私の塔

他人に対して心を開くスピードが非常に遅い。
学生時代の私はそれが特に顕著だった。
交流を図ろうとしてくる他者と自分との間に設けた立て付けの悪い錆びついた扉は鍵を差し込んでもなかなか回らず、時々自分でも開け方がわからなくなり、他人から全力で押したり引いたりしてもらってようやく気兼ねなく会話ができるようになる、そんな塩梅だった。
更にタチの悪いことに、私はそれを改善しようとはせず「自分本意に作り上げた受け身の立ち位置」に甘んじていた。
「自分から話しかけるなんてカッコ悪いし、仮に話しかけたとして、盛り上がらなかったらどうする?」
そんな「尖り」と「日和り」が同居した思考を机に向かって一人巡らせながら、日々を過ごしていた。

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