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日曜日のクルーメイト #0063 D'accord!!

遅ればせながら、ハロー、クルーメイト!
日曜日にお届けのはずが、なんと暦の上では火曜日に。
というのも、『骨灰』の連載原稿を、「週末までに最終回まで書いてやれ」と思い定め、しかし終盤に至って見出された素敵なあれこれのアイディアによりシーンが増え、「だいたいこれくらいの枚数で書き上がるだろう」という予測を、はるかに超えてしてしまった次第。

そういうときは、いったん執筆の手を止めて切り替えるものなのですが、終盤となると、「最終的にどうなるだろう」という書き手自身の興味も盛り上がり、ついつい集中したくなるもの。

おかげで週末を通り越して先ほどまで執筆するはめになるも、無事に脱稿! というわけで、フランス語の「OK!」を意味する「ダコー(D'accord)!」とかけてみた次第。
ぜひ掲載をお楽しみに!

それでは、脱稿後の清々しい気分で、ゆるりと参りたいと思います。

今週の宣伝

さて、先週土曜朝のサタデーエッセイにて、ちょっと個人的に面白いことをしてみました。
ふだん、テーマをがっつり決めてお話するんですが、「たまには、ぐちゃぐちゃのまま話してみては」ということでやってみたんですね。
結果、すごいぐちゃぐちゃですが、これはこれで、生っぽくていいのかもしれない、と思ったり。
聞く方は、なんじゃこれ、と思うかもしれませんが。

もともとは、「自己責任」って何? というのと、「中立」って何? ということ、あと「安心と安全はまったく次元が違う」ということのうち、どれかにフォーカスしようとしていたんですね。

ただ、そうした「何?」が抜けたまま話が進む、今の世の中の「わからなさ」を、思うがまま話してみよう、と試しにやってみた次第。

また、近頃は「わからない」と口にするのが妙にタブー視されていることへのカウンターの気分もありましたね。
ちょっとしたことで「なんでわからないのか」とお叱りを受ける。なぜそこで怒るのか、こちらはそれこそわからない。

驚くほど未知の世界が到来する現代で、「わかっていなければいけない」「わからないと言えない」というのは、本来ならば、ただの不寛容です。なのに、それがルールであるかのようにとらえられてしまっている。

かつてなく複雑怪奇な事情で変化する戦争、経済、ウィルスなど、たいては「現実に起こっていることを断片的に受け入れるしかない」のであって、全体像と因果関係がまるっと「わかる」のは、ずっと後のこと。

なのにこの先どうなるか「わかる」なんていうのはそもそも妙な話で、実際に何か「わかる」状態になったときは、すでに新たな、たくさんの「わからない」に囲まれていることでしょう。

そういえば、なんでもわかろうとすることの無意味さを、仏陀も、毒矢の喩えで語っていますね。
毒矢を受けて治療が必要なときに、何の毒なのかとか、誰の矢だとか、それらが全て分かる前に矢を抜くな、などと言ってるうちに死んでしまう。

「わからないものが全てわかるまで、安心して生きることができない」と言うのでは、「たぶん一生安心することはない」のでしょう。

「わからない不安を捨て、わからないことを認め、無用の苦労を捨てる」

まずはこれを目標に、自分自身の、世に対する態度をこつこつ修正していくとしよう、と思う次第なのです。

コメント・トーク

先週のお題は、「あなたの作業用BGMは?」でした。

今週は冲方も、原稿に追われて、というより必死に追いかけ回していたため、作業用BGMのニーズがかなり高まっていました。
コメント紹介が遅くなったものの、大いにクルーメイトに助けられる予感がひしひし。

ではさっそくご紹介して参りましょう!

ぴょんさんからのコメントです!

ないほうが集中できるというのは確かですね。
長時間の作業をいかに集中を切らせずやるかというのは、ちょくちょく違うものに意識を向けて休むということでもあります。それがいわゆる作業用BGMの役割なのでしょう。

歌詞があると引きずられるというのは、冲方もわかりますね。
特に日本語の歌が、執筆中は苦手です。曲によっては文章がねじれます。決して嫌いではないのですけれども。

おお、『ファフナー』! アニメのサントラは、長尺のものがそんなにないので聴きやすいし、ドラマを想起させるので良いですね。
冲方も昔、『マクロス+』や『カウボーイビバップ』などよく聴いたものです。
『幻想水滸伝』と『Free』、どちらも未見ですので、どこかでせしめようと思いました。
コメントありがとうございます!

森人さんからのコメントです!

『原神』は未プレイ、というより、どんなゲームも興味はあれども時間がなさすぎで、最近は手が出せないのです。
代わりにBGMを聴くというのは良いリベンジになると気づかされました。
たいてい、時間がなくてプレイ動画で、昨今のゲームをわかった気にさせてもらっているのですが、BGMがちゃんと耳に入ってこないんですよね。

続いて森人さんからのコメントです!

冲方も『7Days to die』で、迫り来るゾンビの群を粉砕する巨大要塞を築いているとき、同様のことを思っておりました。
結果、いまだにゾンビものを書けておりません……。

そしてみたびコメント!
そうそう、実はその頃のヒーロー、合体ものというか、呪われた何かに取り込まれるというか、そういうものがけっこうあることに気づきました。
日本エンタメにおける、ある種のサイクルがあるような印象も受けましたので、時間をかけて自分なりに整理してみようと思いました。

ラピツティアさんからのコメントです!

カッコイイ! 『アーマードコア』はPVもめちゃカッコイイですよねえ。これまた時間がなくて、きちんとプレイしたことがないのですが、気分が盛り上がりすぎてむしろ書く手が止まりかねないのもわかります。
素敵!

再びラピツティアさんからのコメントです!

ファフナーのあの曲は、ダビング(絵に声と音が合わさる最終工程)で、ぞくぞくさせられた初めての体験でした。
アンジェラさんのワードチョイスがまた物語と噛み合って素晴らしかった。
間違ってもBGMにはなりませんが。

『ばいばい、アース』書いていた頃は、第九の歌詞のインスピレーションに助けられていたところが多々あると思います。

最近は「この曲がきっかけで」というのは少なくなりましたが、作品やキャラクターごとにインスピレーションを与えてくれる曲を選んで、執筆用アルバムを作ったりしたこともありましたねえ。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の主人公が母親からもらったベストテープみたいに。

物語の骨子として活用したものでは、『テスタメント・シュピーゲル』での『レクイエム』が、執筆枚数的には過去最大規模かも。

かのこさんからのコメントです!

TEAM NACSの劇伴! 劇団というのは冲方はほとんど親しんで来なかったので、新しい閃きを受けやすいかも、と思いました。
やはり歌詞に引っ張られるというのはありますね。言葉というのは基本的にメッセージで人の注意を引くものですし。
ひと仕事終わった後、いろんな曲を聴いて、「今度こういうの書こうかなあ」と思ったりすることは冲方もしばしばあります。

表のFさわさんからのコメントです!

ゲーム音楽は確かに、周回視聴に耐えられるもの、という独特のニーズがありますね。まさしくBGMですが、特定の世界に持って行かれがちでもあり、ピアノを入れるというのはわかります。
フラットになりますね。ピアノ曲のほうが、聴いていて小説が書きやすくなる、というのは冲方も経験があります。

FF15は、というか、FFもドラクエも最後にプレイできたのがナンバーいくつかすらうろ覚えで、しばしば前後の作品と混同しがち。
と言いつつ、これまたカッコイイ!
さすがのFFクオリティです。うっかりプレイしたくなってしまわぬよう、まずはBGMでしっかりインスピレーションを受けたいもの。

kei.さんからのコメントです!

へえー、こんなジャンルがあったんですね。そしてひたすら猫の尻尾が揺れ続け、書き物をする女の子のループがいいですね。つられてこっちも書きそう。

盛り上がってハイテンションになるだけでなく、こうしたリラックスムードも挟めるのは良いですね。アルファー波が出て、発想が自由になることでしょう。
読み方はローファイというんでしょうか。あちこち調べてみようと思います!

新条拓那さんからのコメントです!

やはりゲーム音楽は、オフボーカルで、周回視聴に耐え、盛り上がりもメローもチルもお手の物という感じで、改めて有用性に気づかされます。

こんな投票が! これは人気曲を網羅することができてインスピレーションをめっちゃくちゃ刺激されたいときにうってつけですね。
知らないゲームを、こういう形で知ることができるのも、大いに刺激になりそうそうです。
うっかり片端からプレイしようと思わないよう、おのれを律さねばなりませんが。

あとがき

あとがきに変えて、よたびのコメントです。
いつの間にそんな科目が。どうやらボンボルド先生の明日を目指す白熱教室が繰り広げられる模様。
それにしても祈手のデザインは、アニメーションで動き出すと異様にボンデージ感が出ますね。『マルドゥック・ヴェロシティ』のカトル・カールばりに真っ赤な奴らも見てみたいかも。さあ、共に見届けましょう。


さて。
終わるものあらば、始まるものあり、
執筆を終えてのちは、次なる執筆へ赴くばかり。
くたくたにはなりましたが、実を言えば、大変充実した日曜日でありました。

どうぞ健やかに、一週間をお送り下さい!
冲方丁でした。


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