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社員と学びの場をつなげたい|Udemy活用で見えた、社員に対する学習促進への道すじ

鳥取県では、2021年度から「オンライン学習受講促進事業」として、県内企業や求職者へUdemy Business(以下、Udemy)を活用したオンライン学習の機会を提供しています。

この取組の中でITやDXを学び、社内業務に活かしている企業の事例を取材しました。
今回は、鳥取市に本社を構える日本海ケーブルネットワーク株式会社の高力さん・山本さんにお話を聞きました。

【話し手】日本海ケーブルネットワーク株式会社
総務部総務課 高力広徳さん
CS推進部お客様課 山本学さん

▼ 鳥取県庁の「オンライン学習受講促進事業」の詳細はこちら ▼


社員に幅広く学びの機会を提供したい!まずは若手から学習をスタート

― 御社の事業概要について教えてください。

高力:日本海ケーブルネットワークは、鳥取県の東部・中部に位置する2市2町でケーブルテレビ事業を行っている会社です。
地上波をはじめBSや各種専門チャンネルの配信と、近年は光インターネット、スマートフォンといった通信事業も担っています。

当社の営業エリア内にはおよそ9万5千世帯がありますが、そのうちの約7割である6万4千世帯のお客様が当社のサービスをご利用くださっています。
地元の通信インフラを担う会社として、30年間にわたり地元の協力会社などと連携しながら事業を営んでいます。

― 高力さん・山本さんはそれぞれどのような業務を担当していますか。

高力:私は総務部門に在籍し、主に社内資源の調整・維持・割当てと採用活動を担当しています。
今回の鳥取県の「オンライン学習受講促進事業」では、社内の学びのニーズの掘り起こしから社員への声がけ、受講者の取りまとめ、Udemyライセンスの配布なども私の担当業務です。

山本:私はCS推進部お客様課に所属しています。
業務内容はカスタマーサポートで、当社のサービスをご利用中のお客様の電話応対を主に担当しています。
お客様のご契約内容の変更などの諸手続きに加え、不具合対応で訪問による修理が必要な場合は、社内のスタッフや提携業者さんへ情報を連携する仕事も行っています。

― 今回、鳥取県の「オンライン学習受講促進事業」に参加するにあたり、御社が持つ課題はどのようなものでしたか。

高力:当社は以前から、社員の教育体制に課題を抱えていました。
自主的に学ぶ社員は知識やスキルを着実につける一方で、どこで学びの機会を得ればいいか迷っている社員へのフォローが十分でなかったのです。
そんな社員にも学ぶ場を提供できないかと考えていたところ、鳥取県が行う「オンライン学習受講促進事業」の活用機会を得ました。

実は私が担当になる前の一昨年度から、当社はこの事業でUdemy学習に取り組んでいました。
しかし、一昨年度はあまり社内で学びの風土が広がらず、十分な効果が得られなかったようです。
そこで昨年度に立て直し、まずは若手社員から学習機会を作ることにしました。

想像以上に社員から反響が寄せられ、学びのニーズの高さを再認識

― 昨年度からオンライン学習へ本格的に取り組み始めたということですが、社内の学びへの意識が変化した実感はありますか。

高力:昨年度は入社1年目だった山本をはじめ、若手社員を対象としてスタートしました。
また、当初は会社が定めたテーマに沿って受講を促しましたが、やはり社員自身が興味のある分野でないと学習効率が良くないという反省がありました。
そこで、今では本人の学びたい分野を自由に選択できる形としています。

受講者は希望制で、学びたいことがある人を集めるのですが、回数を重ねるごとによりベテラン社員からも手が挙がるようになりました。
この分野、実は基礎がよくわかっていなかったんだよね」とか「学習をもっと続けて学びを深めたい」という声が聞かれるケースが増えたのは、とても嬉しい変化です。

― Udemyを活用したオンライン学習では、社員の皆さんは主にどのような内容を学んでいますか。

高力:ニーズが多くあるのはExcel関連の講座で、「Excelを使いこなして業務効率を上げたい」という考えを多くの社員が持っているようです。
しかし、当社ではこれまで社内にそんなニーズが埋もれていることを把握できていませんでした。
今回のUdemy学習の機会を通して、社内への声がけとレスポンスを集めるうちに「社内にこれほど学びたい人がいるとは」と驚いたほどです。

それ以来、Udemyに限らず社員が学習機会に触れられるような働きかけを総務部から意識して発信しており、地元でポリテクセンターなどが実施する講座も積極的に活用しようという動きが始まっています。

― オンライン学習自体は、もともと御社でもなじみのある学び方だったのですか。

山本:私はちょうどコロナ禍に学生時代を過ごしましたので、大学でも動画やライブ配信の授業が身近にあり、Udemyを使った学習も抵抗なく受講できました。
特に違和感はなく、学びの一つの方法としてとても良いものだと感じます。

高力:私は山本と逆で、「動画で本当に身になる勉強ができるの?」と当初は懐疑的でした。
しかし実際に受講してみると、多くの講座で一つのコマが10分程度と短く設計されており、少し空き時間ができたときなども気軽に学びやすいと感じました。
また、鳥取県という地方では教えてくれる講師がいないテーマや、特定の言語・プラットフォームに特化した講座も受講でき、私の中ではUdemyが1つの学習の選択肢として追加された機会でした。

Udemyで学んだ知識をもとに自社サイトの改修へと踏み出した

― Udemyでのオンライン学習について、使ってみた率直な感想をお聞かせください。

山本:私の担当業務は基本的にお客様を相手としているので、なかなかまとまった学習の時間を取ることができずにいました。
そんな中でも、数分単位で区切られたUdemyであれば、ちょっとした隙間時間に学習を進められます。
講座を受けるために何時間も自分の予定を空けなくていい点がとても助かりました。

高力:特に山本が所属するお客様課は、お客様からいつ電話がかかってくるか、タイミングが予測できません。
そのためUdemy学習が進めづらそうな雰囲気も見受けられたので、自席から離れて学べるよう会議室を確保し、「この時間枠は学習にあてましょう」という試みも行いました。

山本:自席を離れて学べる環境があるのはとても良かったですね。
電話を気にしなくて済むため、集中して受講できたと思います。

― お二人が学んだものの中で「これは特に役立った」と思う内容は何ですか。具体的な講座名もぜひ教えてください。

山本:最近、社内ではウェブ解析やGoogleアナリティクスの活用を進める動きが活発化しています。
その中で私はGoogleアナリティクスに関する講座や、そもそもDXとは何か、インターネット・ネットワークとは何かを学べる基礎講座も学びました。
業務の引き継ぎなどで今後携わっていく分野について、学んでおいた方がいいと思う知識を中心に講座を選びました。

▼ 山本さんのおすすめ講座 ▼

高力:私は山本と同じくGoogleアナリティクスを学ぶとともに、業務でよく使用するExcelの講座も受講しました。
日々なんとなく使っているExcelも、改めて学ぶと「これは知らなかった」と思う技術がたくさんあり、大変勉強になりました。
また、マイクロソフトのPower Automateが基礎から学習できる講座もとてもわかりやすいと思いました。

▼ 高力さんのおすすめ講座 ▼

― お二人ともGoogleアナリティクスを学んだそうですが、業務においてUdemy講座をどのように役立てていますか。

高力:そもそもGoogleアナリティクスを学ぶきっかけは、当社のWEBサイトのFAQページを改善し、お客様にとってより便利なものにしたいと考えたからです。
お客様がよく見るページはどれか、検索クエリは何か、対象ページには改善の余地がないかといった課題を解決するため、分析結果を正しく読み解けるようになりたいと思いました。

Udemy学習でGoogleアナリティクスの基礎知識がついてからは、社内で「今月はこの項目の閲覧数が多い、こんな検索ワードが多い」という振り返りを新たに行うようになりました。
まだまだ運用しながら進めている段階ですが、今後も分析と改善を繰り返していきたいと思います。

山本:お客様にとっては、電話をしなくてもWEBサイトを見れば疑問点がある程度解決できる方が便利だと考えます。
そこで、FAQに加えてお客様向けのマニュアルを作成することも始めています。
GoogleアナリティクスのUdemy講座をきっかけに、WEBサイトの改善までたどり着けたのはとても良い流れだったと思います。

まだ電話の件数が減るなどの成果に直結したわけではありませんが、私自身がお客様と電話でお話する中で「FAQやマニュアルを見て、『こういう場合は電話してください』と書いてあったので連絡しました」という方もいらっしゃいました。
サイトを見てくれる方がいること、きちんとお問い合わせまでお客様の動線がつながったことが嬉しく感じた瞬間でした。

DXビジネスデザイン人材育成講座【入門編】では、社内DXの新たな知見を得た

― 山本さんは、鳥取県で2023年度から始まった「DXビジネスデザイン人材育成講座【入門編】」にもご参加いただきましたね。受講の感想をお聞かせください。

山本:最近、社内でDX推進に携わることになり、そのための知識を学ぼうと参加しました。
これまで他企業の社員とオンラインで対話する機会はほとんどなく、またDXに関して他ではどういう取り組みをし、どういう悩みを抱えているのかを知る機会もなかったため、私にとって非常に学びの多い講座でした。
他の参加者との対話により、自分自身の経験や発想だけでは生まれない視点で物事を見ることができたのが新鮮でした。

― 講座で学んだ内容が実務に活かせた場面はありましたか。

山本:講座では「社内のDXをどう進めるか」などのテーマでグループディスカッションを行いました。
その中で「DXに取り組むにはこういうプラン、過程で進めよう」というように、一つの目標に対して細分化したステップを設定しました。

この経験から、社内でも目標に対して大きく取り組むのではなく、「まず現状を分析しなければ」とか「このステップは本当に必要なのか」と一つずつ切り分けを行うようになりました。
最初は小さなことから取り組み、最終的に大きな目標を達成する進め方が実践でき始めたと思います。
コツコツ進めるのは今まで不得意だと感じていましたが、改めて地道に継続することの重要性を学べたことは大きな転機となりました。

「知らないなら学ぼう」を社内にもっと広げ、学びの意識醸成を図る

― 御社の社員の皆さんはとても意欲的に学んでいる様子が伺えます。それほど学びに積極的になれる秘訣は何でしょうか。

高力:ここ数年ほど、当社は社員の学び直しや新しいシステムの導入などに積極的に取り組んでいます。
最近ではデータ分析の手法を取り入れたり、RPAを導入して業務の自動化を進め、人の手で行う作業を減らすといった例がありました。
まだ一部の業務のみで導入した状況ではありますが、社内で徐々にITを活用する分野を増やす流れが広がっています。
その中で新しいシステムや取り組みへの感度が上がり、現場では学びの雰囲気が生まれるという、前向きな風土が根付き始めていると感じます。

― 今後もますます御社で学びの意識を広げていくために、何かチャレンジしたいことがあればぜひお聞かせください。

高力:社員が学びやすい雰囲気を作るために、まずは総務部門や部署のリーダー・所属長などから声かけを積極的に行い、受講を促すための時間や場所の調整はこれからも続けていきたいと思っています。
若手社員が学びたいと思っても、自分から「学びのために時間を空けてほしい」と発信するのはなかなか難しいと考えるからです。

社員のそんな気持ちをしっかり汲み取り、会社として積極的に学びの機会・場所の提供を図ることが重要です。
現場の社員が学びによって変化する姿を見ると、ベテラン社員にも「会社はきちんと成長の機会を与えてくれるんだな」と伝わり、さらに学びの重要性が社内に広がればいいなと思います。

山本:今後のキャリアを考えると、今と同じ業務をずっと続けるわけではありません。
異動や新たな業務へ取り組む機会が訪れたとき、「自分の持っていない知識は学ぶ機会が得られるんだ」という意識が、少しずつ社員に伝わっていると思います。
Udemyのオンライン学習を使うことで、学びへのハードルはずいぶん下がった実感があります。

高力:「これまでやっていないこと、知らないこと」は、どうしても「私はできない」という尻込みの理由になりがちです。
しかし、「知らないから手を出さない」が社内に定着してしまうと、社員個人の成長はもちろん、会社の成長も止まってしまうと思います。
今後も社員の学びのニーズを引き出すことを続けながら、「知らないなら学んでみよう、一緒に挑戦してみよう」という考え方を持った組織に変わっていけるよう、前向きな学びの意識醸成に努めます。

【行政DX通信 編集部より】
社内にある学びのニーズを積極的に掘り起こし、そこに合った学習機会を提供したいという熱い想いが伝わってきます。
「知らなければ学ぼう」を合言葉に、今後もますます会社が進歩していく未来が見えるお話でした。本日はありがとうございました。