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40年前のイギリス旅行

40年以上前に、英国を旅行したことを、当時メモしたことをもとにもう一度たどってみようと思います。

社会人2年目の、1983年8月下旬に、ロンドンとウェールズ地方を巡った一人旅でした。初めての海外旅行だったので、発見や驚きの連続でした。ツアーではなく自分で全て計画しました。情報源は「地球の歩き方」でした。バックパッカーの最後の世代と言ってもいい世代だったので、小さめのバックパックを背負って貧乏旅行に出かけました。

何度も海外旅行を経験している、職場の先輩から教えてもらった小さな旅行代理店で、航空券を購入しました。原宿の竹下通りから脇に少し入った所にある、小さなビルの2階にオフィスがありました。年配の女性が一人だけいる事務所で、エールフランスの航空券を主に扱っている代理店でした。

当時の航空券は、赤いカーボン複写の薄い用紙数枚で一つの冊子のようになっている物でした。これは、TAT券 (Transitional Automated Ticket)と呼ばれるものなのですが、今でも存在するのでしょうか。私は、TAT券を1週間後ぐらいに受け取りに行きました。

1983年当時は、ジャンポ機の全盛時代でした(Copilotが作成)


初日 8月19日(木)

成田空港からキャセイパシフィック航空で、まずは香港へ飛び立ちました。でも途中、台北を経由する便でした。台北の空港に着くと、一度乗客は空港のサテライトに移動させられました。燃料を補給したのでしょうか。

2時間ぐらい待たされ、また搭乗しました。台北の空港のトイレに入った時、個室の扉の下が30cmぐらい空いているのを見て、「あー、ここは日本ではないんだ」と実感したのです。あれほど空いていると落ち着かないものです。

香港で降り立ったのは、啓徳空港(1998年閉港)でした。ここでロンドン行きのフライトに乗り換えです。

啓徳空港は、香港のビル群スレスレに降りて行く空港で、飛行機の主翼が高層マンションに引っかからないかと、心配になるくらいの離着陸でした。

また、「東洋の魔窟」と呼ばれるスラム街「九龍城砦」を間近に見ることもできて、今となっては貴重な体験でした。




2日目 8月20日(金)

ロンドン ガットウィック(Gatwick)空港 7:00着

ガットウィック空港から、ロンドン中心部に鉄道で向かうのですが、プリットレイル・パスの引換券を、本物のパスと交換し有効化する必要があったので、空港内のBritrail  Pass Ticket Officeに入りました。いかにも英国美人のすらっとした女性が、対応してくれて、見とれてしまいました。

列車に乗ると向かい側の席には、老夫婦が座っていました。二人は手をしっかりと握り合って座っていました。日本では高齢の夫婦が人前で堂々と手を握り合っている、ということはあまりないので、これも英国だなあと納得したものです。

私がその手をじっと見ていたのが分ったのか、おじいさんの方が私に「霧が濃いですね」と英語で話しかけてきたのです。その後、ロンドンの天候の話になりました。英国人は初対面では天気の話をする、ということはよく言われることなので、私は心の中でニンマリしました。

ロンドン市内では、次のような所を精力的に巡りました。

大英博物館
ピカデリー・サーカス
リージェント・ストリート
Marble Arch
ハイドパーク
ウェストミンスター寺院
英国国会議事堂
ジュビリー公園

ハイドパークの木製ベンチ

宿泊:
Celtic Hotel
61 Guilford St. Russel scquare
今でも営業中なのは、うれしい限りです。ここは「地球の歩き方」に掲載されていたはずです。ラッセル・スクエア周辺には今でも、B&Bがたくさんありますね。

Google ストリート・ビューより


3日目 8月21日(土)

バッキンガム宮殿 衛兵交代式
ウエストミンスター寺院
トラファルガー・スクエアー
ロンドン塔
セント・ポール大聖堂

テムズ川からロンドン塔

バッキンガム宮殿の前には、観光客を狙った悪い輩がいるということは、当時から有名な話でした。早速、おじさんが二人で話しかけてきましたが、無視を決め込み防衛しました。

宿泊:
Celtic Hotel



4日目 8月22日(月)

この日は、列車でウェールズ地方へ移動です。今回の旅行のテーマの一つが、「ウェールズ地方の古城巡り」と設定したのでした。

ユーストン駅 9:55発
チェスター駅  12:37着 乗り換えて 12:45発
Llandudno Junction駅 13:53着 

コンウェイ城を見学
眺めがいい城の塔の屋上のような場所から、コヌイ川と海を見下ろしながら、パンとハムを食べたことを思い出します。眺める景色がいいと食べ物も美味しいものですね。

Llandudno Janction駅 16:40発
Betws-y-Coed駅 17:10着


宿泊:
Mrs. Kendal
Cumawog Ucha, Betws-y-coed

ケンダルさんという年配の女性が支配人のB&Bでした。ほとんど一般家庭に泊まっているような感覚でした。夕食後、サロンでお茶を出してくれて、世間話をしました。

ロンドンを2日ほど見てきて、どんな印象かと聞かれたので、私は正直に「ゴミがたくさん街に落ちていますね」と言ってしまったのですが、ケンドルさんはその通りだと答えてくれましたが、ちょっとがっかりしたような表情をしたので、しまったと、今でも後悔しています。

ロンドンのいい所をたくさん言って、一つだけ気になったのは、ーーーというように、もっとオブラートに包んで言うべきでした。


5日目 8月23日(火)

この日も古城巡りです。

Betws-y-Coed駅 10:30発
Blaenau Ffestiniog駅 11:02着 乗り換えて 11:07発
Minffordd駅 11:56着 

フェスティニオグ(Ffestiniog Railway)鉄道に乗車。
このSLは今でも運行しています。ウェールズ地方のなだらかな山々や、スレートが積み重なった山を眺めながらの鉄道旅です。もう一度乗ってみたいところです。

https://www.festrail.co.uk


Minfordd駅 12:45発
Harlech駅着 13:01着

古城のハーレック(Harlech)城を見学

Harlech駅 15:55発 
Barmouth駅 16:19着

宿泊:
The Gables B & B
Barmouth
今は営業していない様子ですが、石造りの立派なお宅は今でもあるようです。

このB&Bのご主人から、食事で食べられない物はないかと、念入りに聞かれました。
その後、○○教徒はーーがタブーでしょ、というような講義をしてくれました。おそらく、提供した食事でトラブルになったことがあったのだろうと思いました。



6日目 8月24日(水)

この日は、シェークスピア生誕の地ストラトフォード・アポン・エイボンに向かいます。

Barmouth駅 9:20発
Shrewsbury駅 12:30着   乗り換えて  12:37発
Birmingham駅 13:46着   乗り換えて  14:11発
Limington Spa駅 14:40着 乗り換えて 14:55発
Stratford-upon-Avon駅 15:26着

シェークスピアの生家
アン・ハサウェイの生家
ロイヤル・シェイクスピア劇場

劇場の窓口で、翌日の「十二夜」チケットが1席あったので購入しました。

宿泊:
どこに泊まったか、記録がないのですが、駅から徒歩10分くらいにあるB&Bだったと思います。細い小道を行くのですが、どういうわけか行き交う人がほとんど、挨拶をしてくれました。おそらくお互いに「私は怪しい者ではありません」というようなサインを送り合っているようなものだと感じました。これは日本でも同じですね。

7日目 8月25日(木)

ロイヤル・シェークスピア劇場で「十二夜」を観劇。英語はよくわからなかったけど、喜劇なので十分に楽しめました。

この日は列車を2回も乗り間違えました。プラットフォームを何回か走ったことを覚えています。バックパックを背負って走っている私を見て笑っている人がいて、恥ずかしかったです。

列車でカーディフへ移動です。

Stratford-upon-Avon 発
Cheltenham駅 16:54発
Bristol Parkway駅 1738着 乗り換えて 17:43発
Cardiff駅 18:22着

ウェールズではウェールズ語も公用語ですから、街中の表示がウェールズ語と英語の2言語表記です。ウェールズは、私にとって初めての2言語併用の地になりました。現在ではウェールズ語の復興運動が盛んに行われているそうです。

ウェールズ政府日本事務所公式Xより


宿泊:
Elllincliffe Hotel, Cardiff
(このホテルは現在はないと思われます)


8日目 8月26日(金)

カーディフ市内見学
Cardiff城
National Museum of Wales
Caerphilly Castle

宿泊:
Ellincliffe Hotel



8日目 8月27日(土)

Cardiff駅 9:25発 
Paddington駅 11:15着

Paddington駅 → Victoria駅 

ロンドン市内
ナショナル・ギャラリー
Foylesという書店
テムズ川のエンバンクメントを散策

キングス・クロス駅で、いわゆるbag ladyに何回か声をかけられました。最初は無視していたのですが、何を話してくるのか聞いてみようと、聞き取ってみると、「私は障害者で病気がちで、住む所もなくーーー」というようなことを言っていました。もうちょっと聞いてみようとしていたら、私は誰かに急に手を引っ張られました。

通りがかりの中年の女性が、この人に関わってはダメと言いながら、親切にも私をbag ladyから引き離してくれたのです。もし、もう少し話を聞いていたら、トラブルに巻き込まれたかどうかはわかりませんが、この女性の親切には感謝ですね。


宿泊:Crest Hotel
2-4 Crestfield Street
King’s Cross駅のすぐそば
今も営業中です

Google ストリートビュー


9日目 8月28日(日)

ホテルを7:20amにチェックアウト。
バスでGatwick空港に向かう

帰りもキャセイ・パシフィック航空の、香港乗り換え便でした。

実は、私は飛行機に乗るのも、この英国旅行が初めてでした。飛行機に乗る前から、疑問が1つありました。飛行機の中で映画はどのように上映するかということです。

今でこそ、前席にディスプレイがありますが、この当時は個別のディスプレイはなくて、座席のセクションの区切りの壁に、スクリーンを下ろして上映していました。

ですから、乗客はみんな同じ映画を同時に見ていたわけです。個別に好きな時間に好きな映画を選んで見ることができる今となっては、信じられないような話ですね。


10日目 8月29日(土)

成田空港着

香港からの便で、隣に香港在住の英国人女性と乗り合わせました。息子さんが日本で働いているとのこと。彼女には初めての来日だそうです。

飛行機が成田に着陸する時に、窓から見えた緑色のじゅうたんのような土地は何ですか、と聞かれて、田んぼと答えました。出身地の英国や香港では珍しいのでしょう。

成田空港に降り立って、彼女に日本の印象を尋ねたら、soy sauceの匂いがすると言ったので、内心ビックリしました。

その土地独特の匂いって、あるのですね。日本の街中や建物で味噌や醤油の匂いって、感じたことないですが。








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