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読書記録『戒名探偵 卒塔婆くん』

『戒名探偵 卒塔婆くん』
 高殿 円 著 

戒名だけで一冊。しかも高殿円。
歴史モノもお仕事モノもディープに掘りつつ、かつ軽快な高殿円が“戒名”を描くとは・・・ありがたすぎる。
仏教とか戒名とか、日常ではあまり馴染みのないところをテーマに、高校生目線の読みやすい謎解きにしてしまうあたり、やはり高殿円はすごい。
タイトルだけ見て「コレ、絶対面白い」と直感したが、見事当たった。

これは私自身の話だが、かつて父が他界した折、親戚一同が輪になった我が家の居間でのこと。さて戒名をなんとするか・・・故人に何か趣味はあったか?と訊く坊さんに「趣味ったってパチンコくらいじゃねの?」と叔父の無邪気すぎるひと言。ちょっと待て!モノ作りが好きすぎて、自宅の二階に“自力で”ベランダまでこしらえた父のアレは、趣味以外のなにものだというのか。間違ってもここで戒名に“銀玉”と入れられた日には、かの父も草葉の陰で浮かばれまい。そう、戒名は大事なのである。

コンビニの数も敵わないくらいのお寺が日本全国にはあるそうだ。
コンビニには毎日のように立ち寄っても、お寺に足を踏み入れるのは法事か初詣くらいでしかない。御朱印ブーム、仏像ブームとも聞くが、まだまだお寺への関心が高いとはいえないと感じる。
・・と同時に、いずれはお寺が人々のコミュニケーションの場として、その存在感を増してくるに違いないとひそかに予感し、期待してもいる。

今、各地で新たな活動に取り組むお寺や若い住職の方も多いようである。
馴染むにはなかなか敷居の高い感のあるお寺だけに、まずは気楽にこういう一冊から入るというのも アリだと思った。

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