竹野内と日清
雨に降られたという竹野内が定位置に座っていた。
「あーあさちゃん帰ってくるならもうちょっと待ってれば良かったー」
キッチンから太朗くんがカップヌードルを持って出てきた。
「今日に限って家に何もなくてさー。寒いだろうからあったかいものがいいかと思って。」
竹野内の前にカップヌードルを一つ置いて、夫はソファに座った。
「すみません竹野内さん、あの時計で18分までです。」
夫の指差した時計を確認し、竹野内は小さく早く2度頷いた。
どんなやりとりがあったかは知らないが、竹野内は本当に有り難そうに目を細めながら太朗くんを見てまた頷いていた。
よく竹野内豊にカップヌードルを出せたなと思ったが、出して正解だったようだ。
竹野内の前にカップヌードル。
見たことある気がする。絶対ないと思うけど。
これアレだ、大物俳優と大企業商品が並んでるからCMっぽくなってんだ。
まだかまだかと時計を見る竹野内とカップヌードル。カメラワークのように交互を押さえる。
時計、竹野内、時計、竹野内。
完全にCM出来た。
ハッと小さく息を吸った竹野内が、いそいそとカップヌードルの蓋をめくった。
時計はまだ17分だった。
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