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リクルートの新しい採用「KEEP YOU WEIRD」の価値はどこにあるのか?マーケティング観点から考えてみた。

つい先日、リクルートグループ各社の新卒採用が統合されるというニュースがありましたね。

「KEEP YOU WEIRD」という、直訳すると「変人であれ。」という意味のコンセプトですが、まさしく「圧倒的な多様性が、圧倒的な共創に火をつける」という言葉にその全てが凝縮されている感じがします。

SNS上でもかなり話題になったこのリクルートの新しい新卒採用の仕組みですが、なんとなく「新しい変革が起きた!さすがリクルートだ!」みたいな雰囲気にあるような気がしてて、個人的に「一体、何がどう変革で、なんでそれをリクルートがやる必要があるのか?」みたいなところに違和感を持ってたので、このところ頭の片隅に置きながらツラツラと考えてた。


話が少し逸れるかもしれないが、ここ近年でかなり「ダイバーシティ・マネジメント」という企業の経営人事戦略がアメリカ筆頭に、日本でも色んな企業が導入検討を含め話題になってますね。

このマネジメントスタイルが注目されてる背景は、まぁかなり複雑的な要素同士が相関してはいますが、世間一般的に認識されているものは、

・少子高齢化社会/人口減少(特に生産年齢人口の減少)

・人間寿命の長寿化

・ヒトの価値観の多様化(=多様なキャリア形成が可能になってきた)

といったところが挙げられていて、国や企業にはそうした状況下でも世の人々が生きられる仕組みを構築することが求められる時代になってきた。例えば、国は企業に「障害者雇用促進法」という法律を義務付け、かつ企業は企業単体でそうした「多様な人間を受け入れるための仕組み」と「そうした人材が戦力となる(活躍できる)仕組み」の2つを同時に作ることが必要不可欠になってきた。

この変化の流れは、かつての「市場や製品」に重きを置いた企業戦略(組織は戦略に従う)から、「人材」に重きを置いて企業や製品の付加価値を高めていきましょう!という戦略(戦略は組織に従う)へと変わったとも言えるんじゃないかと思う。

まぁ何が言いたいかと言うと、このご時世「人を大切にできる会社じゃないとこの先生き残っていけませんよ」ということ。

ただ、僕が思うにこの「多様性を受け入れる」というのは、生産年齢人口が減るとか少子化とか価値観の多様化だけではちょっと足りないというか、それだけで語るにはあまりにも世の中がシンプルすぎる気がしてた。

で、考えて思ったのは「第4次産業革命」との繋がり。

もうこの言葉すらも聞き慣れて当たり前になってきたので、良い意味で淘汰されてる感じがしますが、いわゆるIoT、AI、ビッグデータといったテクノロジーの発展がこの「多様性を受け入れて、その多様性を活かす」という所に繋がってるんじゃないかと。

というのも、こうした技術を扱う企業というのはもちろんFacebookやGoogleに代表されるIT企業で、それらのほとんどは「サービス(第3次産業)」に活用されていた。そして面白いことにIT企業というのは「従業員の働く満足度」が他業界に比べ非常に高い

それがなぜかを考えた際に出てくるのが、「インターナル・マーケティング」というサービス・マーケティングにおける一つの概念。

このインターナル・マーケティングとは、企業が顧客満足度を高めるために従業員に対して行うマーケティング活動のこと(例:教育や動機付けなど)。この企業→従業員へのマーケティングというのは、サービスが持つ特徴の1つである「同時性(生産と消費が同時に起こる)」が存在することが前提として、消費する顧客と直に接する従業員を支えることで顧客満足度を高める、という考えが象徴されている。

しかし第4次産業革命で何が起きたかと言うと、その「同時性」が第3次産業だけでなく、第1次・第2次産業でも起き得る事態となってきたのだ。

つまり少し大袈裟に言うと、この「企業が従業員へマーケティングを行う」という考えをこの世に存在する全ての企業が重視せざるを得ない状況になってきた。


こうした激しい変化の流れから、世では「多様性を受け入れ、多様性を活かす」ということが訴求されてきたとも言えるんじゃないかと思う。


リクルートという会社は皆さんご存知の通り、この日本の採用文化を創ってきた会社だ。新卒一括採用という、採用時期が決まり、年齢も8割くらいみんな同じで、エントリー手法もどこも同じという、まさに今の現代に反した「画一的な反多様性」の文化を日本に浸透させてしまった。でもそのリクルートが今回打ち出した「KEEP YOU WEIRD」は、その文化を自ら破壊しに行き、新しい採用文化を日本に浸透させようと、偉大なる挑戦をしているように思える。

「企業は人なり」とよく言うが、その「人」を日本企業だけに適用させ、「画一的な人材」に仕立て上げ、ついにグローバル競争を追いかける側となった多くの日本企業。


だからこそこの「変人であれ。」というコンセプトの採用は、単に「リクルートが勝つため」の人事戦略なんかではなく、「日本企業がグローバルで勝ちに行くための戦略」という新しい文化を創りに行く、いかにもリクルートらしい多くの日本企業の先陣を切り、「お前ら俺たちに付いてこい。」と背中で語っているかの如く走り始めた。


それがこそが、僕はリクルートが行う「KEEP YOU WEIRD」の価値、なんじゃないかと思う。

#リクルート #新卒採用 #KEEPYOUWEIRD



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