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宇田川准教授にインタビュー!後編【オープンゼミ直前記事⑧】

こんにちは、宇田川ゼミ3年の鹿嶋です!

今回はオープンゼミ開催に向けて、宇田川准教授に意気込みや、研究に関することについてのインタビューの後編になります!

前編を読んだ方は、後編を楽しみにしてくれていたのではないでしょうか!?😆前回の記事をまだ読んでいない方はこちらから、是非ご覧ください!


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研究を通じて自分のメッセージを明らかにする、伝える


渡)次に、先生が研究を進めていく中で意識していることは何でしょうか。

宇)研究を一体何を解き明かす研究なのかを意識するのがすごく大事なことだと思います。

その上で、それがわかるためには何が必要で、学問体系とか世の中にとってどういう意味があるのかをしっかりと考えることが必要なんですよね。結局、まず自分が面白いと思うことが一番大事なんだけど、これを研究する意義があるのかという位置づけとかもすごく大事なわけです。

経営学の今までの研究の中でこういう研究はあるけれど、ここは分かっていないから、それを今回考えるんだ!と明確にする。それをした上で、分かったことをさらに掘り下げたらどういうことが言えるのかをしっかり考えることが大事なんですよね。

何より大事なことは、研究通じて伝えたいメッセージがあるかどうかだと思うんですよ。それは経験も知識の量とかもあって、上手い下手はあると思うけど、下手は下手なりに、それでも伝えたいことがあるってなんか伝わるんですよね。僕も大学生の頃にゼミで研究発表をしたことがあるけれど、今思えば全然研究として稚拙だったと思うんですよ。でも今思えば、今の自分の『他者と働く』にも通じる問題意識があったんですよね。それは例えば、世の中に対してこれはおかしいんじゃないかとか、これはこうしたいと思うこと、それはひとりよがりの可能性もあるし、視野が狭いだけの可能性もあるから、それはしっかりいろんな人と議論を重ねることが大事なんだけども。逆に、研究で伝えたいことがないなら研究しなくてもいいのかもしれない。

学生が研究をするうえで大事なのは、伝えたいことと思えることを自分なりに見つけることでもあるよね。僕でさえ、最初に「こういうこと伝えたい」と思って、いま3冊目の本書いている中でも、最初に伝えたいなと思ったことが、どんどん深まって変わっていくんです。

深まって、変化していくってこと、それが学ぶってことだと思います。

そして、伝えたいことに対して独りよがりにならないで、いろいろ考えを深めることができるのが研究という方法の良いところだと思うんです。だから、僕は自分のメッセージを研究でも意識していて、それが独りよがりになってないか確かめるために学問というほかの人の視点を借りることもあって、そこから自分の考えてることが言えるのかなとか、あるいは世の中に向けて書くとき、世の中の人から見てどういう意味があるのかを考えることができるのが研究のいいところだと思いますね。

渡)ありがとうございます。「変えたいこと」をテーマにしたというお話があったと思うんですけど、「これを変えたい」という時点では抽象的だったメッセージを、自分の具体的なメッセージとして表せるようにするための研究の過程なのかな、と思いました。

宇)そうですね。最初はそのままを表すわけじゃないじゃないですか。当然やった過程で深まって、でも常にやっぱり何か伝えたいことがあるのはいい研究だと思うんですよね。

僕はピエール・ブルデューっていう人類学者が好きなんです。彼は自分の経験から、なぜ人間は平等じゃないのだろう、どのようにそうなるのだろうといった問題を考えていたらしいです。だから、彼は格差がどういう風に生まれてくるのかを解き明かすような研究をしている。みんなその世の中に対して、おかしいんじゃないのかなとか、悲しいや怒りとまではいかなくても、それに近いことを感じるとか、あるいは嬉しいこともあると思うんです。勉強をしているだけだと、そういうのも関係ないからとりあえず勉強しろって言われるけれど、でも研究ってそれだと出来ない。勉強の意識のままやる研究は全然面白くないと思うので、そういう意味で面白い研究してほしいなって思う。研究している自分が面白いものは、結構ほかの人も面白かったりするしね。

渡)ありがとうございます。

研究に必要なのは、好きなものに対する努力

渡)研究の話が続きますが、先生は研究が行き詰った時、どのように解決しようとしていますか?

宇)行き詰った時でいうと、2冊目の本を描いたときに、企業変革の今までの議論に対して何かおかしいと思い、何か書きたいなと思ったんですね。それがなかなか書けなかったのが、最近書けるようになってきた。そのために何をしたかをを自分なりに振り返ると、3つほどあるんです。

1つ目は、自分が何にもやもやしてるのかを、議論をして整理する。いろんな人と考えていることについて議論をしたんですね。学生としても大事だのは、議論をしっかりすることですね。何がうまく前に進まないでいるのかを真剣に手を抜かないで議論する。手を抜かないってすごい大事なことで、手を抜いてしまうと議論が深まらない。

2つ目は、インプットをする。とにかくしっかりと本を読んで、しっかり情報を収集して考えた上で議論をする。インプットして議論をするっていうこと地道にやる。

3つ目は、アウトプット、つまり書く。そして、書いたものをほかの人に読んでもらってコメントをもらう。ある意味、書きながらディスカッションする。しかも、書くと何がわからないのかがわかって、何か足りないならばインプットするし、曖昧ならば議論をするというようなことをひたすらやり続けることです。思ったよりストイックな回答でしたね(笑)。でもそういうことです。

渡)そのぐらいしないと、研究として自分の意志を持ってまとめるのことは無理だろうなというふうにも感じますね。

宇)だから、僕はほとんど四六時中研究のこと考えてる。朝起きて夜寝る直前までずっと考えているかもしれない。例えば、外食をする時も、バイトの人がどういう人たちか、客層どうかな、価格設定、メニュー構成はどうかなみたいな、ああなるほど、こうやってビジネス成り立ってるんだ、とやっぱり考えます。でもそれが面白いわけです。つまらなかったら続かない。そこに面白さを見出しているからやれるっていうところもあるので、大変なことをわざわざやっているわけではないというか。どうやって乗り越えていますかって言われたらそう答えますね。大変なことだけれど、好きだからできるって感じかな。

渡)ありがとうございます。

宇)講演が終わった後に聞き手の人と話すのもまたいいんですよね。こういうふうに相手が受け取るってことは、こういうことが起きてるんだなと考えるわけです。そういうのは常に研究だなと思いますね。

渡)そういう意見を聞くと、やっぱりゼミ内でのフィードバックも価値のあるものなのかなと感じますね。

宇)今まで思ってなかったの(笑)。

渡)正直、相手の意見が的を得ているのかも疑心暗鬼になっちゃうこととかもあったので、そうやって受け取ってくれたんだなあと考えることをまず念頭におきたいと思いますね。


さいごに


渡)最後になりますが、今回のオープンゼミでも先生の時間を設けさせていただいたということで、これについてコメントお願いします!

宇)いま自分の研究上考えていることや、3冊目の本も書いてるし、その中で考えていることを限られた時間だけど少しでも話せたらいいなと思いますね。よく本はいつ出るんですかって言われるんですけど、僕が書き終わらないと出ないので、それは聞かないでほしいです(笑)。でも、春には出したいと思って頑張っているところです。

渡)楽しみにしております。

宇)そうですね。僕もこの2,3ヶ月で考えも相当深まったところもあるのでこの辺りも話せたらいいかなと思いますね。企業変革がテーマですけど、僕はやっぱり『他者と働く』から続く一貫したテーマを持っているつもりなんですね。でもそれぞれのテーマに即してしっかりとその視座を示していくことはすごく大事なことだと思うんです。だから例えば、同じスパゲッティでも食べる人によってレシピを変えますよね。今書いている本は、経営者とかコーポレートの人事や経営企画とか、あるいは、事業責任者とか、そういう人向けのテーマではあるんですけど。大学では僕は経営戦略論教えるわけで、戦略論的な色彩もある自分の考えも、『他者と働く』から繋がっているものも示して行きたいと思っています。なので、お楽しみに。

渡)ありがとうございます。本日のインタビューは以上になります、ありがとうございました!


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以上、宇田川元一准教授への突撃インタビュー、後編でした!

とても学びになる内容ばかりでした!!記事にもあった通り、オープンゼミ当日は宇田川先生のお時間も設けております。少しでも興味を持ってくださった方は、是非是非ご参加ください😍

次回はB班の研究についての記事を投稿します!お楽しみに!!

オープンゼミの参加者はまだまだ募集中ですので、ぜひ下記の参加フォームからご応募いただけたらと思います!

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2022年度第2回宇田川ゼミオープンゼミを開催します。

今回は3年ぶりのオフライン開催です!!

【日時】2023/1/24(火) 18:00~21:00 (開場 17:30)

【場所】住友不動産六本木グランドタワー(南北線 六本木一丁目駅直通)
株式会社Yappli 六本木オフィス
※アクセス等の詳細は以下のURLを参照ください。
https://news.yappli.co.jp/n/n5d59f2d3c9af 
※詳細は参加者の方に後日メールにてお伝えいたします。

【内容】4つの班による研究発表とそれに基づく参加者の皆様とのディスカッション
A班「90年代から日本の性教育の変革(変化)がないのはなぜか」
B班「国内のキャッシュレス事情」
C班「公立学校の教員の意見を反映した労働環境の改善が行われないのはなぜか」
D班「社会問題化した体罰事件から見る体罰対応のあり方」
宇田川准教授の最近の研究内容についての発表

【参加費】無料
 ※書籍購入費・文献コピー代等の研究費のため、当日に皆様からご厚志を募りたいと存じます。趣旨にご賛同いただけましたら幸いです。
 ※打上げ等の費用等には使用いたしません。大切に使用させていただきます。

【連絡先】 openzemi_udagawaseminar@yahoo.co.jp
 ※申込時に頂いたメールアドレスには、ご連絡と今後のイベントご案内をお送りします。ご了承ください。

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※ソーシャルディスタンスの確保のため、定員を設けています。お早めに申し込みください。

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