見出し画像

【詩】旅行

駅のホームの端っこ。青いライトが照らす所で列車を待つ。
乗り込んだ車両から見下ろす街は星空。飛び散る光。生命。夜景の養分。さよならぼくのまち。
オーロラの道の先、通り過ぎた三日月の冷めた目から顔を背ける。わかっていた。ここも僕の居場所でないことくらい。
生命は地に足を着いてなければならない。それでも飛びたかった。一夜でいいから、この闇に抱かれて。
夜空を裂いて天の川の中。命を振り回す濁流の中でも、窓の外には青い星。手を伸ばした。
新月の憐れむ目。涙が空を舞う。
さよなら銀河駅。

いつか、もう一度。
その時は、あの星まで連れてって。

作家修行中。第二十九回文学フリマ東京で「宇宙ラジオ」を出していた人。