食後に紅茶を用意した時だった。 夫はカレーにはナンかご飯かを真剣に考えて自論を展開していたが、竹野内は聞いている雰囲気を出していたが手元は落ち着いていなかった。 角砂糖がいくつか入っている陶器を、必死にスプーンで突いているようだった。 夫はその様子に気づかず、死ぬまでにどちらかのスタイルでしか食べられないというならばご飯かもしれないと話していた。 竹野内は夫のテンションに合わせて頷きの大きさを変えて見せたりしていたが、なかなか手は止まらなかった。 ついには陶器を持って
雨に降られたという竹野内が定位置に座っていた。 「あーあさちゃん帰ってくるならもうちょっと待ってれば良かったー」 キッチンから太朗くんがカップヌードルを持って出てきた。 「今日に限って家に何もなくてさー。寒いだろうからあったかいものがいいかと思って。」 竹野内の前にカップヌードルを一つ置いて、夫はソファに座った。 「すみません竹野内さん、あの時計で18分までです。」 夫の指差した時計を確認し、竹野内は小さく早く2度頷いた。 どんなやりとりがあったかは知らないが、竹野
その後、竹野内は家によくいる。 夫曰く、今撮っている映画で隣の撮影所をよく利用しているそう。 私が家に帰ると2人でいる時もあるし、なぜか竹野内が1人でいる時もある。 夫が留守をお願いしているようだ。 私よりも夫の方が家にいる時間が多いので、どういう流れになってそうなったのかは分からないが、ここ数日、竹野内は夫のTシャツを着ている。 今日はトルコの国旗Tシャツだ。 #架空日記 #二人暮らし #竹野内豊 #エッセイ #日常
帰宅したら家にいた竹野内豊と目が合うこと5秒ほど。夫の声で意識が戻った。 「おかえりあさちゃん。なんか見たことないお店の袋だねー」 私の買ってきた惣菜の紙袋を覗き込んでいる夫に、頭ごと向きを変えた。 「あの…え?」 「ここ、買ってきたことあった?初めてじゃない?」 竹野内へのリアクションを会話の続きだと思っている夫の太朗くんは、今日はエクアドルの国旗のTシャツを着ていた。 「違くて、その…」 そう言って目線を竹野内に戻すと、あぁと太朗くんは言って続けた。 「こち
家に帰ると、夫の靴ではない靴が玄関にあった。 仕事終わりで家に誰か連れてくるなら連絡くらいしてよと思いながらスリッパを履く。 来客は珍しい。誰だろう。ああ、後輩の佐伯くんかな。 ぼーっと考えながら洗面台で手洗いうがいを済ませ、佐伯くんならこのままでいいやとリビングのドアを開けた。 ただいまー、佐伯くん来てるのー?と言いながら、買ってきたワインや惣菜をテーブルに置いた。 ふと目をテーブルの先のソファにやると、ソファの前で竹野内豊が体育座りでこちらを見ていた。 竹野内