近い将来これらは統合される?医学・AI・医学英語
イントロ
少し前までは面白い質問だったかも知れませんが、もはやナンセンスかも??
みなさん1日にどれくらいの時間AIを使いますか?
人間は仕事を取られる?
もはや疑うべくもなく2022年のChatGPTのサービス開始辺りから日進月歩でAIの存在感は増してきました。そして、AIやヒューマノイドが医師の仕事を奪うという噂を耳にしたことがあるかもしれません。通訳や翻訳においては分野によっては医師が「駆逐される」よりもっと早いスピードで実際に職業機会が減らされていると感じます。それは人の心を不安にさせるに十分なものですが、大局的に見れば未来はそれほど悪いものではないかも知れません。
AIは、私たちの職業を奪うのではなく、私たちを支援するために存在しています。これは置き換えではなく、人の能力の強化です。しかし、そのためには私たちの価値観をを変える必要があります。現実的になり、この新しい技術に慣れ親しみ、AIを活用した現代医療のパイオニアとしての位置を確保すべく行動する時だと思います。
AIの日本語利用という不確かなもの
ここで、もう一つ大事なことがあります。私たち医師やその関係者として、特に非英語圏出身者として、もう一つの異なる挑戦があります。それは、がん治療と同じくらい長く続いている、日本の医療専門家の「英語習得の戦い」です。一部のがん治療のように、こうすれば良いという方法は定まらず人々は右往左往しています。AIのアシストを活用した医療の専門家としての暮らしにおいて、そのことはどう変化していくでしょうか?日常的にAIを活用する際、英語は最もパフォーマンスの良いオプションであり、常に最新の開発の最前線にあります。日々流れるAI関連のニュースで「日本語版は半年以内に対応予定」とか全編日本語のAI活用法が商品価値をつけて売られているのを目撃しますが、医師やグローバルに活動する人たちにとってそんなもの必要でしょうか?もしくは最適解に繋がるでしょうか?私の感覚では、プロは原則英語で自分の専門を取り扱うべきです。一般の人に届けるときだけ分かりやすい言葉に直せば良いのだと思います。AIが身近にくる以前からそう考えています。
待ったなし?
これらの課題に直面している今、私たちは自問する必要があります。どのようにして適応するのか?AIを活用して私たちの役割を確保するだけでなく、強化する方法は何か?そして、これらの高度なツールを最大限に活用するために、どのようにして英語の習得を進めるのか?
これらは探求する価値のある問いであり、医療専門家としての私たちの未来にとって極めて重要です。答えは、おそらく私たちが変化を受け入れ、継続的に学び続け、互いに繋がる方法にあるでしょう。
最後に種明かし
AIを活用した医学知識のまとめを英語を第一言語として行うというアジェンダを提唱したくてこの文章を書きました。そしてその一例としてこの文章を作成しました。
ここに文章作成風景を載せてみました。何かと時間がかかり電車も混んでいて何もできずに特に興味もないけど暇つぶしでニュース記事やSNSを眺めたりマンガを読んだりする通勤時間。私は最近はChatGPTのVoiceモードを使って仕事の準備や作文に使っています。実はこの文章は構想を考えて私が音声でインプットしてGPTがそれをSNS用に作文する。内容の細かい変更や改変を私が音声で指示する。を繰り返し、完成版ができたところで日本語翻訳をさせたものです。日本語訳はかなり角ばった文章になっていたので最後はドキュメント上で日本語ネイティブチェックを自分で行いました。いわば私とGPTの共著文章です。完成させるためには私の構想力だけでなく英語力、編集力、日本語翻訳の校正力が必要になります。今回はSNSの一般的な内容でしたが、これを医学知識に置き換えてみましょう。AIを使いこなして一つのまとまりのある文章や教材を作るときには前述の能力だけでなく、医学知識が必要になります。言語能力も医学英語を正式の文書に耐えうるレベルで自由に扱う必要があります。
このシミュレーションで見えてくることは、AIは個人が元々持っている能力や物理的な限度を超えて高いアウトプットを行えるように強力なサポートをしてくれます。しかしながらそれを如何に有効に使いこなせるかは主体である医師や医学者に対してこれまで以上に高い能力を要求していることに気が付きますでしょうか?
AI大規模言語モデルがあればいとも簡単にナチュラルな文章を作れますが、それを監修するのは医師本人です。カタコトでもなんとなく伝わればよかったマニュアル翻訳時代よりもより多くの知識が必要です。そして、これは以前からそうですが文章がとても上手だけど口を開いてみると稚拙な英語しか話せない研究者はしばしばコラボレーターを失望させます。なのでしゃべり言葉としての医学英語の要求水準もまた上昇していくと予測しています。やや興奮気味に言えば、
もう無理です!本業を日本語で一生懸命にやって発表や必要なときにだけあまり役に立たない英会話訓練をしていざ本番では片言や的外れな受け答えしかできない人を誰も贔屓目を向けてくれることは無くなるでしょう。これまでもなかったですけど。。。
正確な医学情報を掲載するためには言語モデルが作った魅力的な作文のどの部分は正しいけどどの部分は修正が必要か?全体的な方向性が合っているかを瞬時に見分ける能力が問われています。そうでなければAIを使わない方がまし、という状況になるでしょう。人間は本当に安全にAIによる医学情報を扱えるようになるのでしょうか?個人的には大変不安です。一般の人はキーワードを2−3入れるだけで自分の健康問題を全て機械が解決してくれるだろうと思っているのでしょうが、そんな夢物語は今の段階では相当に遠いと言って差し支えないでしょう。
そこで、医師・研究者・言語のプロそしてAI技術の専門家は集合してこのパラダイムチェンジの大波に向かわないといけません。今からでも間に合うでしょうか???
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