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Aim for the Paris 2024「全日本体操 個人総合 男子」

男子は・・・
”世界のダイキ”橋本大輝選手は、この試合でただ一人、世界を相手に戦っていた。
つり輪のD得点を捨てる作戦は、総合の点数を上げるためには意義のある戦術だと思う。つり輪がめちゃくちゃ強い中国勢に張り合うより、取れるところで少しでも多く点を取る方が勝てる可能性が高いだろう。
課題は、持久力? これからパリまでの期間を考えれば、それは大丈夫だろう。
それよりも鉄棒の着地! どうしても前に流れてしまう。鉄棒の降り技は「前移動X後ろ回転」の場合がほとんどなので、橋本選手のように前に行く幅が大きい=前への勢いが強いと、着地を止めるのが難しくなる。
鉄棒は最後の勝負どころで、予選で首位でなければ着地をバチッと決めることで相手にプレッシャーをかけられるし、首位で来たらビシッと決めればトドメを刺せるわけだ。ぜひ着地を止める技術を磨いて欲しい。

2位になった”リトルジャイアント”岡慎之助選手。一昨年の膝の大怪我から復帰して、ここまで来るとは思わなかった。怪我を好機に替えて、オールラウンダーとして1ランク上がったんじゃないだろうか。
まだ安定感に不安が残るが、いくつかミスをしてもこの順位なのだから、精神的に負荷をかけた、いい練習をしていけば、必ずや代表に入るだろうし、世界が相手でも良い結果が残せるだろう。

3位は”シャウト”萱和磨選手。ミスをしない萱選手の本領発揮。嫌な流れの鉄棒でも、見事通してみせるところは流石である。
高いレベルの演技を、あれだけ安定してできるというのは、よく練習している証拠なのだろう。
とはいえ27歳。しんどいと思うが、1番演技者としては最も心強い、チームには欠かせないメンバーとして、なんとかNHK杯も頑張ってほしい。

この3人はいいのだが、その下がちょっと物足りない。
難しい時季の試合だけに、経験不足からなのか若手が精彩を欠いて、ベテランが並んでいる。代表に選ばれるかどうかは別にしても、川上翔平選手を始めとした大学生の世代がもっと上位を突き上げる活躍をして欲しい。
杉原愛子選手が5位に入った女子同様、6位の田中佑典選手より下位の選手は、反省しつつ、田中選手に学びつつ、上を目指してもらいたい。

高校生の角皆友晴選手が決勝を1班で回っていたが、最後は力尽きた。まあ、いい経験になっただろう。
ロシアのナゴルニー選手に似ていて、体系的にはパワータイプのようだが、まだまだ焦らずに基礎をみっちりやって、身体を作って、大学生になる頃にはもっといい選手になっているよう願う。

さて、男女ともに約1ヶ月後にはNHK杯で、オリンピックの代表チームメンバーが決まる。
NHK杯は2日間の競技だ。選手にはかなりきついと思う。
しかし、それがオリンピックという最高の舞台に上がるためだからこそ通過しなければならない関門なのだから、その心構えを持って臨んで欲しい。
怪我や病気にはくれぐれも気をつけて、最高のコンディションで試合を迎えられることを、心より願っています。

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