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寝ても覚めてもマンガの虫 〜アサイ『木根さんの1人でキネマvol.1』〜

   「映画を題材にした漫画を読みたいなあ」と思っていたときに見つけたのが本作だ。私も本作の木根さんのように一人で映画を鑑賞することが多いので、かなり彼女の気持ちに共感することができた。読んでいて「そうそう、そうなんだよなあー!めっちゃわかるわ」と頷きながらページをめくる。

   中でも「映画館で映画を観ることを大事にしている」ことと「気の合う映画友達が欲しい」ことに私の共感レーダーが1番働いた。映画には映画館で観ることで最大の魅力を発揮する作品があるので、それを見逃さないためにも気になった映画は映画館で観たくなってしまう。「うーん、この作品はわざわざ映画館に観に行かなくてもよかったかな」と思うこともあるが、それも含めて楽しいからやめられない。

   また、一人で映画を観るのは慣れているし好きなのだが、理想としては映画を観終わってすぐに感想を誰かと一緒に語り合いたくなるものだ。しかも、その相手が「気の合う」友達だと最高の映画体験になることだろう。まさに至福のひと時を味わうことができるのである。定期的に映画を観に行くような気の合う映画友達をこれからも大切にしていきたいな。

アサイ『木根さんの1人でキネマvol.1』ジェッツコミックス 白泉社

 「好きな映画は『バッドボーイズ2バッド』ですけど何か?」

物語の要約

   主人公は木根真知子。年齢は約30歳、独身。趣味は休日に一人での映画鑑賞することで、映画館かレンタルか購入したソフトか有料チャンネルで観る。そして観た映画の感想を「1人でキネマ」という自身のブログに書き込むのが彼女の日課である。ちなに、ブログに感想をupした後のネット民のコメントに対してイラついてしまうことも多々あり。

   ところが!ある日突然、そんな彼女の日常に会社の同僚である水城さんが押しかけてきた。果たして彼女は自身の映画ライフを死守できるのか、はたまた水城さんが気の合う映画友達に変貌するのか。ざっくり説明すると、本作はこんな感じのストーリーである。

感想

   1本目の「ターミネーター3」において、「映画友達欲しいよぉおお‼︎」という木根さんの魂の叫びがある。この木根さんの魂の叫びはものすごく共感できる。気の合う映画友達ほど最高な存在はいないのではないか?映画が好きな人にとってこの気の合う映画友達がいるかどうかで映画ライフが180度変わってくるはずである。

   3本目の水城の「何でわざわざ映画館に行くの?「映画が観たい」ってより「映画館に行く」ことが目的になってない?」という木根に対する質問には、質問された木根だけでなく読者である私にもグサッときた。

   木根の返答と同じく私も、「あ〜、この映画はわざわざ映画館に観に行かなくてもDVDのレンタルで十分だったなあ」と感じることは結構ある。しかし、やはり映画館でしか得られない経験もあるので私たちは映画館に足しげく通うのである。

   1人で映画館に行くのはめちゃくちゃいいなって思う。1人で観に行くと本当に集中力がケタ違いに発揮されるので、絶対観たい映画を観るときは1人で観るのをおすすめする。ぜひ一度は1人映画をしてみてはいかが。

   5本目のゾンビ映画の回が個人的に一番好きだった。とくにその中でも、ゾンビ映画の面白さの分布図とそれ以外のジャンルの映画の面白さの分布図との比較には笑わされた。圧倒的にゾンビ映画はZ 級作品が積もりに積もっているんだなって(笑)。

最後に

   このマンガは映画が好きな人にとっては最高の読み物なのではないだろうか。続きをもっと読んでいきたい、そう思える作品だった。また、主人公がアラサーのキャリアウーマン(課長職)であるところも◎。

   そして、映画に関する知識がマニアックなところも多々あり、映画を普段あまり観ない人はもちろんのこと、映画好きな人も楽しめるような作品になっているところがこの作品の醍醐味であろう。作者の映画愛を感じる作品である。2巻以降も是非とも読み進めていき、木根さんの映画愛を一緒に堪能していきたいと思う。

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