十年一日

昨日今日とあまり自由時間がなかったので、ようやく昨夜の「Barakan Beat」をタイムフリーで聴きながらこれを書いている。

ボーッとしながらお昼を食べているときにフト思いついたのだけど、年末12/31の特番は、自分のここ10年の年間ベストから改めて紹介すればよいのではないか。

というのも、私が初めて人前で音楽をかけたのは2014年の第1回「Peter Barakan's Live Magic!」で、正確な日付も記録に残っている。
2014年10月25日(土)。

あくまで「ごっこ」であり「もどき」だと前置きしておかなければならないが、DJの真似事を始めてから、丸10年が経過していたことに気づく。

10年かぁ。
少し前までは、何でも10年は続ければそれなりになる、と思っていた。
実際そういう部分もあるはずだけど、自分の場合は「渋谷のラジオ」で毎週番組を継続している以外には数えるほどしか結果は出なかったな。
自分が最も得意なことを手掛けても、この程度か。
大したことのない人生だったな。
と塞ぎ込みたくもなるのだが、仕事運が良い訳ではなかった、と認める他はない。
まぁ、こんな人付き合いが悪ければ当然か。
結局、情報も仕事も何もかも、人づてにしかやって来ないものね。

自分の極めて低い社交性を呪いつつ、それでも他人と共有する前提で音楽と接してきたここ10年を振り返ってみても面白いのかもしれない。
途中からだが、現在進行形のポピュラー音楽にも興味を再び持ち始め、ストリーミングの普及に伴い積極的に新譜を聴くようにはしてきたつもり。
曲がりなりにも、落とした単位はたくさんあるにせよ、一通りの必修科目は受けてきたつもりだし。
その基礎学力が身についた上での新作探求なので、個人的にも楽しくて仕方がないというのもある。

あるリスナーさんからは、往年の洋楽などはリクエストできる番組があるが、2000年以降のを受け付けてもらえるところがなかなかないので、こちらに送っていると寄せていただいた。
であれば、その辺りに特化した方が差別化が図れていいのかな?と思ったりもする。

もちろん、過去の音楽は時に磨かれており、素晴らしいものが星の数ほど残っているし、そのほんの一片しか耳にしてはいないのだけど、そういった古典と、いま新たに生まれつつある動きとをうまく接続できないかしら。

歴史と現在に架かる橋を築けたら。
それはそれで美しい建築になり、渡って楽しいものになるのでは。


というわけで、年末12/31の特番は、恒例である自分の「年間ベスト」に加えて、リスナーさんたちからの「年間ベスト」で埋まることが理想ではあるが、もし枠が余りそうなら、自分の直近10年の「年間ベスト」からさらに厳選した楽曲を紹介しよう。
まぁ、もうすでに普段の番組でもネタ切れのときにかけているものも多いのだが…。
2013年から遊び半分でリスト化していたものは記録を残してある。
今更ながらの自己紹介にもなりそうだし。
手前味噌だが、相当、中身の濃いものにもなるだろう。

さすがに30年も付き合い続けていれば、どれが名曲で何が名演なのか、全体図は薄ぼんやりと見えてくる。
多分、それらを配置すればより喜ばれる可能性が高いだろうし、もしお金をもらって制作する番組なら、自分だって必ずそうするだろう。
やってやれないことはない。

さらに言えば、ずっとお手本にさせてもらっているピーター・バラカンさんの音楽番組だって、見よう見まねで似たような亜流番組を作れないこともないだろう。
もう四半世紀近く聴き続けている訳だし。

でもね、もうそういうのはいいや。
もう既にやったよ、それ。充分過ぎるほどに。
少なくとも今はそういう気分。
自分は別の旅に出る。

頭の中にあるのは、サンタナのドラマーだったマイケル・シュリーヴ。
彼の演奏を追いかけている訳では決してないのだが、ずっとサンタナと活動していれば安泰だったはずなのに、名声も評価も置いて、自分の音楽を探し求める道を選択した。
間違いなくきっと、否定的な意見も聞かされただろう。
仕方ないよね。
自分の内側から湧いてくる感情を抑えられるわけがない。
そういった自然と自発的に浮かび上がってくる思いに降伏するということ。
どうしようもない。
他人が望む通りに動けないのは、ある意味で自分のせいではない。
抗うよりは受け入れよう。
長い目で見れば結局そうなるのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?