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「ひたすら面白い映画に会いたくて」46本目『たまこラブストーリー』

 「山田尚子監督の作品で有名なものを片っ端から観ていくぞ!」というマイスローガンを突然掲げたのは、2018年9月21日。なぜこの日からというと、この日にようやく院試が終わり、心と時間に余裕が出来たためだ。

 まず、『けいおん!』の1期&2期のTVシリーズに加え、『映画 けいおん!』を一気に駆け抜けた。走り出したら急には止まらないもの。続けて『たまこまーけっと 』まで一気に走り切った。そして本作『たまこラブストーリー』まで辿り着いたのである。

46本目:『たまこラブストーリー』(2014)

         脚本:吉田玲子 / 監督:山田尚子

       「餅屋の恋 大福餅より 甘酸っぱい」

物語のあらすじ

 餅屋の娘、たまこ。そしてその向かいに住んでいる、これまた餅屋の息子、もち蔵。この映画はこの2人がメインの物語である。全12話のTVシリーズ『たまこまーけっと』の劇中では描かれなかった2人の「恋愛」に焦点を当てた作品だ。

 お母さんが亡くなって以来、たまこは毎日おもちのことしか考えてこなかった。そんなたまこがもち蔵と亡きお母さんに背中を押してもらうことで、ようやくおもち以外のことを考える最初の一歩を踏み出すことができるようになる。

   たまこともち蔵のラブストーリーだけでなく、たまこの成長も感じることのできる素敵な作品であった。

 監督は『けいおん!』シリーズや最近では映画『聲の形』や『リズと青い鳥』で有名な山田尚子と吉田玲子。そして制作は京都アニメーション。この組み合わせは最強すぎる。

本作の魅力

 この映画、自分の予想を遥かに上回ってめちゃくちゃ良かった。こんなにも2人を応援したくなる、爽やか青春ラブストーリーはあまりないかもしれない。鑑賞後も爽快感が漂う良質なラブストーリーであった。

 この映画にきゅんきゅんさせられた人は多いのではないか。ピュアすぎる青春ラブストーリーにクラクラきてしまった。特にもち蔵がたまこに告白してからはきゅんきゅんするシーンが多すぎて「観ているこっちが耐えきれんわ!」って気持ちになるに違いない。

 個人的には、たまこが顔を赤くして「やっぱり風邪ひいたかも」って言うシーンには「可愛すぎかよっ!」とつい突っ込んでしまった。こんなにもムズキュン体験したのは『逃げ恥』以来である。そもそも私があまり恋愛ものを観ないと言うのも大いに関係ありかと思うが。笑

   糸電話で気持ちを伝える演出はロマンチックだ。スマホで連絡が当たり前の時代にこんなにもアナログな連絡手段を用いるところがかなり素敵であった。糸電話告白なんて甘酸っぱすぎるよ。

 また、この監督の作品で使用される楽曲は、けいおんの時から思っていたけれど、ほんとに全部良い。今回の映画の曲も予想通り最高だった。特に、『たまこマーケット』を観てきた人にとってはニンマリするかもしれない。

   OP&EDとも歌と絵が何度でも観たくなるくらいほんとよかった。ほんと山田尚子監督は音楽を使うのが上手いなあ。どの作品を観てもサウンドトラックが欲しくなってしまう。

同時上映『南の島のデラちゃん』について

   映画の冒頭でデラが松竹映画を乗っ取ったのには笑った。あの演出はやっぱアニメならではだなあ。

    『たまこラブストーリー』には、デラの入り込む隙間が全くないように感じたので、ここで出てきて正解だったと思う。『たまこまーけっと』で全話登場したのに、映画で出れないのは可哀想だしね。この短編映画は、TVシリーズを全話観た人に向けてのおまけの側面があるのかもしれない。

   TVシリーズでもっと南の島の設定を上手く活かせることが出来ていたならば、本編にもきっと登場できたんじゃないかな。

私の1番好きな場面

 私の1番好きな場面は、学校がインフルエンザの流行により休校となった日の教室。たまことみどりの会話とたまこがもち蔵を追いかけて教室を出て行った後のかんなとみどりの会話の場面である。どっちも好きなのだが、特に好きなのはかんなとみどりの会話だ。

 かんなが指で写真を撮るようなポーズをしながら、「みどちゃん、今ちょっといい顔してますよ」と言ってからのみどりの涙声での「サンキュ、かんな」 というこの一連の流れ。このシーンにはグッときた。

 『たまこまーけっと』を観ている時から思っていたが、やっぱかんなは友達思いのいい奴だよ。しかも、相手の気持ちを汲み取って、空気も読める。ただの大工マニアではなかった。かんなファンは意外と多いんじゃないか。もちろん、私はその1人だ。

最後に

 駆け足ながら山田尚子作品にどっぷりと浸かりきって、ようやく今回の『たまこラブストーリー』まで辿り着いた。なかなか長い道のりであったが、受験で疲れきった精神を癒してくれた山田尚子監督の作品たちには、ものすごく感謝している。本当に良い作品をいっぱい作ってくれてありがとう。

   うさぎ山商店街のモデルとなった京都にある出町桝形商店街。今年わたしはその出町桝形商店街にある「出町座」という映画館で『たまこラブストーリー』を鑑賞するという幸運に恵まれた。2019年1月5日〜1月11日に『たまこラブストーリー』の特別上映があったのだ。

   聖地で映画を観るという体験はなかなかできることではないであろう。かなり貴重で贅沢な体験をさせてもらったなあ。出町桝形商店街は、たまこたちのうさぎ山商店街に遊びに来たような気分になれる素晴らしい商店街であった。

予告編

↓映画『たまこラブストーリー』の予告編です↓

(出典 : 【YouTube】KyoaniChannel「『たまこラブストーリー』ロングPV」)

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