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インド聖地巡礼⑤~スピリチュアル・ネームを授かるということ~

スピリチュアル・ネームを授かるとは、一体どういうことか。

渡航前、いつもヨガスタジオでお世話になっていて、また今回の旅のコーディネーションをしてくださっているマー・バクティ・ヒマギリ先生は、こんな風に教えてくれました。

「お名前は、自分の将来の“道”を示してくれるもの。
それに従うのも、結局従わないのも、本人の自由。
ただ、聖者に自分の指針を教えてもらえるような機会そのものが貴重なわけだから、頂戴しておくことをお勧めします。」

この言葉は、私が隠し持っていた心理的なハードルを充分に押し下げてくれました。

そして聖地ヴリンダーヴァンでは、サードゥ・マハラージャ師はこのような表現をされました。

「スピリチュアル・ネームとは、あなたがより深い精神への扉を開くための“鍵”。
私たちはまず鍵を授けるけれど、それはきっかけにしか過ぎません。
皆さんは、鍵の使い方を知っている師に付き、その師とより深くつながることによってしか、その先に進むことはできない。
ただ、つながることをやめ、先に進むことがなくとも、私たちは皆さんを責めたりはしません。
今生ではご縁がそこまでだったのだな、と理解するのみです。」

師はこのようにおっしゃいましたが、名前を授けた弟子がなにか悪いことをしでかした際には、その責任の一端を引き受けることになります。

魂の契約とは、そういう怖さも持っています。

それを踏まえてなお、穏やかに、たくさんの人々に祝福を届けようとなさる。

そう、Spiritual Anatomy®の師、Momoyoさんも、まさにそういう振る舞いをなさいます。


入門式開始時刻の10時までに、髪を整えてもらい、サリーを着付けてもらいました。
儀式の場所は、サードゥ・マハラージャ師のお部屋です。

…緊張していたのか、細かいことはあまり覚えていません。
師の皆様がいくらかお話をして、キルタンも歌ったように思います。

一人一人が呼ばれて師の前に座ります。

数珠が乗っている師の手の上に、自分の手を重ね、その上から師がさらに手を重ねていきます。

そして、合図と同時にすごいエネルギーが私の中に流れ込んできて、腕から顔、身体の表面が波打っているんじゃないかと思うくらいの衝撃に、思わず呻き声が洩れました。

ひととおりエネルギーの流れが落ち着くと、ジャヤーナンダ先生が簡潔にお名前を伝えてくださいました。

「あなたのお名前は、クリシュナ・マイーです」

????????
ク、クリシュナ??
それは、どういうこと??
どういう意味???
それは…わたし、どうしたらいいの???

驚きで頭の中が「???」だらけになり、一気にパニックです。
まさか、誰もが知っているような名前が出てくるとは思わなかった…。

もっとなにか、知らないカタカナが出てきて、あとで意味を教えていただいて「へ~…!!」という感じになる未来を想像していたので…。

どう振舞ったらよいか分からず、周囲の指示が聴こえるままに、あちこちに向かって平伏したり、首にネックレスを巻いてもらったり…バタバタと動いてはいましたが、内心はだいぶ長いこと放心状態が続きました。


その夜、ジャヤーナンダ先生は質問時間を設けてくださいましたので、他の方たちと共に指定されたお時間にお部屋に向かいました。

先生は穏やかな感じで座られていて、おもむろにお話をはじめました。

「クリシュナ・マイーとは…あらゆるところにクリシュナを見ることができる人、という意味です。
クリシュナの妻ラーダーラーニーはあらゆるところにクリシュナを見ます。
全てはクリシュナから発せられます。

…少し例えると、例えば昔好きな人がいたとして、目の前のちょっとしたものにその人を関連付けて思い出すような感じ。

今の一般的な世の中は、物質的な満足を追い求めている。
モノやお金もそうだし、人間関係も、自分が満足できそうかどうかが問題になってしまっている。

でも、スピリチュアルな生活は、全てをクリシュナと関連付けて見る。
その練習…完成するための練習…その下僕(しもべ)である、という感じかな。

クリシュナとは、簡単に“神”と言ってもいいのだけれど、世界で一番美しく、魅力的で、“おかしい”人。
ただの美人でも美男子でもない、堅物でもない、ヤバい奴。
そんな魅力。

突き抜けた美しいものに、私たちの眼は惹きつけられますよね。
まぁ、モノだけじゃなくて、経験とか体験などの中にも…クリシュナを見ればいいんです。」

…想像だにしなかった、ものすごく素敵な名前です。
でも、とても重そうな名前。
そして説明を伺っても、ピンとくるような、今一つそうでもないような…。

まず、クリシュナとはどんな存在とされているのか、知ることから始めるしかないかな…。

ぽかーんとしながら、そんなことを考えていました。

≪巻頭写真:Photo by Jeremy Bishop on Unsplash

長年の公私に渡る不調和を正面から受け入れ、それを越える決意をし、様々な探究を実践。縁を得て、不調和の原因となる人間のマインドを紐解き解放していく内観法を会得。人がどこで躓くのか、何を勘違いしてしまうのかを共に見出すとともに、叡智に満ちた重要なメッセージを共有する活動をしています。