現代短歌がすばらしい

あまり読書家ではないのですが、本を読むときにはだいたい新書とかで、自分の知らないことや興味のあることについて知識を仕入れたくなった時に読みます。あとはエッセイとかでしょうか。自分にない感性に触れられるのも刺激的で楽しい体験となります。
苦手な読み物としては、書き手の主義主張が強く、それで納得させようとしてくる文章です。分野が自分の興味にある分野であるほど、そして主張が自分と異なる分野であるほど読んでいて疲れてしまいます。わかりやすいところでいうと、新聞などですw

小説や詩などの文学作品はあまり読みません。創作物が嫌いとかそういう訳ではありません。何を読むのかという部分ではかなり選り好みをしてしまうのです。創作物に求めることは大きく二つに分かれます。「完全にエンタメに徹する」か「作品から何を見出すかを読者に委ねる」です。
何か伝えたい主義主張があり、それ以外の結論を許さないような作品はちょっと苦手だったりします。作品から何を見出すかを読者に委ねるという部分は、アート全般に求めていることでもあります。映画、音楽、漫画でも同じことを思っています。自分にとっては余白があることが大事なのです。

さて、以上が前振りなのですが、最近本を一冊買いました。現代短歌の本です。積読チャンネルというYoutubeチャンネルの影響です。この動画を見ました。

特に二つ目の方の動画が自分には刺さりました。そして購入したのが笹井宏之さんの「えーえんとくちから」です。

笹井宏之さんは2009年に亡くなられています。26歳という若さでした。wikipediaによると、15歳のころから身体表現性障害という難病で寝たきりだったそうです。このことが影響しているのかはわかりませんが、歌に命の美しさや儚さが込められているようで、そしてどこか一歩離れた位置で俯瞰しているような独特な距離感があるように感じます。まだ、読んでいる途中なのですが自分に刺さる歌がいくつかありました。

これがきっかけで最近、現代短歌に興味が出てたのです。素晴らしいなと感じているのは以下の点になるでしょうか。

  • 口語で書かれているので、和歌などの古典短歌よりもなじみやすい

  • 古典短歌よりも自由に読まれていて、歌に個性がある

  • 広大な余白がある

3つ目が自分にとっては一番大切なことです。少ない文字数で様々なことが表現されています。正直言って、何を言いたいのかわからない、想像がつかないという歌もたくさんあります。自分みたいな初心者にはそういうものの方が多いくらいです。でも、だからこそ読み手によって感じ方も浮かべる情景も自由なんだと思うのです。自由すぎるゆえに戸惑うことがあれば、大きく心揺さぶられることもあるのです。
心を揺さぶれた時の感動は、小説に負けないほどの感動があります。

現代短歌っていいな…と感動しながら「えーえんとくちから」を読み進めています。

まだまだ読んでいる途中ですが、心揺さぶられた歌を「えーえんとくちから」から引用させて頂いてこの記事を締めようと思います。

からだにはひとついのちが入ってて水と食事を求めたりする

鞄からこぼれては咲いてゆくものに枯れないおまじないを今日も

もうそろそろ私が屋根であることに気づいて傘をたたんでほしい

「えーえんとくちから」笹井宏之

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