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洗濯機置き場を改造してギターアンプブースにしたお話

以前音楽人のお住まい事情というnoteを書きましたがミュージシャンのお住まい事情って本当に悩ましいことが多いわけです。ただ100件に1件くらいは楽器OKをうたう物件もあり、我々みたいな人はそこに住んでそれぞれの範疇で音を出すわけです。
ただちょっと音が出せるようになるともっと出してみたくなるというのも音楽人の悲しいサガ。私も今の作業部屋になる前の30代はじめの頃、作業部屋にしていた物件が楽器に前向きな物件でモニタースピーカーで大音量も、アコギも歌もOK、時間制限特になしの部屋を借りて仕事をしていたのですが、
壁も厚いし『これはもしやギターアンプ鳴らしてレコーディングできるのでは?』と企んで部屋の一部をギターアンプブース(以下:アンプブース)にしてしまったお話です。

ちなみにギター(ベース)アンプブースとはアンプとマイクを閉じ込める防音ブースのことで、マイクケーブルやシールドだけ隙間から通して人はブースの外で演奏してレコーディングします。

アンプブースの設置場所の選定

アンプブースも言わば防音室の一つなのですが、ピアノが入る防音室は広さが必要だけど、アンプブースはアンプとマイクが置ければいいので畳半畳あればまあOK。
その当時の作業部屋の間取りはこれ↓

6帖と8.8帖のLDKを区切る扉を全部外して広い空間を作業部屋としていました。

で私が注目したのが洗濯機置き場兼、脱衣所のスペース↓

入り口は開口していて扉などは無い状態。ここにケーブル類だけ通せるようにしたフタを被せれば密閉空間が作れてアンプブースにできるのでは?と閃きました。

ちなみに"音楽人のお住まい事情"のnote記事にも書いていますがこの物件は壁自体をコンクリートで作って壁自体で建物を支える(壁式構造)の物件なので元々音楽に前向きな物件+壁がコンクリートで分厚いという条件もアンプブースを作ろうと思った理由の一つです。さらに洗濯機置き場は隣接する部屋とも直接隣り合わせていません。
その一つでも条件が当てはまらなかったら防音の問題でアンプブースは作らなかったと思います。

洗濯機置き場の改造 遮音と吸音

そんなわけで場所が定まったので洗濯機置き場の改造スタートです。

洗濯置き場 ギターアンプを置いてイメージ

とにもかくにも音が漏れにくいようにしなければいけません。いわゆる防音ってやつです。さらに賃貸なので元に戻せるようにしとかないといけません。

さらに入り口の開口部のフタを仮当てして高さを合わせたりイメージを。

作業部屋用に外した戸がジャストフィット

イメージができたら早速アンプブース作りのスタートです。まずは最初にして最大の難関の防音から。
ご存知の方も多いと思いますが、防音には遮音と吸音を両方する必要があります。
遮音はその名の通り音を通らなくする事、ただ遮音は音が通りにくい代わりに音が跳ね返ります。跳ね返った音が録音に悪影響を起こすので吸音をして音を吸い込みます。簡単に説明するとこんな感じです。吸音は音の響きを調整するものでそれだけでは防音効果はそこまで期待できません。

まずは遮音シートを洗濯機置き場の壁面に画鋲で貼り付けていきます。

床面から壁に隙間なく遮音シートを貼っていく
電気スイッチを避けつつ壁面も完成
お風呂場の扉にも剥がせる両面テープで貼り付け

こんな感じで遮音シートの貼り付け完了。実際どれくらい効果があるかはわかりませんがやらないよりはやった方が良いので。遮音には重さが必要のようで遮音シートはかなり重いです。天井を張ってる時は地獄を見ました。一人でやるのはやめましょう。

お次は吸音です。吸音材は色々あるのですが今回はロックウールにしました。吸音材といえばグラスウールみたいなとこありますが防塵マスク必須だし、確かロックウールの方が害が少ないかなんかでそれにしました。

ロックウールの吸音材。業者が間違えて半分の薄さを送ってきたので
実際に使ったのは倍の厚みの物

ギターアンプを置く周辺をメインに吸音材を貼り付けてとりあえずアンプブースの中身は完成。

余っていたスポンジのギザギザ吸音材もペタペタ
洗濯機に吸音材を貼るルートがあるとは。。

開口部扉の改造

お次は開口部に蓋をする扉の改造です。余っていた戸でフタをするわけですが、この戸がなんとも頼りなく音を通しそうなのでこちらも防音処理していきます。

開口部にぴったりハマるようにロックウールを切り出し
フタになる戸にも遮音シートを貼り付け
開口部のサイズに合わせて切り出した吸音材を戸に貼り付けて防音フタの完成
開口部にフタをはめたところ

完成図としてはなんとも不格好ですがこれが完成系。扉でもないので突っ張り棒で抑えます。実際は貼り付けた吸音材が開口部にびっちりはまってるので倒れてくることはないのだけど少しでも音漏れを防ぎたい気持ちで。そしてこのフタは激重になりまして、設置するのに気合が入ります。
まあ部屋の現状復帰できる範囲での改造はこれが限界かなと思いました。防音室とかブースって結局、出入り口とかの開口部が一番ネックになるんですよね。

ついでにロックウールが少し余ったので通路に面する窓に蓋もできるように加工しました。録音の時だけはめて少しでも音漏れを防ぎます。

アンプブースの完成とその後の使用感

そんなわけでアンプブースが完成したわけですが、遮音&吸音のおかげかギターアンプの音くらいはかなり抑えられていました。さすがにベースアンプはモウモウ漏れてるなって感じでしたが1曲リアンプする5分くらいなら全然大丈夫そうな感じでした。
その後作業部屋の引っ越しするまでの約1年半はがっつり使っていました。私が仕事させてもらった2013年あたりでリリースされている曲にこのアンプブースで録音したギターやベースの音も結構あります。

いざ録音って時に、セッティングはとにかく面倒でフタも重たかったけど何より『アンプで録りたい!』と言う衝動で突き動かされてました。
最初はFenderの小さいコンボアンプ(Blues Jr)しかなかったのに、このアンプブースで色々鳴らせるようになったのでギターのペダルも増えていったしギターアンプも増え、それを収録するためのマイクも増えていき、、マイクの録り方やマイクプリの選定など経験したり、色んなことのきっかけになったアンプブースだったと思います。
今はギターは2発キャビでヘッドは1VolumeのマーシャルかFenderのBass ManだけあればOK!みたいに自分の編曲で必要で出したい音、求められている音が絞れてコンパクト化されたけどそれまではかなり紆余曲折してました。ベーシストのくせに。このアンプブースから始まったんだなと。

そんなわけで洗濯機置き場をアンプブースに改造したお話でした。

ギターアンプ瞑想時代


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