見出し画像

日記_002_なぜ日記を書こうと思ったのか(前編)

前回ああいうこと(小伏の作品が面白くなくなったという話)を書きましたが、それはあくまで相対的な変化を指して言っているのであって、小伏の作品が必ずしも面白くないというわけではないです。面白いこともありますし面白くないこともあります。(ここまで挨拶。)小伏史央です。
今回は「なぜ日記を書こうと思ったのか」について書こうと思います。第1回ではなく第2回にこのタイトルを持ってくるの、なんかいいですよね。自画自賛。

さて、なぜ小伏は日記を書こうと思ったのか。
結論を先に言うと、「過去の自分のブログ記事を読み返す機会があり、それが現在の自分にとって役立つ情報であったため、現在の自分も未来の自分のために現状を言語化する必要性を感じたから」です。なんか現代文の解答欄みたいな書き方になってしまった。
少し長くなってしまったので、前後編に分けました。前編ではこの結論のうち、「過去の自分のブログ記事を読み返す機会があり、」について語ろうと思います。なぜ日記を書こうと思い立ったのかの、直接的なきっかけとなった出来事について。

先日、このようなコラムを投稿しました。

フィンディルの感想」という感想サービスと、そこで採用されている"方角"という概念について紹介させていただきました。コラムではサービス自体の紹介をメインに書きましたが、今回は小伏がなぜフィン感に応募したのか、フィン感をどう受け取ったのかといった個人的な経験について語ろうと思います。それこそコラムではなく日記の領分でしょうし。

今回フィン感に応募した「ノア」は2012年、つまり9年前に書いた作品です。なぜそんなに昔の作品で応募したのかというと、この方の感想なら、過去の自分と現在の自分を比較できる鮮明な判断材料になるだろうと思ったからです。
というのも、フィン感に応募するのは実はこれで3度目のことでして、本作以前に「無言」(2017)、「狼」(2018)の2作品を既に応募し、感想をいただいていました。またフィン感というサービスが開始するより前でも、小伏が主催/参加したいくつかの企画にて頻繁に感想を書いていただいたことがあり、フィン感に対する信頼感は既に強固なものとなっていました。
コラムでも書きましたが、フィン感はものすごく掘り下げて掘り下げて感想を書いてくれています。そのため比較的最近の作品で複数の感想を受け取ってみると、自然と今の作風や作者の癖が浮き彫りになるんですよね。「無言」でも「狼」でも詰めが甘いという指摘がありましたし、「狼」の場合は本文の最後のほうで作者の我が過剰に出てきてしまっているという指摘もありました。これらは小伏自身も以前から自覚している、複数の作品に共通して現れている悪癖です。基本的にどんな小説でも美味しく読めてしまう自分が、自分の小説さえ甘く扱ってしまう、そういう満足癖があり、それが作品の足を引っ張っていると。
そういう自分の悪癖は何年も前から指摘を受けて自覚を持っていたのですが、なかなかその突破口が見えずにいました。そこで、昔の作品でフィン感に応募してみることで、過去の自分も同様に浮き彫りにし、浮き彫りになった過去の自分と浮き彫りになった現在の自分とを比較対照することで、以てよりクリアに自分を観察できるのではないか。そういう期待で「ノア」を応募したのでした。

そうしていただいた感想がこちらです。コラムでも言いましたが、本当に素晴らしい感想ですね。素晴らしいです。ありがとうございます。
感想では高い精度の解釈とともに作品を褒めていただきましたが、上記の経緯で応募したという文脈下においては、作品への褒め=現在の自分への指摘、という構図も持っています。また本作について、フィンディルさんは現在の小伏の作品と比較しながら「解釈・考察・魅力のパワーが違っていた」とも言及くださっています。昔の作品が100点を目指して(技術の不足により)70点に達していたのに対し、現在の小伏は80点を目指して(技術の向上により)70点に達している。目標点と完成度との差分は確実に縮まりましたが、満点、つまり魅力や面白さをどう詰め込むかという構想段階でのハングリー精神が失われてしまっている。70/100の状態から健全に成長するのなら、90/100になるような状態を目指せればよかったのでしょうが、多忙などによるモチベーションの低下や、前回の記事で説明した「質より量」の書き方を続けたことなどによって、ハードルのほうを下げてしまった。そうして結果的に面白さが減っていってしまったのではないかと。
全くその通りだな、と思いました。

そしてその指摘を掘り下げて考えるにあたって、参照先として出会ったのが過去の自分のブログ記事でした。

というところで、今回はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございます。続きは次回!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?