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思い込みから自由になる ~ 私の声の話

実は、去年の3月から12月まで、ボイストレーニングに通っていました。
ヨガの関係でキールタン、つまり『歌うヨガ』というものに触れる機会が増え、エンドレスで歌い続けるみなさんの様子を見ているうちに、私も自分の身体から発せられるであろう声を知ってみたい、もっと自分の声と繋がりたいと思ったのがキッカケです。

変なことを言っているように聞こえるかもしれませんが、小学校の頃から音楽が苦手で、割と引っ込み思案なところがあった私は、声を出すという行為そのものに対しずっと消極的に過ごしてきました。
なんだか声と自分が乖離しているような感覚で、それゆえにあまり使いたくなくて、使わないから一向に違和感が続き、歌うなんてことは苦痛でしかない状態。
高校で芸術科目を選択する際は当然のように音楽を先に外し、その後もカラオケは基本的に避けまくりました。
結果、社会人になっても、プレゼンなどでちょっと長く話をするだけですぐに喉を痛めたりしたものです。
ほとんど水も飲まずにしゃべり続けることが出来る同僚を、信じられない気持ちで眺めていました。

しかし、「自分の声と繋がってみたい」という私の正直な動機、やはりちょっとナゾ発言だったようで、大抵の先生は「??」という感じのお顔をされました。
でも、歌が上手くなりたいとかカラオケではしゃいでみたいとかいうベクトルではなく、とりあえず手探り的な身体の使い方で発しているのこの声を、もっと自分に上手くフィットさせてみたかったのです。

5人目に予約をしてみた先生は、それまでとは全く違う反応をしました。
自分の声が分かっていない気がする、という私に色々と質問を投げかけ、最後に大きく「わかった…!」とおっしゃたのです。

私もその瞬間、「あ…本当に分かってもらえたな」と思いました。

先生の指導では、毎回驚くような学びがありました。
声を出すとき、どこにどんな風に意識を向けるのか、どこを動かしどこを固定するのか、音程を調節する方法は…これまで私が想像もしていなかった、声の世界、歌の世界。

先生の持論は、
『ひとは誰でも、息をするように自然に、歌を歌うことができる』
でした。

ほんとにそうだといいけれどね…という感じに冷ややかな返しをする私を、絶対わかってくるからと笑って根気よく丁寧に指導してくださった先生。

通うたび、声の出し方以上に、「歌とはこういうものだ」と私が思い込んでいるイメージがあり、それが非常にネガティブで歪んでいると知りました。
先生は私の潜在意識に根付いたその思い込みに光を当て、もっと自由になれると励まし続けてくれたのです。

12月いっぱいで先生がスクールを退職されると知り、私も同時に辞めることにし、最後の月。

ようやく、自分にとっての自由な発声を、体現することが出来ました。
限界突破!という言葉が脳裏によぎりまくり、思わず涙が…。
先生も、「間にあって良かった」と一緒になって喜んでくださいました。

楠 美月先生

この間、都内のライブハウスでワンマンライブを開催されると聞き、いそいそと出掛けました。

小さいけれど、真っ白で素敵なライブハウス。
3歳から音楽を始め、高校1年のときに初めて歌を自作したというシンガーソングライターとしての先生が、これまでの軌跡をなぞっていく『History』というタイトルでの公演。
伸びやかで、抑揚の効いている歌声と、その裏にある様々な想いを、これでもかという勢いで表現されていく。
3名のサポートメンバーもそれぞれ素晴らしくて、あっという間に時間が過ぎて行きました。

もがいて悩む自らの姿も真正面から見つめ、想いを歌という形にし、表現していくアーティスト。

これからのご活躍も、とても期待しています。
ありがとうございました。

楠 美月先生と

≪巻頭写真:Photo by Matt Botsford on Unsplash≫


長年の公私に渡る不調和を正面から受け入れ、それを越える決意をし、様々な探究を実践。縁を得て、不調和の原因となる人間のマインドを紐解き解放していく内観法を会得。人がどこで躓くのか、何を勘違いしてしまうのかを共に見出すとともに、叡智に満ちた重要なメッセージを共有する活動をしています。