毒を一緒に抱えたくない

ここ数日考えていること、考えたこと、
どうにも整理できなかったので文章にしました。
あまり不特定多数に見られたい話題でもないという理由で価格設定をしただけなので、購入しても何も得るものはありません。

書いた当時は有料にしていましたが、
投稿から時間が経ち、リンクをツイートしない限り多数の人に見られる可能性は減ったと思うので無料にしました。


「毒親」という言葉。
私の一瞬の救いになった、と思ったけれど、たぶんただの救いではなく、呪いのようなものでもある気がする。

私は弟1人と妹2人を持つ長女で、小6~中1くらいの頃に両親が離婚した。
私たちは4人とも母と暮らすことを選んで(弟妹には選択権はなかったように思うし、離婚が決まった話し合いに同席した私はその場での選択を求められた)、それから10年近く母は独りで私たち4人を養ってきた。

幼稚園での記憶は嫌なことばかりで、小学校ではいじめに遭い、
気づけば長女として弟妹たちを守らねばという使命感と、
両親の仲をなんとかせねばという責任感に挟まれ、
まともに息もできないまま、当時の私なりに頑張った結果が連れてきたのは両親の離婚だったし、父からの「お前も結局母の味方だったのか」という言葉と、ボロボロになった母だった。

私は弟妹に比べて両親(特に父)から受けた愛は大きかったはずで、
殴られたことはなかったし、暴言を吐かれた記憶もあまりない。
幼少期の写真も弟妹より多く残っているし、そのどれもが伸び伸びと愛されて育っているであろう姿だ。
それでも、小学校でいじめに遭いながら両親の仲を取り持ったあの頃も、中学校で妙な噂を流され居場所もないまま不安定な母を慰めつつ弟妹の面倒を見たあの頃も、今思えばとても苦しかったし、本当は誰かに泣きつきたかった。

親に頼りっきりでなにもできない同級生を見ては「こんなことすら自分でできないなんて」と見下していたけれど、心のどこかでずっと、多分今も、羨ましくて仕方がなかった。

母への金銭的負担を避けるために、高校を卒業しそのまま就職した。
これで少しは迷惑をかけずに済むだろう、そう思っていたのに、私の心が持ってくれなかった。

死にかけた私に、母は泣きながら謝ったし、とても献身的だった。
主治医の話を懸命に理解しようとし、私の言葉もしっかり受け取ろうとしてくれた。

私も、恐ろしく固く結びすぎた結び目をなんとか綺麗に解こうと、主治医の力を借りながら過去と向き合った。

母も、私も、お互い本当に頑張ったのだと思う。

通院を卒業した頃に、「毒親」という言葉を知った。
親との関係をどうにかしようとしていたあの時の私にとって、とても刺激が強かった。
と同時に、親へ負の感情を持つ自分をずっと責めてきた私は、少しだけ救われた気がしたのだった。

母はたしかに、
私のプライベートを何でも知りたがる故に SNSのアカウントを教えなければ怒るような過干渉で(現にこの投稿も購入すれば見ることができるのだ)、
私が20歳をすぎてもGPS共有を求める過保護で、
指示されてすぐにその通り動かなければ不機嫌になり、些細なことで机を大きく鳴らすし、それでも気が済まないと物を飛ばす。

でも、だからといって、本当に「毒親」なのか。
「毒親」だから、ただ「縁を切ればいい」のか。

ある程度成長した私は、自分の経験も踏まえて色んな勉強をした今、
あらゆる問題への「正論」を知識として得て、母に「こうしなければうまくいかない」「○○してあげようよ(母なのだから)」と伝えるようになった。
そのたびに母は「そんなことできるわけがない」「私は母親向いてないから」と聞く耳を持ってくれない。

でも、ふと気づいた。
これはもしかして、私もかつての母と全く同じことをしているのかもしれない、と。

幼少期に言われた「こうしなきゃいけないよ」「お姉ちゃんなのだから」。
とても嫌だったし、「好き好んでお姉ちゃんになったわけじゃない!」とずっと思っていた。
(とはいえ「好き好んで母になったわけじゃない!」と言われるのは、弟妹が3人いる事実からさすがに納得がいかないが)

「そんなことできるわけがない」「私は母親向いてないから」と母に言わせたのは、「理想の母であれ」と無言の圧力をかけ続けた私なのかもしれない。
(私が母に「よき姉であれ」と圧力をかけられていると感じていたように)

そう思うと、「絶対にこうはなりたくない」と思っていた人間へと順調に成長しているのかもしれない。

たった独りで4人を養い、ようやく長女が成人したと思ったら、元旦那によく似て口が立ち、挙句母親としての在り方を口煩く指摘してくるなんて、とんでもない悪夢かもしれない。

とか思い始めるとまた自分の首を絞めてしまうのだけれど。


母のことを「毒親」とラベリングするのなら、私はきっと「毒娘」のラベルが貼られているだろう。自分には見えないところに。(背中とか?)

毒はうつりやすい。(足跡に触っただけで毒になるポケモンもいるしね)
親を「毒親」だと思うことでなんとなく安心していたのかもしれないけれど、私は「毒娘」になりたくない。
だから、やっぱり「毒親」という言葉は当てはめないことにする。

辛くて悲しくて寂しかった記憶は消えないし、これからもきっと蒸し返す記憶に苦しむだろうけれど。
それでも毒は抱えたくなくて、なんとか自分の力で解毒して、強くありたいのだ。

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