見出し画像

仕事納めの梅子さん

今日で仕事納めの梅子さん。
梅子さんの仕事で今年も一年色々あったけれど、無事に終わることが出来た。

12月、食事中、梅子さんのおうむ返しの声が響いて、他の利用者さんが不穏になることがあった。
梅子さんの問題行動の1つに口害がある。
以前も注意していたが、その時は、私が介入して静かにすることを伝えた。
それ以降、あまり口害は、なくなっていたが今月は久しぶりに出てきた。

連絡帳で話を聞いた時、また私が教えようと思っていた矢先、職員さんが真剣に向き合ってくださってその場でおさまったとの事。
問題行動をおさめられることができるのは私しかいなかったので正直、驚いた。
職員さんには、家でも継続して指導します…ということを伝えた。

その後、その問題行動を考えていると梅子さんも少しずつ私からゆっくり離れていってる気がした。
こうやって親から少しずつ他者との関係を作っていくんだろうな…と思った。
ちょっと寂しい気がした。

そして、昨日、梅子の働きぶりについて連絡を頂いた。
今、大手通販ショップの商品のかきいれどきだ。
連絡帳には「最近、◎◎の商品作りを頑張ってくれています。梅子さんが今の所、全工程できる唯一の人です。助かっています!」と書いてくださっていた。

梅子さんは、通っている施設の中でも1番障害が重いと言われている。
実際、軽度の人しか通っていない施設。
その中でわかりづらさを抱えても、梅子さんの強み(手先の器用さ)をフルに生かして、仕事をしてくれている。

もう職人だ。

小さい頃から問題行動しか起こさなかったし、他の重度発達障害のお子さんより発達が遅れていて、何も出来ない子供だった。
育てていると何度も何度も私の心が折れて挫折の連続だった。

それでも、療育に希望をもち、トモニ療育センターの河島先生から「手先を磨きなさい」というアドバイスのもと家で教え続けてきた。
毎日、最低でも3時間以上は勉強や手先を磨く練習をしていた。
その他にも家事や運動もしていた。

家で療育していると、外から健常のお子さんたちの遊ぶ声が聞こえて、障害さえなければ、こんな辛い日々を送らなくても済んだのに…と思うこともあった。

他にも療育センターの先輩方が世界に認められる画家になったり、陸上の世界大会やパラリンピックで活躍している方もいて、正直、人より劣る能力の梅子さんにガックリきたこともあった。(人と比べても仕方ないのだけれど…)

それでも微かな希望を見出して、必死で向き合ってきた。
そして、セッション中に先生から、手先の器用さを見出して頂き「職人にさせる」という目標を掲げて育ててきて、ようやく花が開いてきた。

念ずれば、花開く

坂村真民さんの言葉をよく河島先生は、言葉にしていた。
希望に向いて歩いている過程は苦しく辛い。
疑心暗鬼になって、自分を信じられなくなる。
それでも、微かに見えている光に近づくことを諦めきれなかった自分がいた。

人は幸福になるために生きているけれど、幸福になるためにデザインされているわけではない。

By 「幸福の資本論」橘玲より

正しい方向性を定めて、命が尽きるまで努力し続ける…
人として生きる生き方ってこういうことなんだな…と梅子さんから教わった。
私は、梅子さんの指導者なのに、結局、教わっている。笑

現状維持では後退するばかりである

By ウォールト ディズニー

この言葉を胸に来年も梅子さんと前進していきたい(^^)

現状維持では後退するばかりである


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?