くの世界的企業を生み出していた80年代までからの日本企業の失敗の理由を分かりやすく説明し、これからどうすればいいのか?のヒントを与えてくれます。

著者の知識・経験の深さ

著者の及川卓也さんはマイクロソフト(WindowsXP,2000)、グーグル(ChromeOS,Google日本語入力)を経て、スタートアップ、独立(フリーランス、法人化)という奥が深く、幅も広い活動をしてきた方です(昔、NHKプロフェッショナルの流儀で見たことがありました)。まだまだ加速度的に発展していた時のマイクロソフトやグーグルでのキャリアは滅茶苦茶凄いです、しかもそこからスタートアップ(収入は1/4になったそう)、そんなキャリアは普通の人では歩まないです。
そこを経て得た知識(技術面というよりは企業文化や組織化について)のエッセンスを本書で伝えようとしてるように感じました。組織作りなどについてまとまった本を読んだことがなかったのでかなり驚きました。

文章や構成の分かりやすさ、公平さ

技術が凄い人が世の中にいるのは分かるのですが、この人は文章が非常に分かりやすい。IT関連の知識が疎い人でも分かる。プレゼンやコミュニケーション能力が高いというレベルを超えて文章が分かりやすい。なぜかと思って調べると、学生時代はジャーナリスト志望だったとのこと。最終的には理系の学校へ行ったとのことですが、この文章力は本当に凄い。
この本は主張する本なので、下手をすると独善的になりやすいのですが、ところどころに成功企業の人の話をコラムに入れることで客観性を持つことにも成功しています。

実はジャーナリスト志望だったんです(笑)。文章を読むのも書くのも好きだったことと、小中学校時代は新聞係だったこともあり、自然にジャーナリストを目指しました



この本の対象読者はITに関わる人だけでも、経営者だけでもなく、これからの世の中を歩む全ての人です。なぜなら社会の中心に組織があり、組織の中心にIT(ソフトウェア)があるからです。
こんなにお買い得で、読みやすい本は滅多にないからだまされたと思って是非読んでみてください。




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