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ホラー映画「ブギーマン」が思いのほか上出来だった話、そのほかの話、

8月×日
TOHOシネマズ新宿で「ブギーマン」(ロブ・サヴェッジ監督)
面白かった。
特に期待もせずにふらっと観に行った映画が思いのほか面白かった、ということはなかなか無いので非常に得をした気分。

妻を失った夫とその二人の娘。
妻/母の死のショックを受けとめきれない家族だったが、ある日セラピストの父親のもとに、いわくありげな男が訪ねて来て・・・という感じで始まるホラー映画。

この映画のすごいところは、ほんとにありきたりなホラーで、目新しさなどカケラもないということ。
ありきたりで新味のない話でも、ちゃんと撮ればちゃんと面白いし、ちゃんと怖いし、ちゃんと登場人物が魅力的に撮れるんだなあ、と。

まあ終盤からラストにかけても、いかにもこの手のホラー、って感じで、そのあたりはもうちょっと工夫してもいいんじゃないかとは思ったけれども・・・。

序盤、セラピストの父親の所に突然訪れる男がまとう禍々しさ、が素晴らしい。
あんな禍々しさは黒沢清の映画くらいでしか見たことがない。

そして主人公は姉娘の方なのだが、ちょっと印象的な顔立ちでなかなかに魅力的だった。

8月×日
新宿ピカデリーで「イノセンツ」(2回目)
やっぱり良い映画。
超能力がどうとかよりも、子供たちについての映画として上出来。
四人の子供がみな良い。

主人公は自閉症の姉を持つ女の子。
両親はきちんとした人たちで、どうしても自閉症の姉娘の方に時間をとられてしまうけれども、妹のことも気にかけて見ている。
それでも妹の方はやっぱり不満を感じてしまって・・・、みたいな描き方が上手い。

この姉妹が新しく友達になる二人の子供の方は、どちらも母親と二人暮らしらしく、父親の影が見えない、というのも興味深いところ。

8月×日
新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が退任の方針、というニュース。

政府からは疎まれ、政府を批判する側からは「御用学者」と批判され、感染対策に対する不満や批判の矢面に立たされ(本来その不満や批判は政府に向くべきものなのに)、あげくは「殺害予告」を送り付けられる、という、並の人間なら一か月で血を吐いて倒れるんじゃないかというくらい大変な仕事を、穏やかに粘り強くやって来た人、というイメージ。
ちょっと納得できない発言とかもあったけれど、この人でなければできなかった事も多かったのだろうな、と思う。

感染症専門医の岡秀昭氏がヤフーニュースのコメントで尾身茂氏からかけられた言葉を紹介していたが、
「相手を倒してはいけない引き分けろ」
という言葉が印象深い。

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