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鍼灸学生の考える中医学②足三里


足三里

「足三里」というツボは皆さん聞いたことがあるかと思います。よく「サンリ」と呼ばれるツボです。私の職場上、ご高齢の方とお話する機会が多いのですが、健康に興味のあるご高齢の方はご存じの方が多いなという印象です。よくご自身でもサンリにせんねん灸をされるそうです。それだけ昔からポピュラーに使われてきたツボのようです。


 足三里は足陽明胃経の合土穴で胃の下合穴で四総穴です。簡単に言えばお腹の症状にはもってこいです。中医学では脾胃(胃腸のようなところ)は気血生化の源といわれ生きていく上で大切な気や血(後天の精気)を作る大切な役目を果たしています。つまりここが弱ればエネルギーを作れないですし、ここが健康であれば他の五臓も健康に近付きます。(それだけの責任を負わされている脾胃はなんだか可哀そうだな…)



先日、鍼灸処方学という授業がありました。こういった証(例えば冷たいものを食べて腹痛になったというような)にはこのツボがよく使われていますということを学ぶ授業です。その中で足三里は多くの証で使うといいですよと紹介をされていました。ご高齢の方がとりあえず足三里にお灸をしていたのも納得です。



心陰虚証に対する足三里の効果

 心の陰の物質の虚(少ない)なので血です。血が不足し寒さの症状や精神が穏やかでない、咽の乾燥などの症状がでます。そんな方にも足三里は効果的です。足三里は気血生化の源なので血を作ってくれます。血を作ることを促しながら精神を安定させるツボにアプローチするわけです。


 その他にも肝鬱気滞からの肝気上逆(ストレスからの吐き気やスッキリしない心地よくない感じ)などの症状にも足三里は効果を発揮します。肝が病むと脾胃を犯します。肝の熱に対して血を足すことで熱を下げるためや、上向きの気のベクトルを下向きに変えるためにも足三里は便利なようです。ある心理学の先生が人は誰でも必ず怒りの感情を幼い頃から持っていると仰っていました。怒りの感情は肝と関連があります。人の身体の不調に精神面のトラブルはつきものです。必ずあります。ということは人の身体の不調は肝の不調から始まることが多いのでしょうか…?



さいごに

足三里が便利なことは確かなようです。触ってみると凹んでいることが多いです。皆さんも是非、その場所を細い棒か何かで気持ちいいくらいの強さで押してみてください。

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