雨と駅(小説?)

駅前の施設には、自習のためにと学生が集う。昨今流行中の感染症対策の中、密かに賑わいが隠れる。建築資材である木の香りは皆の心を優しく癒した。

ホームの音が聞こえる。発車メロディ、アナウンス、電車が走る音は駅に隣接しているこの施設ならではである。

利用するのは放課後、つまり平日である。勉強を終えて、帰りの支度を始める頃には、駅前は帰路に就く人であふれるが、夜の静けさは変わらない。なんとも秋らしくて、私は好きだ。

オーナーの方に入退室時間を記入した紙を渡し、外に出ると、空気はすっかり冷えていた。雨が降り、寒いが、ここはひとつ我慢して、家に帰れば暖かい何かが待っていると覚悟を決め、家路を急ぐ。

「もう少し街灯が増えたら夜ランするんだけどなあ」と一人で喋り倒して、ただいま。