見出し画像

「腹が‥減った‥‥」 あと何回このセリフが聞けるのか?『孤独のグルメ』

 店に入ってひとりでご飯を食べる。このことを「ぼっち飯」と呼ぶ人が多い。大学の食堂でひとりでご飯を食べていると、「あいつぼっちだぜ」とからかわれることもあるらしい。確かに、一人で食べるご飯は寂しい側面もある。しかし、一人飯ならではの楽しみ方があるのもまた事実だ。ぼっち飯を肯定的に感じさせてくれる素晴らしい作品が存在していることがそれを物語っている。

 例えば『結婚できない男』の阿部寛演じる桑野信介は、「一人焼肉」を誰よりも楽しんでいた。これを観て桑野のように「一人焼肉」にチャレンジした人も多いのではないか。そして、松重豊演じる井之頭五郎は、自分の孤高のひと時を私たちに披露してくれた。Season8という長期にわたって私たちの目と耳を楽しませ、私たちの腹をこれでもかというぐらい空かせてくれた本当に素晴らしい作品だ。

 また、ぼっち飯は何も男の人だけがするものではない。そう教えてくれたのは、『忘却のサチコ』であった。なんとこの作品では、高畑充希演じる佐々木幸子が豪快な食いっぷりを見せてくれるではないか。確実に時代はぼっち飯に微笑みかけてくれている。

 そう、ぼっち飯の時代は既に到来しているのだ。そうでなかったら、おっさんが1人でご飯を食べて感想を言う『孤独のグルメ』が、シーズンを8つも重ねるはずがない。そこで今回は、昨年の年末に放映された『孤独のグルメ』の年末スペシャルについて熱く語ることにする。ぜひ、『孤独のグルメ』の魅力を少しでも持ち帰ってもらいたいものだ。

『孤独のグルメ 2019 大晦日スペシャル〜緊急指令!成田〜福岡〜釜山弾丸出張編』(2019)

       脚本 : 田口佳宏

     「メニューは店主の自伝」

物語のあらすじ

 12月30日、マドリードでの仕事を終え、2019年最後の仕事の前に成田で腹ごしらえをする五郎。食べ終わると、仕事の電話が掛かってきて急遽今から福岡に来てくれと頼まれてしまう。

 「さっきマドリードから成田へ帰ってきたばかりなのに、また成田に逆戻りかよ」と不満を抱きつつも、「31日をゆっくり過ごせる」というポジティブな気持ちで、福岡へ向かう。しかし、福岡であるアクシデントが起きてしまい、31日に釜山へと飛ばなければならなくなってしまう。

 五郎にとっていちばん長い日になってしまった31日。果たして五郎は日本で年越しできるのか。五郎の食べっぷりも本作のストーリーも最後の最後まで見逃せない。

 とうとうシーズン8まで登り詰めた伝説の一人飯ドラマが、2019年の食べ納めを飾る。五郎の食べっぷりを見ながら、年越しそばを食べるのはいかが。

今回の魅力

 五郎が釜山で食べた海鮮鍋の〆うどん。このうどんが熱すぎて食べるときに「うぉっ」って声に出てた松重さんの演技にあっぱれを送りたい。

 あの熱さ、あの量をあの短時間で食べ切る松重さんちょっとすごすぎないか。そして、相変わらず麺の食べ方がめちゃくちゃ上手いのも魅力的だ。

 今回は、「ウニたっぷりのクリームパスタ」、「海鮮鍋の〆うどん」、「年越し豚骨ラーメン」と3つも麺を啜る五郎が見れる。何もこんなに麺縛りをしなくてもと思うが、松重さんの麺のすすり方は天下一品なのでこれでよしとしよう。

最後に

 松重さん、五郎役本当にお疲れ様でした。年々歳を重ねていくのと同じようにシーズンを重ねてしまい、しかも食べる量まで増えているような気さえする。松重さんの胃袋の巨大化が止まらない。一体いつまで、このドラマを続けることができるのか。

 区切りの良いシーズン10で完結とかしてくれないかな。そして、松重さんのお腹を休ませてあげて下さい。笑

 「ふらっと久住」の久住さんも相変わらず良かった。私は毎回このコーナーも実は楽しみにしている一人である。久住さんから溢れ出る飲兵衛感が最高だ。本編で五郎が食べていないメニューを食べることもあるので、見逃せない。私も福岡の水道水飲みに行ってみたいものだ。

予告編

(出典 : 【YouTube】テレビ東京公式 TV TOKYO 孤独のグルメ 2019 大晦日スペシャル 緊急指令!成田〜福岡〜釜山 弾丸出張編!|主演 : 松重豊|)

関連記事


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?