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日曜日のクルーメイト #0078 ooh-ooh!! ah-ah!!

ハロー、クルーメイト!いかがお過ごしでしょうか。
冲方は、もっぱら参考資料にどっぷり浸かり、物語についての思案に明け暮れる有意義な一週間でありました。
今日も朝から資料に目を通すうちに、こんな時間に。

おかげさまで物語への思いを新たにし、改めて、様々な研究の成果を享受できる幸運に感謝しつつ、今週も元気に参りましょう。

今週の宣伝1 『マルドゥック・アノニマス』第44話

ooh-ooh ah-ah! ウーウ、アッア!
というのは猿の鳴き声ですが、今回の扉絵は、オランウータンのトーイくん! 大迫力! 今にも咆哮を上げそう!

シザースが仕掛けた、ハンター一派の内部抗争。
早くも壊滅するグループがいる一方、意外な結託を見せるグループもあり、「一枚岩ではない人々」と「統率者ハンター」を様々な視点で書きつづって参りたいと思います。
どうぞお楽しみ下さい!

今週の宣伝2 『剣樹抄』第17話

こちらの扉絵は、炎をまとう不気味な男。
自ら火だるまとなって迫る一方、微笑みながら、しなやかに踊るようでもあるのが恐ろしい。今話にぴったりの扉絵となっております。

さて、いよいよ小説『剣樹抄』も、終盤に突入。
了助と光國の葛藤の行方、ぜひ、お見届け下さい。

今週の頂き物1『ハウス・オブ・ドラゴン』グッズ

早川書房経由で、急に送られて来て、びっくり!
『ゲーム・オブ・スローンズ』一挙上映会に、いそいそと参加したりしたからでしょうか。
どのシーズンだったか、十数時間の視聴はめくるめく体験であり、疲労困憊でございました。

さておき、これはなんぞと思いましたが、あれでした。蝋を溶かして手紙を封印するグッズです。溶けた蝋に、ターガリアン家の紋章を、ぎゅっと押しつけるのです。マッチまでセットに入ってました。

やってみたいけれども、使うと勿体ない気がしてならず。
何か、これぞ、という使い方を思いついたら、ぎゅっと刻印したいもの。
素敵なグッズのご送付、大感謝です。

こちらは『ターガリアン家』の紋章ウィスキー。カッコイイ!
悪い企みをしている気分で飲めます。ティリオンのように飲んだくれてしまいます。

それにしても積極的なコラボは、読者(視聴者)として嬉しい限り。
『ハウス・オブ・ドラゴン』を楽しみに、執筆に励みたいと思います。

今週の頂き物2 川越氷川神社の水

こちらは、名物である「風鈴」の形をしたペットボトルの水。
御利益がありそう! というわけでウィスキーを水割りにして飲みたいと思います。

ちょうど『月刊東京人』さん10月号(9月3日発売)にて、「川越特集」をやるとのことでコラムの依頼があったところへ、ご縁あっての頂き物。

川越高校を卒業したのは、気づけば、もうだいぶ前のこと。
久々に川越の町並みを眺めながら散策してみたくなりました。

コメント・トーク

さてここからはクルーメイトからのコメントをご紹介。

奇しくも川越高校の話題が!
何やら縁が立て続き、呼ばれてでもいるのかと感じさせられます。

夏月さんからのコメントです!

川越高校の文化祭「くすのき祭」! 懐かしや。
冲方はですね、文化祭実行委員会では一時、宣伝班をやっておりました。

先輩に連れられて、NHKなどメディアに挨拶回りをし、「自分たちの高校の取材をして欲しい」とお願いし、認知度アップをはかったり。

他校に赴いて、文化祭を交流の場にする、お互いの文化祭告知ポスターを掲示し合う、近所の文具店などに告知ポスターを貼ってもらうなど、来客数アップの努力をしたり。

今思うと、営業の挨拶回りの基本みたいなことをしていて、勉強になりましたよ。

あと「門」は毎年、校門を飾るオブジェを制作する門班の仕事でしたが、そちらは見学するのが楽しかった記憶が。
在学中、最も驚いたのが、ゲーム「テトリス」の背景で知られる、カラフルな玉ねぎ型の屋根の、聖ワシリイ大聖堂を再現した門。
ベニヤ板でよくまあ作ったものだと。

しかも、何十分の一だかの模型を制作してから、実際に建てており、その模型からして、すごい出来映えでした。
当時の門班を率いていた方は、その後、当然のように建築学科に進んだと聞きました。
懐かしや。

森人さんからのコメントです!

こちらもなんと川越高校の文化祭の話題。
卒業後に校舎か図書館かが改築されたと聞きましたが、部室棟はまだ存在するのでしょうか。
化学部や物理部は、ほぼPCで遊ぶための漫画喫茶化していた記憶が。

当時どんな組織を生徒同士で作っていたか、ぼんやりとしか覚えていないのですが、そんな委員ありましたね。確か。
「文化祭であまりに電気を使い過ぎて、区画ごと停電したことがあるので、校内の電力使用が規定内になるよう、注意喚起する」という仕事があったような。

高校での御役目は、友だち同士が誘い合ったりして、一部に固まる傾向があったように思いますね。
思い出しましたが、部活の中には、生徒数が少なかったり、ゼロだったりするところがあり、そういう部活に仲間を送り込み、「複数の部室と予算を使い放題にする」などということをやっていました。

今のような携帯電話もメールもなかった時代、コミュニケーションのために必要だった「空間」を得るための努力だったんだなあ、と思うと微笑ましいものがあります。

さて再び夏月さんからのコメントです!

ヨーロッパの哲学史において大有名人のカントさん。
ものの見方、世界の捉え方を、がらっと変えたと言われるコペルニクス的転回。
それが、当時のドイツないしヨーロッパでどれほど衝撃的だったかは、確かに、同じ空気というか常識を共有しない限りは分からないものですね。
わざわざカントさん自身が、天動説と地動説になぞらえるくらいですから、少なくとも彼にとって、途方もなく強烈な体験だったのでしょう。

過去の知識や思想に、容易にアクセス出来るようになった現代、ぜひ存分に触れましょう!

みたび森人さんからのコメントです!

地政学的な考え方は、過去の悲惨な戦争の記憶を伴う面もあれども、リアリスティックに世界を見るという点ではやはり重要。

現実問題、先日の対談によれば、ロシアは北極海ルートを開発したことによって、太平洋に出なくてもよくなったとか。
とはいえランドパワーとしては、「侵略される恐れがあるから侵略する」というのが「常識」なのだと、改めて思い知らされましたね。

あとがき これからの物語

冒頭でも少し触れましたが、今週は非常に示唆に富む資料に目を通したことで、執筆の手を止めてしまいかねないほど思案させられました。

とりわけ『戦争における「人殺し」の心理学』と、『ストーリーが世界を滅ぼす―物語があなたの脳を操作する』は、物語が人をどのように変えるかという点で、不気味なほど相関をなし、戦慄すら覚えます。

一人称視点のアクションゲームでプレイすることが、実際に軍やFBIでの発砲タイミング訓練(ためらわず発砲する訓練)と同様の効果(影響)を及ぼすとか。
勧善懲悪の物語が、いかに憎悪と私刑欲に正当性を与え、ごく常識的な一般人を、殺人をためらわない兵士に(あるいは銃乱射魔や過激な民族主義者に)変身させる上で有効であるか、など。

思えば、大興奮した『トップガン マーヴェリック』も、敵対する戦闘機のパイロットは、ほとんど真っ黒いヘルメットで顔を覆われた無人格の存在として描かれていましたね。
「敵」には共感できるような人格はないのだと断定することで「待てよ、今撃墜された男だか女だかもわからないあの人物にも大切な家族がいるのでは?」などと興ざめになるような考えをあらかじめ消し去ってしまう。

他方で、どれほどわざとらしく多人種を一つの作品に入れ込もうとも、それがいかにも偽善に見えようとも、そうすることでその作品を見た人間に「肌の色が異なっていても共感できる」という感覚をもたらすことができる。

ここで詳しく書くと大変な文字数になりますので、いずれ創作塾noteの方にまとめたいところ。
なんであれ、良くも悪くも、物語の「毒」を、これまで以上に意識すべき時代になったのだな、と思い知らされた次第。

アメリカでは、保守派は夢の中に住むかのようなフェイクの城砦に立てこもり、リベラル派は無慈悲な異端審問官としてキャンセルという私刑を欲してやみません。
現代カルチャーの「善き部分」とはなんであったのか、インターネットは今後、何をまき散らすのか。

飽くことなく思案せねばならないことが山積の現代。
ぜひ皆様におかれましては、今週も健やかさを守り、元気にお過ごし下さい。

冲方丁でした。


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