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いや、悪くなかったよ、という2本「ザ・ウォッチャーズ」と「クワイエット・プレイスDAY1」

6月×日
TOHOシネマズ新宿で「ザ・ウォッチャーズ」(イシャナ・ナイト・シャマラン監督)

M・ナイト・シャマラン監督の娘の初監督作品ということで話題の映画。予告編を見る限り、いかにもお父さんが撮りそうな映画、という感じだったので、怖いもの見たさで鑑賞。
しかし見てみると、そこまでお父さんっぽくはなかった。お父さんのM・ナイト・シャマラン監督は、良くあるお話(スーパーヒーローものとか、宇宙人襲来ものとか、幽霊ものとか、人類滅亡ものとか)を、すごく変な方向から語る人、変な語り方をする人、という印象(全部が全部ではないが)。なんだかすごく意味ありげなんだけど中身はありきたりな良くある話だったりもするので、なんだか肩透かしのような、あるいは馬鹿にされたような気分になることもあるが、その分妙な面白さもある。

さて娘のイシャナ・ナイト・シャマラン監督の今作。
地図に無い森に迷い込んで出られなくなった主人公が、やはり森にとらわれた数人の男女とともに森の中の一軒家で過ごすことになるのだが、ガラス張りのその家の外には夜になると「何か」がやってきて人間たちを観察(ウォッチ)するのだった、て感じの話。

その「何か」の正体が最後の方で明かされて、ああそういう話なのか、とはなるのだが、物語の流れはわりとストレートで、お父さんの映画と違って「肩透かし」とか「馬鹿にされた」という感じは無い。
その分「妙な面白さ」もないかな。

初監督作品でちょっと無難すぎないか、という気もするし、初監督作品でこれだけちゃんとした(自分の色の有る)映画を撮るのは立派、という気もする。

そんなに良かったなあ、とは思わないのだが、誰かがボロクソに言っているのを聞くと、「いや、そんなに悪くはないと思うな」と言いたくなるような映画。

6月×日
新宿ピカデリーで「クワイエット・プレイスDAY1」(マイケル・サルノスキ監督)

目は見えないが音に敏感に反応して人間を襲う怪物がうろつきまわる世界でのサバイバル・スリラーシリーズの3作目。
1作目は未見。
2作目はなかなか面白かった記憶アリ。
なによりこの、視覚はないが音に反応する怪物、って設定がすごく上手くて、いくらでも面白いハラハラするシーンが撮れそうで、もうアイディアの勝利という感じ。

前2作ではすでに人間の文明は滅びかかっていて、なんとか生き延びている人達がいる、という世界が舞台だったのだが、今作はDAY1ということで、怪物たちが最初に現れたところから描かれる。
とはいっても怪物の正体とか、何故やって来たのかが描かれるわけではない。
前2作と違うのは大都会(ニューヨーク)が舞台というところか。

主人公は末期がんを患っている若い黒人女性。
この主人公の描き方・キャラクターが良い。
怪物たちによって崩壊する大都会が描かれているのだがそれは背景で、あくまでも彼女の物語、という感じ。

楽しんで見ることができたのだが、ちょっと引っかかるところも。

怪物たちがうろつきまわる世界でのサバイバル・スリラーと、この魅力的な主人公の物語との食い合わせが今ひとつのような気がする。
サバイバル・スリラーとしての面白さと、主人公の旅路を描くことがバラバラの方向を向いているのではないか、という印象も少し。
もちろんこの世界観で描かれたからこその良さも確かにある。印象的なラストシーンとか。
でもやっぱりちょっとチグハグな感じがするんだよな。
このクワイエットプレイスが長いTVシリーズだったとして、これがその中のひとつのエピソードだったのなら、「ああ、あのエピソード良かったな」となると思うのだが、一本の映画としてみるとなにかバランスが悪いような。

でも悪くない映画だったのは確か。
印象的なシーンもいくつか。
ラストシーンも良いけれど、冒頭近くの人形劇のシーンがとても印象的だった。
あそこだけもう一回観たい。

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