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"マニマニ"の解散に寄せて(2021/09/30)

◆はじめに

かつて「マニマニ」という女性アイドルグループがありました。
ライブと特典会を中心に活動する、いわゆるライブアイドルです。

2020年7月にデビューし、2021年9月に解散。
活動期間は約1年2ヶ月。
ライブ・イベントの総出演回数は約330回(※Wikipedia参考

それだけの出演がありながらも、アーカイブ映像はほぼ残っていません。
楽曲も一部配信されていますがCDは無く、配信停止となれば聴く機会も失われます。

ライブアイドルあるあるかもしれませんが、活動の証がほぼオタクの心にしか残らないという事実。
それはそれで価値がある…というより、自身の思い出は何より大切。

ただ、マニマニの解散を知った時、それとは別に「マニマニというグループがあったことを世の中に残したい」という気持ちが沸きました。

ファンとして追った期間は4ヶ月。
観戦したライブとイベントは21回。

深いオタクではないですが、自分なりの想いをここに書き残します。

この記事がマニマニというグループが活動した一つの証跡となるなら、これより嬉しいことはありません。

◆マニマニというグループとは

「名を捨てて、実を取る」
この考えが根幹にあったと思っています。

「メンバーや楽曲じゃないんかい」というツッコミがありそうですが、一番に浮かんだのはこの点でした。

この考えを実践できる組織は、アイドルグループに限らず少ない。
マニマニというグループは、それができていたからこそ、後述する独自の魅力を獲得できたと考えています。

マニマニにとって、実を取るとはどういうことか。
それを語るために避けて通れないのが、運営(主にマネージャさん)の存在です。

◆運営について

「良く言えばクレバー、悪く言えばヤバい」
それが私の運営に対する印象です。

印象深いエピソードが2つあります。
・ゲリラ豪雨の中、急遽別会場を抑えたこと。
・1周年記念ライブ、完売目標をふわっとなくしたこと。

「大雨の中、急遽別会場を抑えたこと」

2021年7月11日(日)
夕方にゲリラ豪雨があり、出演予定だったUSEN STUDIO COAST「アイドル甲子園」の野外ステージが中止。
そこで、急遽別イベントへの参加を決める。
中止発表のツイートから別イベント決定のツイートまで約1時間。
加えて、来場者特典として特典券2枚(2,000円相当)をつける負担軽減策もセットで発表。
「1周年記念ライブ、完売目標をふわっとなくしたこと」

2021年7月22日(木祝)開催した「マニマニ1周年単独ライブ-再起-」
発表当初、250枚売り切らないと開催NGというハードルを設定。
ところが、チケット販売直前になってメンバーが体調不良となり、1週間ほど活動休止に。
活動再開後、何事もなかったようにチケット販売がスタート
それから一度も250枚完売に触れないままライブ開催となる。

一見、前者が良いエピソードで後者が悪いエピソードのようですが、「限られたリソースや選択肢の中で、より成果を得られる手段を選択している」という点では同じで、たまたま見え方が違っているだけ。

この2つの出来事を経て、「このグループの運営は、理想に殉じるのではなくて、価値を得るために現実を選択するんだな」と実感しました。

特に後者の「250枚の件をどう取り繕うか考えるより、ライブ制作に集中した方が楽しんでもらえる」という割り切りを感じた時、自分の中で運営に対する信頼度が上がりました。

最初はイベントの詳細な説明や補足がなくてヤキモキしていましたが、1周年ライブあたりから「よくわからないなら、よくわからないなりで行けばOK」「多分、楽しませてくれるはず」と思うようになりました。

そんな運営の考え方は、当然メンバーにも影響を与えます。

◆メンバーについて

休業などを挟みつつ、解散時には、
「清水こはる」「星奈りん」「茅野りお」「森乃ゆめは」「日向まお」
の5人体制でした。

私自身は、星奈りんさん推しです。
星奈さんについては後述しますが、他4人はほとんど話したことがないため深堀りができません。
なので、個々人の話ではなく、全体の印象とメンバーが置かれていたであろう状況について記載していきます。

「自立している」
メンバーを知っていく中で、最初に感じたことでした。

感覚的な話になりますが、何か行動を起こす時、判断基準が常に自分の内にあるイメージがありました。
指示待ち、みたいなことはほとんど無かったように見えました。

特に感じたのは、以下のエピソード。

ある日のライブ後の特典会。
マネージャーが遅れていて、メンバーが先に特典会の会場に到着。

マネージャーが来るのを待つと思いきや、時間が勿体ないと自分たちの判断で準備を開始。

スペースを作り、飛沫防止シートを設置し、各種備品も準備。
ついには特典券も自分たちで売り始める。

他のグループではなかなか見れない光景だと思います。
因みに、この時に人生で初めて推しから特典券を買いました。
想像以上に嬉しかったので、一度はオススメです。

…と、そんなメンバーの振る舞いについて。
最初は「個性が強いなぁ」ぐらいに思っていましたが、徐々に「運営の事情による結果なのでは?」と感じるようになりました。

マニマニの現場。
運営は基本マネージャー1名体制です(たまに援軍あり)

ワンオペで色々と回している都合上、メンバーの細かい管理まで手が回らないこともあったのではないかと思います。

そういう状況があったからこそ、メンバーは自分で判断して物事を進めるというスタイルを身に着けていったのかなと。
というより、身に付けざるを得なかったのかもしれません。

自立した各メンバーは、自身が選択した道を歩み、成長していきます。
全員10代後半~20歳そこそこの伸び盛り、そのスピードも速かったはずです。
その結果、個性だけでなく、価値観(目的・目標・アイドル観など)もバラバラな5人になっていったのかなと。

そんな5人ですが、一つ共通している点があったと思っています。

それは、
「自身が思う"アイドル"を真面目にしている」
ということです。

自分が思うアイドル像を大切にしていて、それを守るためなら、運営だろうと他のメンバーだろうと(時にファンだろうと)ぶつかっていく。
そんな強さを5人全員が持っているように感じました。

この共通点を拠り所にすることで、マニマニはグループとして成立していたように思います。

「価値観が異なる5人が集まって、一つのステージで、自身が思うアイドル像を表現する」
これが自分が考える、マニマニのステージで感じる魅力の中核です。

◆マニマニの魅力

先の共通点以外に価値観が異なるメンバーを束ねていたもの。
それは「ぱやんさんによる楽曲、ナンシーさん・AzPlusによる振付」です。

演劇で例えるなら「楽曲が演目」「振付が台本」「アイドルが役者」
演目と台本という枠がしっかりしていたからこそ、価値観がバラバラな役者がまとまり、一つの演目として成り立っていたのだと思います。

「舞台は生き物」と言われるように、演目と脚本は同じでも、演技は日によって変わり、同じものは二度と観ることができない。
マニマニのライブはまさにそうで、その瞬間にしかないものがありました。

そうして演じられたステージは、
「幻想的で儚くも、生命力が溢れている」
という不思議な魅力がありました。

そして、その魅力に惹かれて、特典会に行ってみると、
「自由奔放な振る舞いをするメンバーにやられる」
という現象が発生します。

こうして、オタクが沼にハマるシステムが完成しました。
ただ、それは長く続く仕組みではなかったのかもしれません。

◆マニマニの辿り着いた先

独自の魅力を持つに至ったマニマニですが、同時に脆さもありました。

それは「メンバーの価値観が異なる」という点。
強みと弱みが表裏一体となっているパターンです。

グループの活動が広がるほど、価値観のズレが悪影響を及ぼしてしまう。
ただ、価値観を統一すれば、折角の強みが消える危険性があって難しい。
上手くバランスを取るにしても、どこかで限界を迎える可能性が高い。

グループがそういう状況を迎えた時、
「致命傷になる前に解散しよう」
という結論に至ったのかなと。

自分は解散の理由を上記のように考えています。

◆未来を選択した解散

マニマニの解散。
私は、前向きな出来事だと捉えています。

「マニマニという名を捨てて、5人の未来という実を取った」
と思っているからです。

物事は「始めるより辞めること」「やることよりやらないこと」を決めることの方が難しいと思っていて、アイドルグループの解散も同様。
全てが手遅れになってから仕方なく解散、というパターンも見聞きします。

今回はそうではなく、メンバーがボロボロになる前に解散して、未来の可能性を出来るだけ残そうとしているようにみえました。

マニマニのオタクとしては「マニマニが終わることは避けられなかった」という事実は悲しくて辛いですが、5人の未来が開けていくことはとても嬉しいです。

解散発表後の特典会や解散前日の卒業式イベントを通じ、5人が何かしら次の道を進もうとしている様子を感じられて、安心することができました。

メンバー&運営の皆さんを含めた、マニマニというチームが大好きでした。
最後までグループの根幹を変えなかった姿勢、尊敬しています。

応援することができて、よかったです。
ありがとうございました。

◆"星奈りん"について

最後に推しである、星奈りんさんについて触れます。

星奈さんはマニマニのライブを観た時、注目しやすいメンバーの一人です。
なぜなら、明らかに一人、ダンスが激しいから。
暴れているといっても過言ではないです。

Twitterもダンスに負けず劣らず暴れ気味。
「路上蕎麦界隈」という異端の存在を生み出しました。

ただ、それはあくまでも星奈さんの一面でしかありません。
ファンとして追っているうちに、様々な魅力を知ることができました。

一つは優れたバランス感覚を持っていること。
特典会で話をする時、基本的にはガッと攻めてきますが、相手が嫌だと思うことは、察してやらないでいてくれます。
その線引きが絶妙で、人の感情や仕草をしっかり捉えているのだなと感じます。

一つは物事に常に向き合ってぶつかっていく姿勢。
1回1回のライブやイベントにぶつかっていって、特典会でオタクにぶつかっていって、そしてオタクが見えない部分でも恐らく色々なものにぶつかっていっている。

何かにぶつかるって基本的に怖いことだと思います。
どんなにバランスを気をつけても、大事な一線を越えてしまう危険性があるからです。
それをアイドルがオタクに向けて行うなんて、とんでもない勇気が必要だと思います。

星奈さんを応援していて感じるのは「そこまで踏み越えられたなら、こちらも応えたい」という気持ちです。
失礼な話かもしれませんが、対アイドルというより、対一人の人間として、話していたような感覚でした。

星奈さん、次の活動を考えているとのこと。
今後も応援できる可能性があることは嬉しいですが「マニマニの星奈りん」は終わってしまったわけで、それはやっぱり寂しいです。

勝手ながら「名を捨てて、実を取る」というマニマニの思想を体現していたと感じていました。
(名も捨ててないよ!と怒られるかもしれませんが)

制服に身を包み、高いヒールを履いて、ステージで激しいパフォーマンスをしながら、時に転んだりする姿。
自身が初めて観た時に惹かれた原点、自分の中で大切な思い出にします。

改めて、ありがとうございました。
マニマニの星奈りんとして出会えて何よりでした。
またお会いしましょう。

【記録】 マニマニ 現場履歴

リンク先はその時のライブメモの記事です。
当時の様子を感じる一助になれば幸いです。

・初見~ファンになるまで

1回目:LEADINGエクストロメ福島!!(2020/11/22)
2回目:ギュウ農フェス春のSP2021プレイベント 百花繚乱 昼の部 百HYAKUの回 (2021/03/07)
3回目:NATSUZOME2021 1日目 (2021/04/02)
4回目:ギュウ農フェス春のSP2021 IDOL STRiKES BACK -アイドルの逆襲-(2021/04/93)
5回目:Eggs×エクストロメ!!「エッグストロメ!!」夜の部(2021/05/05)
6回目:DDD~Discovery iDol Depot~(2021/05/15)
7回目:帰ってきたLEADING エクストロメ!!福島〜(2021/05/22)

・ファンになってから~解散発表前

8回目:星屑のステージ【4マンLIVE】(2021/05/28)
9回目:星屑のステージ(2021/05/28)
10回目:単独定期公演 Vol.5(2021/06/14)
11回目:インテンシティ(2021/06/19)
12回目:超NATSUZOME Day2(2021/07/04)
13回目:「VISION de Free」(2021/07/10)
14回目:「1周年単独ライブ”再起”」(2021/07/22)
15回目:「BLAZE de Free」(2021/07/25)
16回目:「NEO KASSEN」(2021/08/14)

・解散発表後~解散まで

17回目:「アイコレ☆lopi lopi SP Vol.4」(2021/09/11)
18回目:「IDOL MiXJUiCE」(2021/09/17)
19回目:「なんキニ!×Lila Gray×マニマニ」(2021/09/19)
20回目:マニマニ卒業式(2021/09/25)
21回目:現体制解散無銭LIVE(2021/09/26)

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