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ジャニーズ 性加害問題の「本当の問題」

今、世間ではジャニーズの性加害問題が取り沙汰され、話題になっている。私自身も5月17日に放送されたNHKクローズアップ現代「誰も助けてくれなかった:告白・ジャニーズと性加害問題」で被害者の実際の声を聞いて、胸を締め付けられる想いだった。しかし、まだ世間の多くは興味本位やワイドショーネタとして捉えられている印象を受け、非常に違和感を感じる。そもそも今頃になってこの問題が顕在化した理由は何か?そして、この問題が浮き彫りにした「本当の問題」とは何か?私なりに考えたこと、感じたことを記したい。

「問題が明るみになった背景とは?」

週刊文春がジャニーズ事務所に関する疑惑を初めて報じたのは1999年だった。そして今年の3月に英国のBBCワールドニュースが "Predator: The Secret Scandal of J-Pop"というタイトルでジャニー喜多川氏の性虐待に関するニュースを放送した。日本のメディアではなく、遠い英国の公共放送の報道をきっかけに元所属タレントが相次いで性被害について口を開き、国内メディアが追随する形で報道し始め、元ジャニーズのタレントが国会で実際の被害と法整備の必要性を訴えた。
そして、5月14日にジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長が動画と文書で一連の性加害問題に関して公式に謝罪した。更に、昨日、5月21日に少年隊の東山紀之氏がメインキャスターを務める番組で性加害問題について湖面をした。
しかし、25年以上前から存在したこの問題は、ジャニー喜多川氏が死亡する2019年6月まで主要なメディア各社は報道することもなかったが、その背景は何だったのか?日本の芸能界を半ば「牛耳っていた」ジャニーズ事務所に対する「忖度」がそうさせたのだとすればメディアとしての役割を放棄し、性犯罪を見過ごした責任は重い。SMAPの解散、嵐の活動停止、その他のタレントたちの相次ぐ事務所退所によるジャニーズ事務所の影響力低下も無関係でないように感じる。

「何故誰も疑問を持たなかったのか?」

2002年5月には東京高等裁判所は少年に対するセクハラ(淫行)が事実であると判定した。にも関わらずジャニー喜多川氏は死亡するまでジャニーズの社長として絶対的な権力をほしいままにしていた。これについては事務所の関係者や報道機関、芸能界、周りの大人達は何故見過ごしたのか?誰も疑問を持たなかったのか?ジャニーズジュニア同志では実際の被害に遭っていたメンバーも仲間に起きていることを知っているメンバーも周りの大人にSOSを出すことはできなかったのか?被害者達は芸能界でタレントとして成功する夢を求めてジャニーズに入所したのだろう。その少年たちの弱みにつけこんだ結果、彼らの人生に大きな傷跡を残したことは間違いない。しかし、周りにいた大人達はSOSに気づかなかったのか?きっと少年たちはSOSを出せないまでも表情や行動、日常生活に様々なサインが現れていたのではないと考えると、それをキャッチできなかったのは残念でならない。社会的にも、組織的にも危機管理機能が全く働いていないと感じる。ジャニー喜多川氏の影響力、権力に恐れをなして見ぬふりをしていたのだとするとその罪は非常に大きい。

「問題は芸能界だけに存在するのか?」

今回の問題を考えた時にふと頭に浮かんだことがある。これは、絶えることのない企業の不祥事や隠蔽問題、政治の「忖度」問題、メディアの横並び報道や報道規制などと構図は同じなのではないかと。
権力に対して、上に対してものが言えない。間違っていることを指摘して物事の過ちを直したり修正することができない。都合の悪いことは隠したり時間が経って忘れられるまで待つか見て見ぬふりをする。
しかし、これは芸能界に限ったことではなく、まさに政界や財界で起きていることと同じだ。ということは、これは日本社会、また組織の大きな問題なのではないか?

「この問題が浮き彫りにした日本社会の根深い問題とは?」

今、日本は機能不全に陥っているのではないかと心配になる。
政治、経済、社会を広く見回した時にガバナンスに基づいて迅速、且つ、正確な意思決定がなされているのだろうか?
危機管理意識、機能はどうなっているのだろうか?
また、それぞれの社会や企業、組織の構成員は安心・安全な環境にいるのだろうか?心理的安全性が担保されているのだろうか?
今回の問題も海外メディアであるBBCで放送されて、日本外国特派員協会(記者クラブ)で元ジャニーズの被害者が記者会見を行って、クローズアップされ始めた。外圧なくしてこのような問題を糾弾することはできなかったのだろうか?
更に今後想定されるのは、今まで本件を取り上げてこなかったメディア各社が無責任に手のひらを返して加害者や事務所に対して攻撃、糾弾を開始することだ。その際にジャーナリズムという大義ではなく視聴率、販売部数などが目的となり、被害者のプライバシーや人権が守られることなく面白おかしくワイドショーネタにされることだ。メディア各社には、信念を持ってメディアとしての役割・責任を果たすことを期待したい。


日本には世界に誇れるものがたくさんある。
約2,700年に及ぶ歴史と文明・文化、美しく豊かな自然と国土、勤勉で優秀な国民、技術力など。それでも国際社会の中での注目度や貢献が下がっているのが現状だ。
5月19日から21日まで広島で開催されたG7サミットで久しぶりに世界から注目された日本。そこで議長国として日本はリーダーシップをどれだけ発揮できたのだろうか?唯一の戦争被爆国として、被曝の恐ろしさを共有、認識合わせができたのだろうか?その共通認識に基づいてロシアに対して強いメッセージを発する事ができたのだろうか?
この辺りについてはまた書いてみようと思う。

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