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業務のDX化で作業時間を25分の1に短縮!中小企業の人材育成においてUdemyが果たす役割とは?|埼玉県川口市のUdemy活用事例【後編】

埼玉県川口市では、事業所にお勤めの方および市内在住の方(※)のデジタルスキル向上を目的として、2023年度からUdemy Business(以下、Udemy)を活用した「デジタル人材育成オンライン講座」を実施しています。

この取組の中でITやDXの知識を身につけ、日々の仕事に活かしている事例を取材しました。
後編の今回は、川口市内に本社を構える藤倉応用化工株式会社の篠田さんにお話を聞きました。

※市内中小事業者の経営者や従業員、個人事業主、起業を目指す方、求職中の方

【話し手】篠田正英さん(藤倉応用化工株式会社 総務グループ リーダー)
経理・財務及び資材調達の分野で、20年間の豊富な経験と実績を有する。2023 年よりグループリーダーを務め、リーダーとしてコミュニケーションを重視し、職場環境の向上と組織全体の円滑な運営に貢献している。

▼埼玉県川口市のUdemy活用事例【前編】はこちら▼


DX格差から発生する経営格差をなくすため、Udemyで学ぶことを決意

―まず、御社の事業概要と篠田さん自身の仕事内容について教えてください。

当社は1914年に創業した、塗料と接着剤の製造販売を行う会社です。
創業当時はおもちゃに使われる塗料から事業をスタートさせ、近年ではプラモデルなどの模型や、フィギュア・釣り具・スポーツ用品といったホビー向けの塗料を製造しています。
ニッチな分野ではありますが、鮮やかな色と高い安全性で多くのお客様にご支持いただいています。

その中で私は総務グループに所属しています。主な担当業務は経理と財務、そして資材調達です。
入社して20年ほど経ちますが、これまでずっと経理や財務を専門としてきました。

―今回、川口市の「デジタル人材育成オンライン講座」でUdemyを活用した学びに挑戦しようと考えたきっかけは何でしたか。

当社は2021年頃に勤怠管理システムの更新があった際に国のIT導入補助金を活用しました。
補助金の申請では川口市からも助けをもらい、市の担当者とやりとりする中で「デジタル人材育成オンライン講座」が開催されることを知りました。
以前からデジタル領域や業務のDX化に興味があったため、ぜひこのチャンスを活用して学びたいと考えて参加しました。

―篠田さんがデジタルやDXに関心を持っていたのは、身近な業務に何か課題を感じていたからですか。

新しい勤怠管理システムを導入するにあたってセミナーなどで学ぶ中で、やはり「DX格差は経営格差につながる」と痛感するようになりました。
当社はまだまだ紙の伝票を使った作業が当たり前に行われていて、まずはその部分を変えて生産性を上げたいと考えました。

一方で、システムを入れれば問題がすべて解決するわけではありません。
デジタルでできることを正しく理解し、応用力がなければ現場の仕事に上手く当てはめられず宝の持ち腐れになります。
また、トラブル発生時もある程度は自己解決できる能力がなければ、システムは使いこなせません。
そういった経験を通して、ITに詳しい人材が社内にいないことに対する危機感を覚えて、事業への参加を決めました。

25分の作業が1分以下に!Udemyの学びを通じて初めてのプログラミングで業務効率化

―篠田さんがUdemyで学んだことが実務に活きた事例があれば教えてください。

経理や財務の業務を効率化するため、Pythonを使ったプログラミングを学びました。
当社では、販売管理システムから売上データを出力して、会計システムへ入れ込む作業を毎日行っています。
販売管理と会計のシステムは別のものなので、データを移す際には販売管理システムでエクスポートしたExcelの中から必要な部分だけを抜き出し、インポート用のファイルを作成する必要があります。

この手作業がなかなか大変で、入力や計算が必要な項目も一部あるため、最大25分ほどの時間がかかっていました。
そこを自動化するために、今回Udemyで学んだPythonの知識を活用してプログラムを作りました。

―Pythonで作成したプログラムによって、具体的にどれくらい時間短縮できましたか。

インポート用ファイルを作るのがボタン一つ、1分以内ですぐ終えられるようになりました。
1日25分とはいえ、積み重なるとかなりの時間になりますから、他の仕事にも時間を割けるようになったと実感しています。
複数人が関わる作業だったため、他の社員も時間の短縮ができたことを喜んでくれました。

▼篠田さんが学んだ講座はこちら▼

学びと実践を繰り返してスキルアップできるのがUdemyの魅力

―Udemyを使ってみて、率直にどのような感想を持ちましたか。

オンライン学習で学んだのは初めてでしたが、セミナーに参加したりスクールに通ったりすることに比べて、圧倒的に始めるハードルが低いと感じました。

私自身はUdemyの受講当初、具体的に「これを学びたい!」と決めていたわけではなく、ITやDX、業務効率化などのキーワードでいくつかの講座を試しに見てみました。
その中で徐々に興味のあるものが明確になっていき、自分に合う講座を見つけることができました。

セミナーやスクールは1回申し込むと、自分に合うかわからない不安を抱えながらも最後まで学ばなければいけない側面があると思います。
その点、Udemyでは「この講座は求めていたものと違うな」と思ったら、別の講座に変えられるのが良いですね。
以前から業務に役立ちそうな本を購入して学ぶことはありましたが、まさに今解決したい悩みに合う講座をその場で見つけられるのはUdemyならではだと思います。

―もともと本で学習する習慣がおありだったんですね。Udemyと本を比べた場合、違いを感じるのはどういった部分でしょうか。

本は知識をつけることが主な目的になりがちで、本を読みながら同時進行で実践することはあまり多くないと思います。
でもUdemyでは、今回私が受講したPythonの講座のように、講師の話を聞きながらプログラミングの手を動かすことができます。

私の学習の進め方としては、基礎知識を扱うUdemy講座で一通り学んだ後、すぐにプログラミングを開始しました。
そして応用的な講座を聞きながら作ったものを改良したり、問題が起きれば自力で解決したり、そういった試行錯誤の中でさらに学びを深められたという実感があります。

―プログラミングの実践と学びを繰り返して知識をつけるのは、とても理想的な学習方法だと感じます。今回得たPythonのスキルですでに業務効率化も達成していますが、今後はどんなことにチャレンジしたいですか。

販売管理システムから会計システムに売上データを移す作業について先ほど紹介しましたが、他にも同じようにシステム間でデータをやりとりする業務があります。
すでに得意先データの移行については、売上データと同じ形でPythonを使って効率化が実現しています。

他には経理や財務業務で、経営者が必要とする資料の作成業務も定期的に発生します。
一般的な損益計算書や貸借対照表は会計システムで出力できますが、そこからさらに踏み込んだ前年度との比較などの資料作成についても、Pythonを使って効率化できる可能性があるので今後ぜひ取り組みたいと考えています。

DX化の価値を社内へ発信し、学びの輪を広げたい

―引き続きDX化に取り組んでいくために、篠田さんが目指す今後の展望があればお聞かせください。

実は今回私が作ったプログラムとその成果について、社内で発表する機会がありました。
その話を聞いた広報担当者が「自社のWEBサイトのリニューアルやSNS運用を始めようと思っていたが、その知識を得るためにぜひUdemyで学びたい」と言い、さっそく川口市に申し込みをしました。

久喜市にある自社工場も含め、まだまだ社内には人の手が必要な作業や、無駄のある作業が数多くあります。
その課題について「ITやAIをうまく使って改善したい」「もっと簡単に業務を回せるようにしたい」という考えを徐々に広めるために、今後も情報発信を続けて社内で学びの文化を根づかせたいと思います。

―とても熱心に学習しながら成果を社内で共有している篠田さんですが、そのモチベーションはどこから来ているのですか。

今まで、プログラムの分野は自分には関係ないものだと思っていました。
実を言うと、真っ暗な画面にアルファベットが並ぶのを見るとアレルギーが出るタイプだったんです。
でも、Udemy講座の学びを通して「プログラミングは理系の人だけのものじゃない、やる気さえあれば誰でもできる」ことを知りました。
それならと挑戦してみた結果、作ったプログラムが動く様子を見ると純粋に楽しいと感じます。

面倒だった業務が楽になり、時間短縮ができて他の仕事に作業時間を回せるのは大きなモチベーションにつながりました。
今はその経験を周りの人にも発信して、総務グループの後輩や部下たちが主体的にDX化に取り組む姿を見ることも私の原動力になっています。

―最後に、川口市の「デジタル人材育成オンライン講座」に対する感想をお願いします。

中小企業では人材育成に時間とお金を使うのがなかなか難しい中で、川口市の「デジタル人材育成オンライン講座」はまさに「痒いところに手が届く」非常にありがたいものでした。

当社の場合は、川口市とIT導入補助金の件でコミュニケーションが取れていた中でお知らせを受け取ったのが非常にタイミングとして良かったと思います。
学びの場を求める中小企業は数多くあると思いますので、今後もこの事業を必要とする人にぜひ届いて欲しいですね。

当社もDX化の必要に迫られているものの、まだまだITに詳しい人材の育成には課題があるため、Pythonのプログラムで業務効率化をしたような実績を積み重ねていき、徐々に人材育成の重要性を広めていければと思います。

―自治体の支援がしっかりと中小企業に届き、Udemyの学びと現場での実践に結びついた好事例をお話いただきました。
篠田さんが意欲高く学習を続けることで、きっと周囲に良い影響と変化を与えることでしょう。本日は貴重なお話をありがとうございました。