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神様の王様のドレッドの話

工房にいるといろんな人が訪ねて来ます。

お客様はもちろん、お問い合わせ、地域のクリエイター系な人々などなど
ただそこにいるだけでいろんな人と知り合えるのは嬉しく楽しいことであります。
そして何せアジア人がやってる新規の変な店なので
何をしているのか好奇心に満ち満ちて、または野次馬スピリッツを忍ばせて(笑)覗きに来る人も少なくないです。

今回はこれらのどれにも当てはまらないと思う訪問者、グスマンの話。

セネガルかな、ガンビアかな、アフリカから来たに間違いない人なんだけど
工房のドアをそっと開けて覗き込んだその手に持っているのは彼のドレッドヘアの一片。
「これ、またくっつける接着剤か何か、ない?」

一瞬絶句してしまった。

気を取り直して、
「髪の毛と髪の毛をくっつけたことないからわからないけど
わたしの持ってる接着剤はちょっと強すぎるんじゃないかな・・・」

だって木工用ボンドじゃシャンプーして溶けるでしょ。
瞬間接着剤じゃカピカピでしょ。
・・・・・。

「ああ、そう・・・。ありがとう。じゃあ何かこれを保管できる箱か袋はないかなあ。
長年僕に付き合ってくれたものだから思い出に持っていたいんだ」

また一瞬絶句してもうた。
「それにちょうどいい大きさのはないなぁ。もっとおおきい箱や袋ならあるんだけど・・・」

仕草からして首にブル下げたいようなので、それはちょっと困難かと思われます。

「これね、この前、夜歩いてたらわるい奴らが来て切ったんだ。
奴らに俺は神様の王様なんだぞって言ってたんだけど、奴ら嘘だって聞かないんだ。
それで俺のドレッドを切ったんだ」

!!!!!!!!!

ヒョエ〜。
と思いつつ
でもなんか可哀想になってきた。

グスマンはスーパーのカートを押して町を歩き回って金属や銅の売れそうなものを集めて売ったりしている人のようです。
時々見かけたことありました。
「僕の名前はグスマンだよ。おもしろいお仕事してるね。」
少し普通の会話をして
「わるい人がいっぱいいるからちゃんと気をつけてね。」
って言ったら
「そうだね、ありがとう。ご商売、うまくいくように祈ってるよ。」


神様の王様に幸運を祈られたので
怖いものなし!!!

多分これを超えるお問い合わせはないだろうな・・・・。
あったらおもしろいからあって欲しいけど。笑


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