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【詩】流転と転星

がらんどうの街にひとり
海を目指して歩くわたし
流星群が来るというのに
傘も差さずに夜を往く
きっとそのうちの一つがわたしの脳天を撃ち抜いて、そうしたら中からクラッカーの紙くずが飛び出すの
紙くずに紛れてプラチナシルバーの指輪が落ちてしまう
それを追いかけてわたし、星を一つ人質にして海に飛び込んだ
願い星のくせに、わたしを見捨てるなんて許さない

海の底が焼け落ちて、わたし達は青に呑まれていく
怖くて少し泣いてしまったら、赤い手が伸びてきてわたしの頰を包んだ
攫ってきた星を抱きしめる
わたし達、流星群になってみんな落ちていく


作家修行中。第二十九回文学フリマ東京で「宇宙ラジオ」を出していた人。