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海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ』

このnoteに書き始める前に、二つのブログを作っていた。
2021年1月、こちらに引っ越す際に、それらも移行する予定だったが今に至るまで着手できずにいた。引っ越しのとき以来開けていない段ボールってありますよね。
そんなに記事も多くないけど、少しずつここにまとめていきます。
内容はいつも通り、DJしたときのプレイリストやら、コンサートや映画や本の感想など。相変わらずです。




海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ』(2013〜2017)
全9巻


最初に公平を期すため書いておくと、僕はほとんどテレビを見ないのでドラマは流行っていたことを知っているぐらい。よって主題歌もちゃんと聴いたことはないのだが、筋書きは現代的だなと気になってはいた。


主人公の森山みくり(25)は、大学院卒後に就職できず、システムエンジニアとして働く津崎平匡(36)の家で家事代行のアルバイトをしていた。

しかし家庭の事情もあり、止むに止まれず、みくりは津崎へ「仕事としての結婚」を提案する。家事全般を給料をもらいながら住み込みで行い、生活費は折半。夫婦という設定にしておけば、お互いにとっても利点が多いことに気づき、二人は新しい生活を試すことに。


今の結婚制度への素朴な疑問。これまでとは違う家族のあり方があってもいいのでは。そして、そもそも仕事とは何だろう?

必要に迫られ絞り出した思いつきが、当たり前とされる前提を根本から考え直す実験となっていく。


さらに、みくりと仲の良い伯母の百合(52)、津崎の同僚である美男子の風見(28)、年齢差はあるが何かと惹かれ合う二人が物語に奥行きを与えている。


シングルマザー、シングルファザー、同性愛者も登場するし、少子高齢社会にも触れられてはいるが、大部分は恋愛劇に重きが置かれている。もちろん、それはそれで普遍的なものなのだろう。

人は一人では生きられない、改めてそのことを丁寧に描き切っていて、読ませる好著だった。


(2019年1月16日)




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