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じわり思春期?

「親業」は「壮大な事業」だと思う。
どこかの研究者が「子育ては火星有人飛行のようなロケットサイエンスより、はるかに難しい。ロケットサイエンスは難しくても一度方法が確立してしまえば使いまわせる。しかし、子育てはある子どもに有効だったことが、別の子どもにも通用するとは限らないのだ」的なことを言っていた。120%同意。自分の親を含め、古今東西の親たちは本当にすごい。

さて、我が家の8才の長女は小学3年生。脳の成長に伴い複雑な感情の起伏も現れている。近頃は「これは思春期の始まりか?」と思わせることも。

昨日は、夕食後に寝る準備をせずグズグズになった長女と妻の間に火花が散った。その時私は別の部屋にいたのだが、ドキドキしながら2人のやり取りに耳をすませていた。妻がビシっとキツイ一言を言った時には、私は長女がシュンとなると思ったのだが、実際はそうはならなかった。なんと、怯まずに言い返し、反撃にでているではないか。しかも親側の不備も鋭く指摘してくる。そうなると大人もカチンときてヒートアップしやすい。

この時は妻が物理的な距離を取ってHot War には至らなかった。ちなみに、場の空気を察知した次女は、流れ弾に当たらないよう安全な距離を保ち、"我関せず"と涼しい顔をしていた。こちらは世渡り上手。

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一方的に親の言いなりにはならないのは自立心が芽生えてきたからだろう。日頃の大人の言動を観察していて、「偉そうなこという割には自分たちもできていないだろ」と理想と現実のギャップに怒りをぶつけてくるのには思春期の到来も感じた。

子どもの成長に親としてどう向き合えるか。これは本当に難しい問題である。とくに私のなかで最大の難関と位置付けている思春期には、今から戦々恐々としている。心の中で河合隼雄さんと対話しながら、「上手く立ち回ろうなんて考えるな。子どもと本気で向き合う覚悟が問われているのだ」と自分自身に言い聞かせている。

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さて、長女のその後についてだが、クールダウンの意味を込めて15分ぐらい仏頂面の彼女を放っておいた。それから「もし話し合う気があるなら一緒にお風呂に入ろう」と誘ってみた。不貞腐れた態度を見せつつ話に乗ってきた時は安堵した・・・

お風呂ではシャワーで温かいお湯を首回りにかけ、彼女の高ぶった交感神経をなだめつつ、以下のような話をした:

・一般的に、親は子どもよりも先に死ぬこと
・子どもはそのうち大人になり、親に頼らず人生を切り拓いていくことになる
・親は子ども時代を準備期間として全力で応援する
・家のルールは、突き詰めると子どものためにある
・親も人間で完璧ではないので、過ちや失敗もする
・親は子どもに100%の愛情を持っているが、信頼は互いに努力して築くものだ

どれだけ伝わったのか、内容が適切だったのかは分からない。
その後の彼女の反応をみて推測するしかない。

親業は一瞬一瞬の真剣勝負。
ロケットサイエンスよりも難しいのだ。

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