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【来年度の予算化必須】オンライン授業に必要な補償金のこと

リモートワークが多く、出勤は週に1回ぐらい。
在宅勤務だと珈琲を飲む機会が多くなりました。インスタントですが結構美味しい。なんかシャキッとするんですよね。

今回はそんな珈琲一杯分の話。
来年度に予算化が必須になりそうな、オンライン授業に必要な補償金:授業目的公衆送信補償金のことを書きたいと思います。
教育委員会の方は既に来年度予算編成が終わっているかも、ですよね。今更言われてもおせーよ、だとは思いますが、、それでも予算化必須の項目だと思うので書いてみました。

結論:各自治体で小学生数×120円+中学生数×180円の予算化が必須

最後まで読んでくれない方が多数だと思うので(涙)、最初に結論を。

学校設置者の方は、オンライン授業が円滑に実施できるよう

・小学生数×120円
・中学生数×180円
・高校生数×420円
・大学生数×720円

の来年度予算確保が必須です。
※2021年5月時点の人数で

例えば、私の出身地である東京都小平市の場合で試算すると(以下の人数は2020年5月時点ですが)

・小学生数:10,072人×120円=1,208,640円
・中学生数:4,083人×180人=734,940円
合計:1,943,580円

の予算が必要になります。

何で必要なのか?

オンラインで授業を行うためです。
オンライン授業を行う際、先生や子供たちが無許可で著作物を授業で利用するために必要な費用=補償金です。
この補償金を払わない場合は、先生方が一回一回著作権者に許可を取らないといけません。
コロナが再流行した際に「そんなんだったらオンライン授業やらねーよ」になってはGIGAスクールとかの配備が超もったいないことになります。

今までそんな費用かからなかったのに…ではない

今までそんな予算がかからなかったのに、と思われる方も多いかもですが、そうではないのです。
今までは先生方が大変な思いを許可をとっていた、先生方の労力(働かせ放題サブスクリプション(涙))のうえで実施されていただけ、なのです。
または大きな声で言えないですが、不法行為ですが無許可でやっていた(しかも多くが無自覚で)のです。

漫画村が問題に社会問題になったことは記憶に新しいかと思いますが、当然のことですが、著作物を複製・公衆送信することは違法です。
その法律は学校の中でも当然適用されます。

授業目的は無許可でOKでは?→公衆送信はNGだった

一方で、著作権法35条において授業利用に限定した例外として
・教育機関に限り
・教育を担当するものが
・授業で利用する場合
※必要と認められる限度かつ著作者の利益を不当に阻害しない前提
において無許可・無償での複製が認めれていました。

ただ、これは校内限定での話。オンライン授業やクラウド利用が前提となったGIGAスクール環境においては、複製したデータをインターネット上において利用する(=公衆送信する)ことは2018年以前の著作権法35条では著作者の許可が必須でした。

2018年に著作権法が改正、補償金支払で無許可での公衆送信が可能に

遠隔授業が求められる昨今、さらにクラウドの利用が前提となりつつあるなか「1つ1つ許可取るなんてありえん!」ということで、2018年に法改正がなされます。
一定の補償金を支払うことで、無許可でインターネット等を通じた公衆送信(オンライン授業やクラウドでの著作物の複製)が可能になりました。

35条

上記は、この補償金制度を運用し補償金管理を行う「一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(通称:SARTRAS)」の「授業目的公衆送信補償金制度とは」からの抜粋です。
2020年度はコロナ禍で特例で無償化。2021年度以降は補償金が必要です。

こういう団体のことを書くと「お!新たな天下り団体か。利権団体許さん!」みたいな人が湧いてきそうです(こういうことを書くと団体と批判者の双方から怒られそう...。)。あとは「学校利用は無償にしろ!」とか(気持ちは分かる)。

ただ、著作者=クリエイターを保護し適正な対価を配分しつつ、教育利用を促進するためには、なんらかの機能=組織が必要なのは必然だとは個人的には思います。
補償金の単価が結構安くて(個人の感覚です)、やっていること(補償金の徴収・分配)の領域は広いので、甘い汁なんて無さそうな気がしますけどね。
クリエイターを保護すること、元々必要な先生方の労力を考えると、社会として必要なマージナルコストには感じます。

GIGAスクールの基礎となる著作権。予算化が必要。

ということで、各自治体では来年度予算策定終わっているよ、のような気もしますが、、この補償金に対する予算化は必須ではと感じています。
補償金単価も10/1に申請内容が公表されたばかりだったのでご容赦ください...。
制度の概要については、以下で説明会模様がYouTubeにあがっています。資料はこちらです。

何か文化庁やSARTRASの回しモンみたいになっていますが、、なんら要請を受けて書いたわけではないですし、文化庁著作権課にもSARTRASに友達いません
というか自分には友達そのものがいませんし(涙)

タイトル画像回収:怪しい詐欺みたいな「珈琲一杯でコンテンツのサブスクリプション」と書いたのは自分じゃないよ

この補償金制度は、GIGAスクールの基礎になる重要な制度だと感じていました。なので説明会動画を2倍速で見たりしていました。

そうすると、文化庁の方の説明資料で以下のような文言が。

画像2

珈琲一杯でコンテンツのサブスク!
喫茶店で隣の席でそんな話をしている人がいたら「これはまた詐欺まがいの勧誘やってんな」と思うこと請け合いのセールストーク!

「これはいただき」と思ってタイトル画像にしちゃいました。文化庁の方、ごめんなさい。もし怒ってなかったら友達になってください。

でも説明会動画を見てみると、この制度の成立・運用にあたって相当な利害調整の苦労があっただろうな(今も継続でしょうけど)、というのが見え隠れしています。
また、クリエイタ・文化の保護と発展と利活用のバランスを継続的検討していく姿勢が見えてきて、これは認知を広めねば、と思って記事化してみました。本当に必要な制度だとも思いましたし。

これでフォローになったかな。友達申請お待ちしています(笑)

おわりに

冒頭にリモートワークのことを書きましたが、リモートワークになったことにより楽にはならず、むしろ過去最高の忙しさでなかなか記事が書けない状態になっています...。うーむ、良くないな。

次はセキュリティのこと、学校教育では話題にはなっていませんが、ゼロトラストのこととか書きたいな、とか思っています。
恐らく2年後には学校教育でも主流になってくると思いますので。

ではまたー。

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