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ハゼノキと接ぎ木

みなさんこんにちは!先日ハゼノキの播種や接ぎ木の方法に関して教わって来ました。今回はハゼノキを育てる上で最も重要かつ、最初の一歩となる「接ぎ木」に関してお話します。そして、先週は櫨の実の収穫である「ちぎり子」体験に関して書いています。ぜひこちらも合わせて読んでみてください!

ハゼノキは同じ科である漆と比較されることが多いのですが、育成方法は漆と同じくクローンを使って育てることになります。ただしクローンを作る方法が違っていて、漆は「分根法」と呼ばれる優良種の根からクローンを育てたり、ひこばえを植樹する方法をとりますが、ハゼノキは「接ぎ木」を行うことになります。つまり、漆は根から葉っぱまで同一のDNAを持つクローンなのに対して、ハゼノキは台木部分と接ぎ木より上は別種のDNAを持つクローンと言う事になります。漆の分根法に関してもいずれお話したいと考えていますが、本日はハゼノキの接ぎ木に関してです。

■実生から接ぎ木の導入へ

何度かこのnoteでもお話していますが、ハゼノキにもいくつか品種があり、現在は「昭和福櫨」「伊吉櫨」「葡萄櫨」の3種類が優良品種として育てられています。実はハゼノキの品種を同定するうえで重要になるのは、「穂木」の品種であり、台木はどの品種を使っても良いという事になります。主な方法として、「自生しているヤマハゼの幹を台木とする」、「実生の幼木を台木として使用する」のいづれかのパターンを用いる事になります。

ハゼノキは元々は実生で育てられていました。ハゼノキが導入された初期の文献を見ると生育までに10年前後の時間を要するという記載があり、これは実生で育てた場合の育成期間となるため、10年目以降に収穫のピークを迎え、そちらを上納していくという制度を取っていたようです。しかし、実生の場合、生育に個体差が大きくなり、取得できる実の量もマチマチになってしまいま。「接ぎ木」を使う事によって収穫量の多い木を安定的に育てる事ができるようになりました。ハゼノキの育成には「接ぎ木」の技術が必要不可欠だったのです。

■台木と穂木

冒頭でも書いたのですが、ハゼノキの接ぎ木を行う場合、台木は自生のヤマハゼか品種の幼木を使います。自生種の場合高木化しているものが多く、その場合地面から2mぐらいで切り、切り株に穂木を接ぎ木します。幼木の場合下処理をして接ぐことになります。今回お話を聴いてきたのは幼木に接ぎ木をする方法に関してです。台木の処理は接ぎ木の直前で良いそうですが、水分量は少ない状態が良いそうです。余談ですが、ハゼノキの場合優良品種の実生を接ぎ木せずに育てたり、自然に生えてきたものを便宜上全て「ヤマハゼ」と呼んでいます。

穂木に関しては優良品種の枝を使う事が多いようでが、その際のちょっとした工夫として、今年実を付けなかった方の枝を使うそうです。接ぎ木をしている方からすると当たり前かもしれませんが、改めて説明させれると納得です!穂木で特に注意する必要があるのが、接合部の水分量。切り口の表面がキラキラしていたり、水分が垂れるような場合はカビが生えたり腐ったりする可能性があるようで、穂木としては不適格となるようです。穂木に関しては乾燥の意味合いも含めて接ぎ木の2~3週間前に採取を行います。

■接ぎ木。方法と季節と速さ

台木と穂木の話をしてきましたが、最後は具体的な「接ぎ木」の方法に関してです。特に現在でもハゼノキの一大生産地となっている北部九州では「切り接」と呼ばれる方法で接いでいきます。一方で先日見学に尋ねた和歌山ではいわゆる「腹接ぎ」といわれる方法がとられていました。また季節も九州が春前になのに対して、和歌山は秋に行われていました。どちらの方法でも活着して育っている事を考えると土質や気候によって「接ぎ木」の優良な方法が地域毎に代わってくるのかもしれません。この辺りも今後検証していく必要がありそうです。その当たりはその地域でよく育つ果実などを参考にするのが良いのかも?という仮説を何となく持ちました。

もう1つ気になっているのは「速さ」。こちらは感覚的なものですが、台木、穂木の下処理から接ぎ木の完了までの時間。色々な方のお話を聴いているとこの点は結構重要な気がしてきました。そういう意味でもこれから育て行く地域でもしっかりと優良品種を育てて接ぎ木の精度を上げていく必要を感じました。いずれにしても長い道のりになりそうですが、具体的な方法が見えてくるとさらにワクワクしてきますね!

※今回の写真は「接ぎ木」の勉強会で実際に自分が仕立てたものです!台木→穂木→完成!

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