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「つくる」をわかるプロジェクト

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京都工芸繊維大学/櫛研究室とUCI Lab.の産学共同プロジェクト
運営しているクリエイター

2020年4月の記事一覧

第5回.場を整えるということ

1.「場を整える」とはどういうことかプロジェクトは多様な個性が集まる場 プロジェクトとして進めるということは、多様なメンバーが関わってくるということです。 そこには「アイデア創造」に関わったことがあるかどうかといった経験値の差もあれば、引っ込み思案な人・社交的な人・思ったことをすぐに口に出す人・じっくり考える人といった個性による差もあるでしょう。 そのような差異を活かすため、アイデア創造の場で多用されるのがワークショップです。 ワークショップやファシリテーションに関する著

第4回.言葉選びのセンスを磨くということ

1.なぜ言葉選びにセンスが必要なのか? 言葉にこだわる先生たち 先生方に対する振り返りインタビューで、強く印象に残った発言の一つに”言葉選びにはセンスが必要”というものがあります。 「言葉選びのセンス?何を大げさな」と言われるかもしれません。 また、「センスとはどういうこと?客観的に”正しく”記述するべきなのでは?」とも思う方も多いでしょう。 ここで言いたいのは、「キャッチフレーズみたいにかっこいい言葉を使うセンスを磨きなさい」ということではありません。 では、先生方がお

第3回.プラットフォームをつくるということ

1.プラットフォームとは何か?アイデア創造におけるプラットフォーム いったい何のこと?と思われるかもしれません。 今回の場合、プラットフォームとは全体のプロセスのうち、ビデオゲームワークで作成した問題構造化MAPのことを指します。 それまでは、7家庭個別で見ていた事象を構造化しテーマの全体像を把握すると言うもの。「〇〇家の朝食」という個別のシーンから「子育て家庭の朝食」というように抽象化するワークを経たものです。 この問題構造化が意味するものは、この調査の概観の説明。 「要

第2回.ひとつひとつのプロセスを丁寧にたどるということ

1.なぜ多くのプロセスがあるのか?UCI Lab.型プロジェクトの場合 通常、私たちがアイデア創造のお仕事をいただいた際、「ほどく」「共感する」「つくる」「届ける」という4つのプロセスに基づいて設計します。 一見「なんだ4ステップか」と少なく感じるかもしれませんが、実際に設計するときにはそれぞれのプロセス内はさらに細かく分かれていたりします。 分解すると見えてくる細かなプロセス さて、今回のオモテプロジェクトですが実際のプロセスは以下の通り。 櫛研究室に依頼をした「アイ

「アイデア創造」の現場を観察して分かったこと 第1回

1.プロジェクトのはじまり「UCI Lab.のお仕事」 私が所属するUCI Lab.はクライアントであるメーカーの商品開発や新規事業開発のサポートが主な仕事です。 「ほどく:作り手の思い込みを解く」 「共感する:生活者や世の中に共感する」 「つくる:アイデアやコンセプトの創造」 「届ける:市場ポテンシャルや実現受容性等の検証」 といった4つのプロセスをクライアントと協働しながらプロジェクトとして進めています。  「事前説明の難しさ」 私たちがプロジェクトについて事前に説