クドカン作品を観たい 〜『11人もいる!』〜

   『11人もいる!』の放送当時、私はクドカンの存在も俳優としての星野源の存在も全く知らなかった。そもそも、このドラマが2011年に放映されていたということにさえ全く気づいていなかった。今から思い返してみれば、非常にもったないことをしていたなと思う。

   そして時は流れ、大学生のときに星野源のエッセイ『そして生活はつづく』を読んで『11人もいる!』の存在を私は初めて知ることになる。しかし、そのときも「こんなドラマがあったのか!へぇ〜、星野源って俳優としても結構活躍していたんだな」と思っただけにすぎなかった。つまり、この時点では絶対に観たいという気持ちは起こらなかったのだ。

    私と『11人もいる!』の関係を急接近させたのは今年になってからだ。これには、クドカンが大河ドラマ『いだてん』を手掛けて何かと話題になったことと私が8月〜9月にかけて『週刊文春』を1ヶ月間読んでいたことが密接に関係している。『週刊文春』と『11人もいる!』との関係は?と首を傾げたくなる人もいるかもしれない。この2つの関係は単純だ。『週刊文春』でクドカンが「いま なんつった?」という連載をもっている。ただそれだけである。『いだてん』、『いま なんつった?』という2つがクドカン作品を観たいという私の気持ちを見事に誘い出してくれたのだ。

   そして、決定打であったのは「Amazon primeビデオ」の存在である。クドカンの作品何か観たいなあという気持ちで「Amazon primeビデオ」にある日本ドラマを探していたら『11人もいる!』を思いがけず発見する。これは観るしかない。再生ボタンを押すまでそう時間はかからなかった。

                『11人もいる!』(2011)

                  脚本 : 宮藤官九郎

            「うちは貧乏なんかじゃない」

物語のあらすじ

   父親(田辺誠一)は無職の金なしカメラマン。母親(光浦靖子)はめったにお客が入らないカフェを経営している。だが、この一家はなんと子供が8人の大家族。一体どうやって生活をしているのか。

   高校3年生である長男の一男(神木隆之介)が、この大家族の唯一の収入源。朝は新聞配達、夕方はガソリンスタンドのバイトをこなし、なんとか家計を支えていた。なんて若い頃から苦労ばかりの長男なのであろう。本作は回が進むごとにこの長男に対して試練しか訪れない。それが本作の面白いところだ。

   このように本作はこの大家族に巻き起こる怒涛のハプニングをコミカルに描いた物語である。

タイトルの意味

   タイトルの「11人もいる!」というのは、父親の前の妻(広末涼子)が、幽霊として家の中にいることからきている。

   父親と今の母親の子供であるサイゴ(加藤清史郎)にだけこの元お母さんの姿が見えるのだ。

   そして、家族会議をするときにサイゴが人数を数えると1人多い。それで、「あ、11人もいる!」ということ。

クドカン作品の魅力

   なかなかハチャメチャな設定とストーリーだが、観ているうちにだんだん中毒性を増し続きが気になって仕方なくなる自分がいる。これは脚本の力なんだろうな。さすが、宮藤官九郎だ。面白くて笑わされるだけでなく、「家族」の大切さをふと考えさせてくれる。そんなステキな作品になっているのだ。

   キャストも豪華で、最初から最後まで楽しんで観れる作品だった。神木隆之介によるダメ男っぷりの演技はさすがの上手さ。彼にはなんでこんなに報われない役が似合うのだろう。カッコいいのに。一男は視聴者や家族の期待をすぐに裏切る最高の主人公であったな。笑

   また有村架純がチョイ役であったのが驚きで、同じくチョイ役であった星野源の方が大目立ちしていた。星野源の存在感が気持ち悪いほど目立っていたと言ったほうがいいのかもしれない。

   本作での星野源の演技には何度も何度も笑わされた。素晴らしい役者さんだな。ひろゆきおじさんといえば、あのちょっとキモい星野源の顔がすぐに脳裏をよぎる。圧倒的な存在感を残した星野源であった。

最後に

   真田家による「家族なんです」が胸に染み渡る。
星野源の歌声も癒されるなあ。劇中の演技とは大違いでそれもまた面白い。かなり気軽に笑って観れるおすすめの作品である。

   個人的にOPで流れるNICO Touches the Wallsの『バイシクル』がかなり好きだ。真田家のみんなと一緒についついテレビの前で踊り出したくなってしまうぐらいノリのいい曲である。この曲を聴くと、高校生のときにNICO Touches the Wallsのライブに行ったことを鮮明に思い出す。本当に良いバンドだったなあと。

↓NICO Touches the Walls 『バイシクル』↓

(出典 : 【YouTube】Sony Music (Japan) NICO Touches the Walls 『バイシクル』)

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