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[読書] 勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法/伊沢拓司

テレビのクイズ番組「東大王」などで有名な東大卒の伊沢さんの勉強についての本。
近寄りがたい天才タイプの東大生とは違い、親しみやすい人柄や、官僚や大手企業ではなく起業したところなど興味があったので本を読んでみることにした。
開成→東大なので非常に優秀なのだろうけど、おそらく学業は十年に一人の天才とか、努力しなくても出来てしまうタイプではないようだ。実際に高校2年生時代の成績もクイズに熱中しすぎたせいもあるが、400人中280位だったそうだ(100人東大に合格する学校なので、それでもとても優秀)。しかも勉強しなくちゃいけないのにゲームセンター通いをしてしまう。

そんな彼だからこそ、勉強や仕事の仕方も参考になるところが多いと思う。
この本はどのように受験というプロジェクトに立ち向かったのか、どのように方針を決め軌道修正して、正しい努力をしていったのか?というドキュメンタリーでもある。

さて、高校3年の6月になって「自分は高校3年生だと思っていたけど、受験生という職業なんだ」と思い立った伊沢さん。
ここから猛烈に勉強をするのですが、がむしゃらにやっても無駄だと思います。

ゴールは行きたい学校(東大)の試験本番の点を最大化すること。
そのために

合格までの道筋 = 勉強量(歩いた量) ×勉強法(歩く方向)
勉強法は「努力の方向性」を決めること

とします。

また、絶対的に正しい勉強法というものはなく(あきらかに間違った勉強法はある)
勉強法は以下の2点がポイントだと思いつきます

「勉強の原理から外れていない」
「自分にフィットしている」

原理から外れた勉強法でいくら努力しても効果は上がらないし、自分にフィットしていない勉強法でいくら努力してもダメ。
では、どのように自分に合った勉強法か判断するには以下の分析手法が重要とする

いいとこどりする
信じる→疑う→信じる

そのためには観測による「自己分析」が必要になる。
飽きっぽいなどの自分の性格を分析したうえで、「性格より環境のほうが変えやすい」とし、環境とルール(無理なく自分を律することができるもの)を整えていきます。

受験に特化した勉強へのアプローチの仕方がいろいろあるけど、個人的になるほどと思ったのが暗記。

暗記は「マクロの暗記」「ミクロの暗記」があるとのこと。ミクロの暗記は単語帳などで完璧に覚える細かい暗記なのだけど、マクロの暗記は「構成要素のつながり」を暗記するものだ。そして、これら両方は「使い続けることで覚える=アウトプット主義」とのこと。
よく考えると、僕も何か新しいことを覚えるときに「マクロの暗記」をすることが多い。(「ミクロの暗記」は検索すれば済むので)。
本の内容を身に着けたいときに目次で各章の関連性を丸暗記しておいてから読むことも多い。最近noteに読書記録を残しているのもアウトプットした方が記憶の定着がいいからだ。

また、構成要素のつながりを覚える「マクロの暗記」は、論理的思考にも使えるとのこと。受験勉強では「論述」なのだけど、これは社会人になった方が遥かに重要。論理的思考は人が理解しやすいために存在するので、世の中の人たちが広く勉強してきた型を覚えるのは重要。

本書は受験生だけでなく、社会人が読んでも十分に面白い。
なにかプロジェクトにあたるときに、伊沢さんのように俯瞰した視点と、ミクロな視点の両方を押させておきたいものである。



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