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アマノジャクスポーツ「全日本体操種目別選手権を振り返って」


先日、全日本体操種目別選手権が行われた。
大会を振り返ってみよう。

女子は、世界選手権の代表に選ばれているメンバーはアジア選手権に出場しているために不在だった。
だからこそ、若い選手の活躍が目立った。

注目は平均台と床で優勝した山口幸空選手。
まだ非力で、種目によって完成度に差があるようだが、持って生まれた才能のきらめきを感じさせる子だ。こんな子に出会うことができた指導者は幸せだろうなと思う。でっかいシュシュをつけていないセンスも好感が持てる。
もう一人は楠本妃真選手。
安定感はまだまだだが、独特の体操センスを持っていて、見ていて楽しめる。ドーンと点数が取れる選手になっていく期待が大きい。
この二人は是非パリオリンピックのメンバーに入って欲しい。

他にも14歳前後の選手が何人も決勝に残っていた。
パリオリンピックには、今回の世界選手権代表とは全く違うメンバーになっているかもしれない。
そのくらい、すべての世代が切磋琢磨していけば、少しは世界に近づけることだろう。

今回で「競技生活に一区切り」となった杉原愛子選手。
私は、彼女が全日本にデビューしたころから「不動のセンター」として応援してきたので残念ではある。ただ、体操界には彼女にできることがたくさんあると思うので、これからも頑張ってほしい。
梶田凪選手や内山由綺選手、そして平岩優奈選手の元気な姿が見られたのも良かった。これからも若い選手に刺激を与え続けて欲しい。

男子はすごかった。
何がすごいって、これぞ世界最高峰の体操だっていうのを存分に見せてもらったことだ。
YoutubeやInstagramなどで世界中の選手たちの練習や試合での演技を見ていると、すごい選手ばかりで、日本の選手たちは太刀打ちできるのか?と不安になることもあったが、今回の種目別を見たら、やっぱり日本の体操は世界のトップだなと実感し、安心することができた。

個人総合で優勝を争うような選手が種目別でも上位争いをするというのが日本の強さではないだろうか。
そんな中、床の南一輝選手、つり輪の髙橋一矢選手、跳馬の安里圭亮選手、米倉英信選手はスペシャリストとしての存在感を示していた。その潔さはカッコイイと思う。
日本が不得意とするつり輪で優勝した髙橋一矢選手の演技は世界レベルだった。つり輪は特殊な種目で、他の種目との兼ね合いが難しいので、個人総合を重視する日本の選手たちは、どうしてもつり輪が一枚劣ることになる。髙橋選手はつり輪は、今までの日本選手の限界を超えたと感じられて印象深かった。

北園丈琉選手が平行棒で優勝して、ようやく復調を見せてくれたのは、多くの体操関係者がホッとしたのではないだろうか。
現在は世界レベルでの活躍の期待が橋本選手に一本かぶりのような状況だが、それを分けて期待を背負うことができるのは北園選手をおいて他にないと思うので、秋以降の巻き返しを期待したい。

土井陵輔選手が安定した演技を見せていたのも喜ばしい結果だった。勢いだけの一発屋じゃないところを充分にアピールできていたと思う。さらに安定度を増して、橋本、北園、土井の3枚看板になれば、そうとう強いチームになると思うので頑張ってほしい。

男子も、今回の世界選手権メンバーがパリオリンピックまでそのままということはありえない。
鉄棒で圧巻の演技を見せた川上翔平選手も、ぜひ入ってきて欲しい選手だ。
どの選手も怪我をしないで無事にオリンピック代表への選考レースを戦って欲しい。

それにしても今回の大会、長い!
男子で床と鉄棒に出たとしたら、その間4時間!
コンディションを維持するのはものすごく難しいと思う。怪我を防止するためにも、試合運営を考え直したほうが良さそうだ。

余談だが、ABEMA TVの中継は良かったと思う。ただ、なんで解説が塚原直也氏? 知名度はあるけど、どうみても向いてないでしょ? 他に暇な人がいないんだろうな・・・


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