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日曜日のクルーメイト #0026 BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY

ハロー、クルーメイト。今週も、いかがお過ごしたでしょうか?
冲方はオリンピックの反省を生かし、日中でも夜でもブラインドを下ろしたままにしていたため、花火が上がるたびにビクビクすることもなく執筆に専念しておりました。

かと思えば、パラリンピックの開会式で「あの曲」が流れたということを、あとから知った次第。

えー、確かにカッコイイですね。ええ。
英題で尊厳あるいは人間性(仁義)なき戦い」という曲を、「尊厳をもって戦う」パラリンピックの開会式で採用されるというのがですね、感動的な「意味の変転」と受け取られたということなのかな、と思いましたが。

ただ個人的には「ヤッチマイナァア!」と、その前段のシーンが、どうしても頭をよぎるのです。
もし「タランティーノ先生のおかげで世界的に知名度が上がった曲です」という気分だけで採用したとしても、もちろん『キル・ビル1』で、ソフィがどんな状態になったか等、ちゃんとわきまえて採用されているはずですよね、などとリモート打合せで話したりしました。

まあ、ここまでパラリンピック開会式が吹っ切ったのではないとは思いますが。と言いつつ、しれっと自作を入れたりして。

あと余談ですが、個人的に、視聴覚障害や四肢の欠損を「見たことない」みたいな人たちの言い分には、昔から、ちょっとついていけなくてですね。そういう人のパラリンピックの感想には、「ん?」と思うことがあります。
「普通にいるだろ」というのが個人的な感覚でして。逆にどんな環境にいるんだろう、と思ってしまいます。
子どもの頃、知的障害とか、指がないとか、脚が片方不自由とか、重度の難聴とか、そういった教師やクラスメイトがいるのが当たり前でした。
そういえば、海外にいたとき、指が六本のクラスメイトもいましてね。
その女の子がですね、「指が一本多いだけでなんで変な目で見られるの」という作文を授業で発表したとき、「え?」とビックリしたのを覚えています。変だと感じる人がいるんだ、ということがショックだったですね。だってどう見ても普通の女の子でしたから。間違っても『シグルイ』の虎眼先生みたいな子じゃないですよ。

人より何かの本数が多いのは確かに珍しいですが、減る分にはですね、人間の肉体なんて、ちょっとしたことで、ぱっとなくなりかねません。
あるいは病などでも、障害を負う可能性は、誰にでもあるわけです。
なのに、いまだそうしたことを非日常としてしか書けないこの世の中が、物書きとして、とりわけ、もどかしいところです。

一方で。
やはりスポーツという「規定」の問題も、下記のように起こることには、いろいろと考えさせられます。

自分の肉体の一部を切り離すというのは、誰しもが抵抗を抱き、様々に考えることをしいられるもの。
それが「規定のためだというなら、欠損を抱えるというのとは根本的に異なる何かを、受け入れねばならなくなります。

確かに、技術面では、脚部に障害を負った方でも、「脚を切って義足にすれば歩けるどころか走れるかもしれません」という現代の医療・義肢技術の向上があります。そしてその分、人間にとって「肉体とは何であるか」という問いかけが、ますます現実的かつ避けがたいものとなるでしょう。

あと初めて知りましたが、聴覚障害の種目がないんですね。

規定や種目というより、どうも主催側の事情による区別のようです。

ともあれ。オリンピック・パラリンピックの勝負については、もう少し世間が落ち着き、政治的な空気が流れ去ったあとで、楽しみたいところ。
そのために今から少しずつ、選手のニュースを集めております。


さてはて。
相変わらずニュースから入るスタイル。こういう話題は個人note枠にすべきだと自分で言ってるのに、ついやってしまいました。今週も反省。
えー、というわけで。
今週も、ぶらりと参りましょう。

今週の告知!

今月は四誌で作品が掲載されております!

SFマガジン 『マルドゥック・アノニマス』
野性時代  『骨灰』
別冊文藝春秋 『マイ・リトル・ジェダイ』
オール讀物 『剣樹抄』

えー。
これらのサイトを貼りつければいいのかしら。
雑誌、みごとにバラバラ。一部はアマゾンさん。どうもいまだに、どこにアクセスするのが正解なのかよくわかりません。
ぱぱっとリンクを貼るか、リツイートすれば、気軽に拡散できるようにしてほしいといつも思ってるんですが。お願いします、各社の中の人。

で。

おう。いつの間に解説してくれてたの。
だいぶ本数多くないですか? よう働かされておりますな。良いことです。楽しみに読みますよ。

さて。

9月21日刊行予定の『月と日の后』の告知は、もう少しあとになります。
表紙がカッコイイこと限りないので、早くお見せしたい!

単行本では、他に『剣樹抄』文庫『剣樹抄2』(仮)単行本、『麒麟児』文庫、『破蕾』文庫も刊行準備中です。どれもカッコイイ本になりそうで楽しみなのです。

コメント・コーナー

さあ、ここからはクルーメイトのコメントをご紹介!

森人さんのコメント! うお! 今、ものすごく腹が減っております。卵をぶっ込むと、なんでこう、食べ物としてのボリューム感が、どわっと質量増加するんでしょうね。
いや~飯テロの威力は、やっぱり半端ないですな。なんか食べてきます。

ご購読ありがとうございます! 
そう。ハヤカワさんは、SFコンテンツを扱うからこそアナログかつアナクロであり、ちょっと昔は、原稿をファックスで送ってましたからね。ハヤカワさんがファックス!? と驚愕させられたものです。テレビ局みたいですね。
ただ、雑誌をペーパーでめくる手応えって、あると思うんですよ。
冲方もですね、どうしても電書では物足りないなあ、と思う書籍は、つい紙で購入してしまいます。

これ! ラストが本当に良くてですね。
東アジアという、多元的と言っていいくらい、国や都市によって、まったく常識が違う世界。自分も早く書きたくなったものです。

冲方に「お題」を出す余裕がない中、コメントありがとうございます!
ぜひお気軽に、思ったことや最近の飯テロや、感想などなど、「 #日曜日のクルーメイト 」のハッシュタグをつけてツイートして頂くか、この記事の感想欄にコメントを頂ければと思います!

さあ。ここからは「スーパー冲方大戦Ⅱ」のコメントです。

よもやの水色が……。大変素晴らしい説明役だったのに。最後に言い放った一言の効果やいかに。


水色の手練手管が、実はまったく利かない人々の多いこと。
他の人々とのつながりがないと水色はそのモードに入れないのが痛い。


灰色の台詞は、こっちもちょっと冷や冷やさせられます。
一身にヘイトを集めてなんぼという感じですが、意外にしぶとい。今後の展開やいかに。

ありがとうございます! 新たな修行と思い定め、厳しく楽しんでやっております。おかげさまで週末は、ひいこら言いながら充実しております。

今思うと確かに、各クルーがそばにいるかいないか、わかってしまうというのは、インポスターにとって有利きわまりないこと。
にもかかわらずひっくり返っちゃうのが、このカオスなスーパー大戦の面白いところ。

青はその点、まったく容赦しなさそう。というか、していないですね。
完全に仰るとおりだと思います。まんまと追放できて、ロリポップをガジガジ囓っていることでしょう。

スーパー冲方大戦Ⅱ 第七回投票結果

毎度、クルーメイトはいったいどうして最も難しい展開を求めるのか。
なんとなく票が割れているようですが、「積極的な他力本願」順という感じで、インポスター少年団の戦い方が大変特徴付けられております。
さあ、いったいどうなるのか?
緊迫の第8回をお楽しみ下さい!

スーパー冲方大戦ⅡAmongUs 第8回

【前回のあらすじ】
青、銀色、金色、茜色、藍色、黄色、紫、灰色、白、緑が、水色に投票した。

水 裏切ったな、灰色!

 水色は追放された。
 水色はインポスターだった。

黄 よし。二人目の刺客を追放できたぞ!
紫 ですが、水色の最後の言葉は……。
藍 裏切り……?
金 なんとも聞き捨てならんことを言い残した、な。
灰 ふん。こざかしいフェイク坊やの言葉がどうしたというのかね?
青 すっげー気になるっしょ。
銀 なに? もしかして仲間を捨てて生き残ったとかってやつ?
茜 なんて卑怯な!

緑 あ、ちょっと良い流れになった。
白 水色くんのためにも、ここは――!


【カフェテリア】
緑 もういっぺん会議を開いて灰色を疑わせようか?
白 ううん。水色くんが用意した映像が疑われたままじゃ、灰色に疑いをかけきれないと思う。映像の内容を、少しでも本当らしくしないと。
緑 灰色が赤を呼べるってこと? 赤って、どうしたら出てくるのかな。
白 過去の傾向からだけど、たぶん、こうするといいと思う。

 サボタージュ 電力障害

黄 また明かりが消えたぞ。紫、見えているか?
紫 はい。見えています。
黄 みなとはぐれないようにしよう。孤立すれば狙われるに違いない。

銀 えー、これ? 会議できなくない?
青 あー。電気直さないといけないってことっしょ。
銀 何よもー、さっさと灰色追い出しちゃおうとしたのに。

藍 電気か。やり方は先ほど覚えたぞ。確かあっちの部屋で針金のようなものをつなぎ合わせれば……。ん? どこからか声が聞こえる……。
灰 ……。

金 気をつけろ、茜。賊がいつ本性を現すかわからぬ。
茜 はい、黄色様と紫様をお守りします。
金 おのれの身も守るのだぞ。

緑 確かに、赤は必ず暗いときに誰かを襲ってたね。
白 まだわからないけど。様子を見るために、みんなから遅れてカフェテリアを出るのはどうかな。
緑 良いと思う。背後から襲えるし。

【保管庫】
金 茶色が赤に斃された部屋か……用心せねば。 
藍 そう。思い出したぞ。ここで化け物を黒に任せ、私はこっちに向かったんだ。
灰 ……。
銀 なんで止まってるの? さっさと電気直した方が安全じゃない?
青 ねー、早く行こーよ。
藍 また声が……あちらの部屋からだ。 

【電気室】
金 ふむ。ここで明かりを直すのか?
藍 そう。この針金のような者をつなぎ合わせるんだ。
金 どれどれ。わしにやらせてくれ。こう順番にやるのか?
藍 いえ、色を合わせるのでは。
金 なるほど。これが電気か。面白い。
灰 ……。

銀 うっわー、めちゃじれったい。
青 電気直すのそんな難しくないっしょー? なんでそんな時間かかるわけ?
灰 やれやれ。大の男が二人がはりついていては、手が出せんな。ここで固まっていてはインポスターとやらの格好の的という気がするが、それはこの小娘たちの役目ということにして、私はカフェテリアに戻るとしよう。
銀 灰色、今なんかむかつくこと言ったでしょ。
青 あ、でもさー、電気直ったらすぐ会議できるとこにいた方がよくない?
銀 そっか。なに、ここに来た意味ないじゃん。行こっか。

金 よし、この針金とやらで最後か……。む? どうした藍色?
藍 聞こえる。姉さんの声が……。はっ。

  藍色が赤へ変わっていく。

赤 私に満ちるのは、悲憤……。
金 なっ、なんと!? 赤に!? 出合え! みなの者、赤だ!
赤 私はお前に報復する。
金 逃れられぬか……もはや是非もない! 紫よ、わしを殺す者の姿をしかと見よ!

【保管庫】
青 え、あっちで金色がなんか言ってない!?
銀 赤って聞こえたけど、マジで!?
灰 ふっ……。

黄 何の騒ぎだ?
紫 そんな、赤が! 赤が、金色を襲っています!
黄 なにっ?

【カフェテリア=保管庫 通路】
白 騒ぎが起こってる。上手くいったみたい。
緑 あ、紫を倒すチャンスだ。
白 えっ?

 緑が手札を放った。
 手札が、紫の声がするほうへ飛んでいった。
 手札から、溶岩を吐く犬と、巨大な燃えるトンボが現れた。

紫の声 黄色様、早くこちらへお逃げ下さい! 青様も銀色様もこちらへ! っ! 妖怪がっ!? きゃあああーっ!

 二つの手札が緑のもとへ戻ってきた。

白 成功した! やった!
緑 あー……しまったな。
白 え?
緑 茜色の特技をちゃんと確認すればよかった。ごめん。
白 どういうこと? あ、まさか今の紫じゃなくて……。
緑 手札をいくつか配置しておくよ。君のために。
白 緑くん……?

 緑が手札を三つ、どこかへ放った。

 紫が死体を発見した。
 緊急会議が招集された。

紫 灰色と一緒にいた藍色が、赤に変身して金色を殺しました! そして茜色さんが……緑が放った怪物に。私の身代わりになって……!
黄 なんてことだ。金色と茜色をいっぺんに失うなんて。だがこれでインポスターは判明したぞ!
藍 まさか……姉さんが私に宿って……。
青 電気室から出ようって言ったの灰色だよね。
銀 あれって金色を襲わせるためだったんじゃない?
灰 おやおや。私はただ、無駄なことや危険な真似はせぬのが一番と思っていただけなのだがね。それよりも緑について、紫が何やら面白いことを言ってはいなかったか?
緑 参ったな。うん。おれがもう一人のインポスターだよ。
白 みみみ、緑くん!? そんな、あっさり――
黄 僕たちを信用させておいて、紫を狙っていたな?
緑 そうだよ。何も知らない白くんを利用してね。けっこうわかんなかったでしょ。
青 うわ、ぼーっとしてんのに、悪そうなこと言ってる。
銀 やば。全然わかんなかった。
白 緑くん!
緑 ごめんね、白くん。迷わず僕に投票して。手札は三つだよ。
白 うう……緑くん……。
藍 いったい何が起こっているんだ……。私は……インポスターなのか? それともそうではないのか? 教えてくれ、緑。
緑 うーん、藍色は違うんじゃないかな。赤を呼び出す誰かがいるだけで。
黄 赤を呼び出す……。
灰 困ったものだ。私も、緑のことはずいぶん頼れる味方だと思っていたが、仕方あるまい。ひとまず、投票をするとしよう。

黄色、紫、青、銀色、灰色、藍色、白が、緑に投票した。
緑が追放された。
緑はインポスターだった。

黄 やはりインポスターだったか。厄介な相手だったが、なんとか追放できたな。
紫 はい。あとは残り一人です。

青 赤のことあるっしょ。
銀 絶対、あいつがインポスターだって。あたしが会議開くから、さっさと追い出そう。

 銀が緊急会議を招集した。

銀 さっきさー、灰色ってば、藍色と金色をわざと電気室に残したでしょ。藍色が赤に変身すること、絶対知ってたって。
藍 そ、そうなのか? 私はいったいどうなっているんだ?
黄 白状するがいい、灰色。
紫 金色さんと藍色さんが最後に一緒にいたのは、確かに灰色なのです。
灰 やれやれ。思った以上に知恵が回らんやつらだ。その前に、緑と親しくしていた白のことはどうでもよいのか? 金色を殺した張本人である赤、あるいは藍色のことは? あるいは、わざと電気室に近づかなかった黄色のことは?
黄 この期に及んで僕にまで疑いをかけようとは呆れたやつだ。とはいえ確かに、藍色は加害者に関わりがあるし、緑や水色と一緒にいた白がなぜ無事でいたのかも疑問だ。
青 わざと生かしといたってことっしょ? インポスターじゃないふりするためにさ。
銀 なんか白とかなら、いつでも殺せそうじゃん。
白 う……。
灰 さて、本当にそうかな? インポスターは残り一人。だが疑うべき者は意外に多いのでは?
黄 ふむ……。

白 ああ、とうとう一人になっちゃった……。なんとか切り抜けなきゃ、水色くんと緑くんに申し訳ないし。こうなったら、ここは――


スーパー冲方大戦Ⅱ 第8回投票

1 灰色を疑わせるぞ。
2 藍色を疑わせるぞ。
3 黄色を疑わせるぞ。
4 会議を終わらせるぞ。

投票用ツイートは月曜日頃に投下します!

あとがき

ああ、気づけば12時を過ぎておりました。
つい色々と文言を見直していると時間が足りなくなります。校正者がいない記事作りは意外に大変。

さて。
スーパー冲方大戦Ⅱもいよいよ佳境。ぜひご投票下さい!。
来週もまた宣伝が少しずつ増える予定です。今秋は収穫の時期になりそう。

それでは。いっそう騒がしい世情においても、可能な限り心を平穏に保てますことを願って。
良い日曜日をお過ごし下さい。
冲方丁でした。

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