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「働くこと」を別の視点から眺めてみる(オープンゼミ直前連載⑤)

皆さんこんばんは!!

三年生の新野です。

ついにオープンゼミの日が迫ってきました…

今年の集大成かと思うと、とても緊張しますね。。

まだご参加されてない方はお早めにどうぞ!(参加締め切りまであと少しになります!!)


さて、今日は弊ゼミの宇田川元一准教授にローーーングインタビュー!

インタビューさせていただいて大変勉強させていただきました。

是非最後までお読みください!


オンラインという方法が一つ”加わった”

新野)今日はよろしくお願いします!!

宇田川)よろしくお願いします。

新野)まず最初にお伺いしたいのは、今年度の活動を振り返ってですね。

今年は例年とは違うオンラインでのゼミということもありましたが、今年のゼミの活動は総括していかがでしたでしょうか?印象に残っている活動や、いいなぁと思ったことがあれば教えてください。

宇田川)率直に言って、去年よりもさらにチームワークが高まったなあと感じています。

4月に緊急事態宣言が出され、講義開始時期も繰り下げられました。僕自身も含め、皆が不安を感じる中で、この繰り下げ期間に、第1タームのゼミをどうやっていくか、今年全体もどう運営していくのか、ということについて、コアチームを作って考えました。ここには僕も加わってチームで意見交換をしました。


また、オフラインでゼミが実施できない前提が出来たことで、かえってグループ研究の研究チーム内でのディスカッション頻度も上がったことも大きな変化だと思います。まだ来年はコロナの状況が読めませんが、オンラインという方法がひとつ加わったように感じています。

毎回のゼミの運営も、コアチームのゼミ生たちがよく考えて、交流がないなと思ったらオンライン飲み会をしたり、空気が悪くなっていたら少し話し合いをしたり、皆でとても助け合って進めたように思います。

印象深かったのは、新ゼミ生の採用ですね。毎年2年生のゼミ生が中心になって選考方法を考えるのですが、今年はオンラインでの実施ということもあり、例年と違う中で選考コアチームのメンバーが中心になって非常に良い選考ができたと思います。

「大変だったけれど、辛くなかった」とコアチームのメンバーが語ってくれていましたが、それはやっぱり、彼が主人公として選考を作っていっただからと思うんですよね。

皆、それぞれ持ち味は違うんだけれど、宇田川ゼミとしてのディシプリンという、そういうものが徐々に出来てきて、その結果、それぞれの持ち味が出てきたと言う感じがします。


なんというか、非常にいい一年だったなあと思いますね。


新野)確かに、今年は各班オフラインで会えないことで、いかに班の集まりを継続させるのか、かなり考えて行った印象です。班によっては、毎週固定でミーティングの時間を作ったり、チーム内で予定を共有したりすることが多かったと思います。

また、場所の制約にとらわれなくなったことも大きな要因かもしれませんね!!


自分の仕事を「 」に入れてみる意義

新野)では次に来週行われるオープンゼミについてお伺いしたいと思います。社会人の方々が学問と接する機会は日常では少ないかと思うんですよね。その中で、先日先生は、Facebookにて、日常の自分の活動を「」に入れることの重要性を指摘されていました。

よりその点について具体的にお話しいただいてもよろしいでしょうか。

宇田川)はい。

よく社会人の人から言われるのは、学生が問いに対して純粋に向き合っている姿にグッと来る、ということで、これってどういうことなんだろうと考えていました。

僕なりの理解だと、やっぱり自分の関心があることを突き詰めて考えている、というだけではグッと来なくて、そこから「おお、そういうところに話が進むんだ。面白いな。意外な発見だな」というところに至るところまであるから、研究テーマの問いに向き合っているという感覚を持たれるのではないかということです。


「研究する」ということ自体は別に大学しかできないわけではないし、狭い意味での科学的な方法に拘る必要もありません。研究とは、対象に対して少し距離をとって、色んな角度から眺めてみて、対象についてよく知る、という行いだと僕は思っています。

とりわけ、研究に対して大事だと思うのは、通説や今の理解の仕方とは違う視点から対象を眺めるということです。


通説や通常の理解であれば、それは日常の中で見えている風景と特に変わりません。研究は、別な角度や別な論点から対象を見るということがポイントなのです。

「一般的に大事だと言われているけれど、マーケティング活動を積極的にすることって良いことなのだろうか」とか、

「一見関係なさそうなこの現象とこの現象は、つながっているように見えるけれど、どうしてだろう」とか。

少し論理を飛躍させたところから、そこをつないでいく論理を証拠を集めながら構築していく。そういう作業をしていくと、今までとは違う、もっと現象に対する立体的な理解が構築されていきます。

働いていると、日々の仕事を処理することにどうしても奔走することになるので、なかなか仕事について考える、とか、気になっていることについて考える、というのは難しい。でも、それをちょっとやってみると、意外な打開策が見えてきたり、発見があったりするわけです。

そのあたりは、拙著の『他者と働く』でも書いたところでもあります。「あれ、この出来事と、全然違うように見える、あの出来事、つながっているように見える」とか、発見できると「何でだろう?」となり、研究を重ねるとその論理とメカニズムが見えてくるんですね。 

だから、こういう機会に研究内容自体も楽しんでいただきたいと思うと同時に、研究という枠組みにも注目してもらえると、有用なことは結構多いのではないかと思います。

新野)なるほど…そういうことだったんですね。

確かに、僕が研究しているワインを通して見えてきたのは、「一般的なマーケティング」が出来ない、もしくはやってはいけないカテゴリーが存在することです。マーケティングって、どこの企業もやっているし、良いことなんだろうな…と漠然と思っていた自分にはかなり衝撃的で(笑)

この間社会人の友人とずいぶん長く話したのですが、その方は正社員として勤務されながらも絵のアーティストとしても活動されている方で、「二つやっているからこそ、どちらの活動も冷静に見ることが出来るし、企業のネットワークだけじゃないつながりも出来て良いよ」とおっしゃっていて、学問の研究ももしかしたら同じなのかなぁとお伺いして思いましたね。


『他者と働く』・そして二冊目のお話!

新野)では最後のご質問です!

結構僕は先生のTwitterとかを頻繁にチェックしているんですけど、2冊目の著作の執筆が終了されたとのことでしたが、今回の見どころはどこになりますでしょうか?

また、今回のオープンゼミにても先生のお時間で少し触れられたりしますか?

宇田川)まだ執筆自体は終わってません!笑
そうですね、そのつもりです。ある意味で、その中での一貫したテーマも「研究すること」だなあと今答えながら思っていました。

自分の研究テーマは、大手企業・スタートアップ企業の企業変革とイノベーションの推進なのですが、その中で敢えて対話の持っている変革的な意義とその実践について説明してるものです。

この本の中で、2人ずつ2チームに分かれて行う「2on2」という対話の方法についても触れているのですが、書いていて思ったことは、ある意味で、組織としての「研究力」「眺めて具体的に実践する力」みたいなものを上げることを自分はやろうとしているのだなと言うことです。


この1年、ゼミは、小さな問題から大きな問題まで色々あったけれど、一つの視点に偏らずに、様々な視点を交えて、「こういうことに取り組むといいんじゃないか」と研究的なアプローチで、ゼミの運営が成されてきたように思うんですよね。

抜本的に何かやり方の変更をする、というよりも、それぞれの局面で出てきた問題を掘り下げつつ、それに対してどういう手を自分たちなりに取り組むか、ということを考えてきたと言うか。


結果的に、やり方を変えたところもいくつもあったと思うのですが、やり方ありきで変えてきたわけではない。本当にひとつひとつに向き合ってきた成果だと思います。


企業変革というと飛び道具的な戦略転換も大切ですが、自分たちの日々の取り組みの中から一歩ずつ変革するという視点が自分は大切だと思っています。これはトップマネジメントであってもそうです。そういうことを少しお話できたらいいかなとも思っています。また、このオープンゼミという場でも、その実践の一端を参加者の方に感じてもらえたらとも思っています。

新野)ありがとうございました!!

いかがでしたでしょうか。

個人的にも先生の2作目に関するお話はとても楽しみにしております。笑

また、今年度少しずつ進んできた僕たちの研究について、参加者の皆さんと是非議論が出来ればと思っております。

もし夜にお時間ありましたら、是非お気軽にご参加ください!



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