ドライブのための靴
【はじめに】
靴はとても大事なものです。
「足元を見る」という諺があるように、靴の状態を見てその人の状態(経済状態・疲労状態等)を判断したりすることもあります。
足の健康が命に影響します。
戦争の時は、足の健康を害して命を落とすケースが多かったそうです。
行軍は道無き道を行く場合もあります。
その場合、足は危険に晒されることが多く、足の怪我が発端で病気になりそのまま亡くなってしまうということです。
では車を運転するときに使う靴ではどうでしょう。
【法的な側面】
道路交通法の第4章 70条にはこう書かれています。
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
出典:道路交通法
この中で「確実に操作し」の部分に大きく影響を及ぼすのが靴です。
【運転の時の靴の役割】
車のペダル類は靴で操作することを前提に作られています。
素足やそれに近い履物では痛くて強く踏むことは出来ません。
また右足でアクセルもブレーキも踏む必要があり、ペダルの踏み替えを要求されます。
【かかとが外れにくい靴】
明確に道交法で規制されているわけではありませんが、サンダルやスリッポンなどかかとをホールドする機能がない靴は基本的に「支障がある」側に判定されると思います。
また、都道府県毎の道路交通規則では、明確に「スリッパ、下駄等」と名指しされています。
「運転操作に支障が出る恐れ」という風に書いてありますが、その原因は「運転中に脱落しやすい」ことです。
運転操作中に脱落する=靴が脱げると以下のことが起こります。
・脱げた靴がペダルと床の間に挟まり、操作不能になる
・靴のない状態では力強くペダルを踏めない
・足の裏以外でのペダルへの接触で怪我する。
〈脱げやすい靴〉
かかとが無いサンダル・スリッパ・下駄・草履は論外です。
かかとを踏んで靴を履いている人も同様です。
他にもつま先部分の少ない靴は相対的に脱げやすいです。
パンプスやハイヒールなどの主に女性が履く靴の一部は足の甲が広く露出しています。
多くの場合、ホールドがつま先とかかとの二点でしかないので構造的に脱げやすくなっています。
ハイヒールの場合、脱げやすいだけでなく、形状的にかかとがフロアマットに引っかかりやすいので、最悪の場合アクセルペダルが踏んだままの状態であ固定されてしまう可能性があります。
〈底が分厚すぎない靴〉
底が分厚い靴は足の裏に感覚が伝わりにくく、自分の操作感覚が希薄になります。
アクセルもブレーキも自分がどれだけの操作をしているのかが分からないとなかなか上手に車を操作することはできずに、操作が急になったり、その補正のための操作でギクシャクします。
〈底が薄い靴〉
底が薄いとペダルを踏む足の裏が痛くなるので強いブレーキが踏めません。
いざという時には急ブレーキを踏む必要が出てきます。
衝突時の衝撃では脚の骨が折れるくらいの力がかかるので、保護性能は必要です。
〈靴の幅が広すぎない〉
紳士用の革靴などでは、つま先の周りの靴底だけが出っ張っていて幅広になっているものもあります。
このタイプのものはペダルの踏み替え時に、出っ張りがペダルに引っかかり、踏み替え動作に支障が出る可能性があります。
【ではどういった靴がいいか?】
標準的なスニーカーが良いです。
プロドライバーもスニーカーに近い形のドライビングシューズを履いています。
運転するための靴をワザワザ買う人は少ないと思います。
むしろ運転中の靴は人に見えないので、見せるための靴選びは運転の障害になることが多いと思います。
そのため普段から車を運転する人はドレスコードに合わせた外観を持つスニーカータイプの靴を買うことをお勧めします。
露出の多い靴を履く機会の多い女性には不向きですが、女性用にも同様のシューズはあります。
【終わりに】
車の運転はスポーツに近いです。
そして、公道での運転は命を奪ってしまうリスクがある、人生でもリスクの高い行為です。
ファッションはときに実用性を犠牲にすることも必要としますが、命と天秤にかけたらどちらを大事にするべきかはわかりますよね?
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