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日曜日のクルーメイト#0071 Back from LALALAND!!

ハロー、クルーメイト。いかがお過ごしですか?

冲方は、ラ・ラ・ランドなハリウッドを擁するロサンゼルスにて見聞を得てのち、深く考えさせられながら帰国した次第。
そうした考えを書くと分量がかさむため、いずれ整理して創作塾用noteにまとめたいところ。

また、本日は参院選の投開票日。
先の選挙に続き、我々の暮らしぶりが今後いかなるものになるかが占われるこのとき、元首相殺害という、人心を動揺させる事件が生じるとは誰も予想できぬことであったでしょう。
それにしても、僅か二年で、いったいいくたび世に激震が走ったことか。

悲劇から学んで希望につなげよう、という態度すらどこか牧歌的に感じられるほど、何がそもそも良いことで、何が悪いことであったか、総ざらいで見直さねばならない時代。
それでもなお、少なくともこの日本社会は、衝撃を受け止める力に恵まれ、動揺はするが崩壊することはないと信じさせてくれます。
そのような国にいる自分の幸運を思いながら、それが失われないよう、微力ながら自分の務めと努めに邁進せねばなりません。

皆様におかれましては、くれぐれも一時の激情や不安に感化されることなく、今後の暮らしはどうありたいか、泰然たる心で見極めて頂きたいもの。

今週も粛々と、しかし臆せず朗々と、参りましょう。

『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』続報

ロサンゼルス滞在中にキービジュアルとキャスト発表をしましたとご連絡が。
改めて、EXODUS以前の平和な光景が描かれると、何やら胸に来るものがあります。

ビジュアルに付記されたコピーは、冲方がいくつかご提案した中から今回のものが採用されました。
これで無印から全シリーズで、コピー考案コンプリートです。さらっと書きましたが、17年にわたってのことで、なんとも感慨深いのです。

ちなみに別の候補として、「平和な夢 明日への約束 皆、ここにいた」というものもあり。
「平和」「明日」「約束」「過去」といったキーワードがありましたが、これらのうちEXODUSで一騎が七夕の短冊に書いた「願い」につながるものが採用されたのが嬉しい。
奇しくも七夕前後の続報。今後の発表が冲方も楽しみ!

kurekure_kunさんからのコメントです!

何やら意味深なLINE。どんな意味なのか?むしろ一線を引かれちゃうかもしれない?それでもBehindがBeyondするかも? ぜひ公開までに想像?を膨らませて頂けましたら幸い!

『マルドゥック・アノニマス』第43回

今回の扉絵をご紹介!

長らく眠っていたレザー(隻眼)が構える斧に、バイクで突っ込んでくるトミーの姿が映っているという、実に凝った構図。
コミックの一コマのような動きの激しい絵で、個人的には珍しくて喜んでしまいました。
物語も、ハンター配下の人々の思惑が次々に絡み合って、動きを加速させております。
ぜひお楽しみ下さい!


他、『骨灰』『マイ・リトル・ジェダイ』『剣樹抄』の連載、『RWBY』の記事など、後日改めてご紹介させて頂きます。

LA便りダイジェスト

さて。エッセイが十本くらい書けてしまうほど、とにかく見聞を広めさせて頂きました。
それらについていずれ書くとして、ここではダイジェストでご紹介。

左上から、映画『スピード』や『ラ・ラ・ランド』などの撮影現場ともなった高速道路。ロサンゼルスは全都市が撮影現場みたいなもので、撮影のため普通に交通規制をするのだとか。

高速道路の向こうに見えるのは「中流層の住み処だった場所」で、今やスラムが広がり、「危険を感じた富裕層が郊外へ出て行く」動機となっているとか。
都市の内部に貧困が閉じ込められ、都市の外の広い土地に住まう富裕層に囲まれるという構造は、ちょっと日本では見られない構造。

しかし考えてみれば、中近世ヨーロッパの都市構造はだいたいそうで、ヴェルサイユ宮殿もパリ郊外に存在したことに気づかされた次第。

ちなみにスラムと隣り合うブロックでも、ラーメン一杯が約20ドル。今の為替ではおよそ2600円。少し前でも2000円超。
ホテルで働く掃除夫の月収がだいたい45万円とのこと。

ロサンゼルスで経済的に不安なく過ごせる貯蓄の「平均」は1億5千万円、カリフォルニアの高級住宅地で不自由なく過ごすには6億円ほど必要とか。
日本人の富裕層も、「稼げる上に、税金が安い」という理由で移住してきているそう。

今も旺盛な消費に支えられたアメリカの金銭感覚に比べ、日本経済がリーズナブルを通り越して「チープなガラパゴス」になってしまったと実感。

右上はサンタモニカの美しいビーチ
対岸の山の一帯に、レディ・ガガなど新興の富裕層が居を構えているとか。「安全のため」に一般市民から遠ざかり、自分たちを「隔離する」構図がありありと見られます。

他方、麗しいビーチでは、「絶対に荷物を置かない、目を離さない、一瞬で盗まれるから」と注意されることしばしば。

左下は、立ち並ぶ椰子の木が特徴の、ビバリーヒルズ
旧来の富裕層が住まう高級住宅地ですが、スラムが接近し、暴動の被害に遭う可能性が増したことから、より郊外に居を構える富裕層もいるとか。
地区にはスポーツで有名な大学も。

右下はロサンゼルスでも規模が大きい銃の射撃場
拳銃だけでなく、ライフル、ショットガン、サブマシンガンなど、各種の銃器に触れることができます。
利用する際には、「全ての事故において店側の責任を追及しない」、すなわち「不審な動きをして、警備のガン・レンジャーに射殺されても文句はない」という趣旨の誓約書にサインせねばなりません。

実感したのは、銃が存在する社会の「銃規制」と、それがない日本との常識や考え方の違い。
アメリカにおける銃規制とは、「銃の所持や持ち運びのライセンス取得の基準を高く設定する」以外に、たとえば「コートの裾で隠せないよう片手では持てない構造にする」「連射機能を制限する」「弾倉の装填弾数を制限する」「鞄の中にサブマシンガンを入れられないよう銃身を長くする」といったことを示すそうです。

他にも、銃社会の意外な常識が。
金がかかるのは銃身ではなく、消費する弾丸のほう。
ホームレスは金がないので銃を持っていないか、とっくに売っている。
びゅんびゅん飛ばす車よりも、ゆっくり近づいてくる車の方が、車内から乱射する気ではないかと感じさせられて怖い。
適切な扱い方(コントロール)に失敗すれば、銃だろうと車だろうと食品だろうと、人が死ぬ。
などなど。

アメリカの常識の多くが、時を置いて日本に伝わるもの。
より良いものを受け入れ、そうすべきでないものを遠ざけることが重要ですが、それ以前に「何が良いものなのか」も考えねばなりません。

冲方としては、米国移住のメリットはさておいて、「今後の原稿料を全部ドル払いにしてもらえたら良いなあ」と思わされたものでした。

森人さんからのコメントです!

利益が出るところに、どっと人が集まるのがチャイナタウン。
ちょっと状況や治安が悪くなると、さっと移動してしまうのでしょう。
チャイナネットワークはフットワークが軽い分、儲からないとすぐに去ってしまう印象が。
全世界がチャイナタウン化するというのも面白い発想。

新条拓那さんからのコメントです!

観光客が普通に本を買っておりました。
レアな画集や書籍がてんこ盛りですので冲方もうっかり欲しくなりましたが、重くて持って帰るのが大変なので諦めました。

ロサンゼルスに行かれる際はぜひ立ち寄ってみて下さい。

コメント・トーク

前回はあまりに時間が限られていたためトークなしでありましたので、今回は二週分まとめてお届けしております。

森人さんからのコメントです!

実際のところ二元論・一元論が通用するのは、ある社会の内側でのみなのでしょう。大きな視野で見れば、人間はいつだって多元的で、それを二つか一つにまとめるためのフィクションが作られてきたのだと思います。

これからの日本も、バラバラの主張をまとめ上げ、一つの国というフィクションを強固に作り上げていかねばならなくなるでしょう。
それが一部の層にのみ利する、フェイクに満ちたものにならないことを願うばかりです。

kei.さんからのコメントです!

SNSが弱体化したコミュニティの代替となることで善悪両方の影響を与えたように、もし家族の葛藤が無くなれば、やはり何かで代替されるのではないかと冲方は考えております。

また、人間が群を作る必要がなくなったためしはなく、今後もないだろう、と思います。自給自足で暮らしているように見える人々ですら、やはり全てを個人でまかなうことはできません。人間というものがそういう風にはできていないのだと思います。
代わりに、孤独もまた永遠に、人間にはつきものであるのでしょう。

もし、孤独を完全に感じなくなってしまった人間が多数現れたら?

社会を築く必要すら感じなくなったなら、多様な知識を得ることも、互いに役割を担うことで成り立つ建築や農業も、社会に貢献するための発明もなくなって弱体化し、地球上で生きる他の生き物たちか、はたまた病気などの大流行で、あっという間に滅ぼされてしまいそう。

逆に、安全で便利だから社会を築くことには協力するが、それ以外の点では他者と一切関わらないとなれば、「自分は何のために生きるのか」という目標設定がものすごく大変そう。
「ただ生きるために生きる」ことができるかどうか。
目的もなく、刺激もなく、求められることもなく、気遣われることもない。
多くの人間にとっては地獄でしょうし、向いている人であっても、だいぶ生命力に欠けてしまいそう。

森人さんからのコメントです!

コミュニケーションを取っているようでいないような、孤独についての試案のヒントにもなりそう。
とはいえ、AIはさておき、粘菌が具体的に何の役に立っているのか、ちょっとわかりませんでした。
栄養を求めて迷路を移動しているとか。
どこかのAIのように、突如として人類を敵とみなすことにならないようお祈り申し上げます。

あとがき

いつの世も動きを感じさせられるものですが、この数年は途方もない。
ジェットコースターに乗りながらフリーフォールを味わっているような、いったいどこが、そもそも自分が立っていた地平であったかわからなくなりかねません。
そんなときこそ、惑うことなく、自分が依って立っていたものごと、これから依り立つべきものを、じっくり見極めたいもの。

皆様におかれましては、重ねて動揺を遠ざけ、泰然とした心でもって、健やかな日曜日をお送り下さい。
さて、冲方も、選挙の投票に行って参ります。
ではまた来秋!
違いました。
ではまた来襲!
どうしたnote。
ではまた来週!

アデュー。

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