それが本当にやりたいこと?ありたい姿?
先日久しぶりに、家からほど近い温泉宿に一泊してきました。
暑さや忙しさのせいにして外出をためらってばかりの私に、リフレッシュを要求する心のアラートが鳴り響き、意を決しての2日前すべり込み予約。
近いと言っても、初めて訪れる場所。
久しぶり過ぎて下調べや準備にあたふたと手間取りながらも、晴天の中おおいに期待して出発しました。
やっぱりいいですね~温泉…♨️
なんだかんだで日本を離れたくない2番目くらいの理由かもしれない。
(一番は、どうしたって食べ物でしょう…フフフ💛)
源泉かけ流しの素晴らしさ、久しぶりに実感します。
凝り固まった身体の芯が解けていく…。
そして、夕食時を迎え。
施設側から指定された場所に行ってみると…そこはだだっ広い大食堂。
テーブル間に安っぽいプラスチック製の仕切りが貼り付けられているという形に、うんっ?と心が曇り。
あれ、ここで食前酒に始まる十何種類のお料理を堪能…するの?という疑問が頭の中をグルグル。
席には既に食前酒と三種盛の八寸に加え、固形燃料で温める料理が4皿セットされている状態。そして、席に着くなり早口な説明を受け、全部に火を付けていいかと聞かれ…え?そんなに全部いっぺんに口に入れることはできませんが…と唖然。とりあえず2皿だけの着火をお願いし。
その後すぐにお刺身の4種盛が運ばれて来たけれど、半分も食べ切れていないタイミングで今度は揚げ物が並べられ。
「お熱いうちにお召し上がりください♪」
あ…はい、そうしたいのですが…すでに火を付けられている2皿も、もう火が消えそうなんですよね…どれから始末していけば💦
ちなみに部屋の中は冷房がガンガンに効いていて、夏なのに浴衣の上に羽織を着ていないととても居られないような温度❄️
なんとなく勘が働いて羽織を着て来たのですが、夏の温泉宿で湯冷めとか笑えないですよ。。
そして程なく、煮物として丸ごと一匹の金目鯛の煮付けが登場。一番の目玉料理のようなのですが、素人の私でも処理の雑さが一目でわかるような有様。
ここで初めて、席に配られている献立一覧を見て、出てくる順番もなにもバラバラなことにも気付き、ああぁ…という気持ちがさらに溢れて来まして。
もう仕方ないので温かい料理を片っ端から処理していくと、最初の八寸が最後まで残る結果に。こんな温泉旅館の夕食、ちょっと初めてかもしれない💧
そんな中、ずっと従業員の皆さんの様子を伺っていました。
良く働いているのですよ、皆さん。テキパキテキパキ…。
でもなんだか、もてなしているという感覚は持てません。
そうではなく、作業している、処理しているという感覚がものすごく伝わって来るのです。
フロアを見回す様子は、客のニーズを察しようというより、充足されていない作業が無いかを探している感じ。変な慌ただしさと緊張感で、睨め回している。
どんなに接客の末尾に
「ごゆっくりどうぞ♪」
と言われても、ゆっくりしてもらっては困るんだろうなと簡単に推察できてしまう。
食べ終わって部屋に戻っていく他のお客様の様子も、なんだか無表情のままベルトコンベアーに乗っかって出口に向かっていくように見えたのは、あながち私の錯覚ではないと思います。
このお宿も、コロナ禍を大変な思いをして生き残ったに違いない。
そしてこれからも生き残るため、たくさんのことを検討したのでしょう。
だから今のような形、システムで運営するよう変更したのだと思います。
実はこのお宿には、畳敷きの広間がたくさんありました。かつてはそこで食事を提供していたのでしょう。
しかし効率的ではない。
だから、食事場所を1箇所に集約し、時間配分もタイトにして(そうだ、食事開始を17:45で「ご協力ください」と押し切られたのも思い出した…)、コストをかけずに済む方法をあれこれ導入されたのでしょう。
残念ながら、そんなスタンスは従業員の物腰だけではなく、料理のお味にも如実に反映されてしまうもの。献立一覧に料理長のお名前が印刷されているけれど、どれだけの誇りを持ってお仕事が出来ているのかと、勝手ながら憂うる気持ちが止まりません。
「デザートはビュッフェ形式で食べ放題ですので、お好きなだけどうぞ!」と、そのくらいしか元気に伝えるべきことがない料理を提供するなんて、私だったらかなりしょげてしまいそうです。
多分ですが…いや、勿体つけずに、確信を持って書きますが、良い仕事は相手を幸せな気持ちにさせるものです。
そうさせないのは良い仕事とは言えず、そして良い仕事をしていないという事実は当人を幸せな気持ちにすることも難しくなります。
とてもシンプルなことです。
それを本人が理解して、納得ずくならOKなのです。
仕事に貴賤はないというのもまた事実。
ただ、そんな覚悟もないまま、効率最優先という理屈に全てを明け渡してしまった結果、ますますジレンマにがんじがらめにされてしまう…
そんな渦の中に居続ける企業や従業員が、この社会に溢れているのを本当に実感しています。
自分もかつて、その渦の中にいた身ですから…。
私の場合、納得なんてできなかったけれど、一方でその渦の中以外に生きていける世界があるなんて思いもよらなかったんですよね…。
決して好き好んで居る訳ではないけれど、それ以外の選択肢が見いだせないで…もがいていたなぁ。
懐かしいというか、なんというか。
そうして翌朝チェックアウトし帰路につき、帰宅前に地元の定食屋に寄り道してランチ。
気取らない接客と絶品料理にひと心地💕
はー…やっぱりこうでなくちゃ、です♪
それにしても…久しぶり過ぎて宿選びの勘が鈍っていたことを実感…反省!
次こそ絶対リベンジしなくちゃ!!
長年の公私に渡る不調和を正面から受け入れ、それを越える決意をし、様々な探究を実践。縁を得て、不調和の原因となる人間のマインドを紐解き解放していく内観法を会得。人がどこで躓くのか、何を勘違いしてしまうのかを共に見出すとともに、叡智に満ちた重要なメッセージを共有する活動をしています。