見出し画像

悪くないんだけど何か物足りない「ボーンズ・アンド・オール」と、全然良いとは思わないけど確かに妙なパワーはあるエブエブ

3月×日
TOHOシネマズ六本木で「ボーンズ・アンド・オール」(ルカ・グァダニーノ監督)
人間の肉を食べる、という嗜好/衝動/本能を持った少女が、父親に捨てられ、母親に会いに行くためにアメリカを旅する映画。
その旅の途中で同類の若い男と知り合い、二人で旅をする。
人間を食べるシーンはなかなか気持ちが悪く、そのおかげでR18指定になっているが、あまりホラーという感じはない。
青春映画/恋愛映画であり、ロードムービー。
この題材で131分は長すぎるだろ、と思うと同時に、この二人の旅をもっと見ていたいような気もした。
ロードムービーとしては成功している、ということか。
しかし、物足りなさもある。
どう考えても幸せな結末は待っていないだろう二人なのだが、どうしても避けられない悲劇的な結末に向かっている、という切迫した雰囲気があまり感じられない。
それがあるからこそ、ふたりが草原でのんびりするシーンが切なくなるはずなのだが、それがないので今ひとつグッとこない。
「ああ、きっと悪い結末が来てしまう」という雰囲気が感じられないから、実際にその結末が来てもなにか唐突な感じがしてしまう。
でも逆に、それがないから何時までも見ていたいようなキレイな印象があるんだろうという気も。

3月×日
TOHOシネマズ新宿で「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(ダニエルズ監督)
この監督(二人組だそうだが)の前作「スイス・アーミー・マン」が全然面白いと思えなかったので観るつもりは無かったのだが、一部でお祭り騒ぎ的に盛り上がっているということなので観てみることに。
結果、やっぱりこの監督のセンスは全然ダメ・・・笑いのセンスもアクションのセンスも(石になるところだけはちょっと面白かった)・・・、そして滅茶苦茶やっているようにみえて話のテイストは案外べたで新鮮なところもなし、という感想。
やれやれ、という感じだが、それにもかかわらず、ともかくも最後まで引っ張っていかれるような狂騒的なエネルギーは確かにあった。
映画には見世物小屋的な魅力もあるわけで、全然好きではないけれども、こういうのもまあアリか・・・。
「よってらっしゃい見てらしゃい」という見世物小屋の呼び込みとして「アカデミー賞7部門受賞!」というのは悪くないかもしれない。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?